自爆テロ描く候補作に賛否 米アカデミー賞


◎5日に発表される米アカデミー賞で、外国語映画部門の受賞候補作となっているパレスチナ系監督の作品「パラダイス・ナウ」について、作品を批判している人々が3日、自爆テロ決行にいたる若者の心理を描いた内容は「テロの恐ろしさを十分に伝えていない」として候補からおろすよう求める要請文を、賞の事務局に提出した。

 事務局の映画芸術科学アカデミーは「内容が気にくわない人がいるからといって取り下げることはない」と話している。

 事務局によると、「イスラエル計画」という団体が要請文を届けた。インターネットのホームページによると、映画について「大量殺害を正当化している」と批判。テロで16歳の高校生の息子を失ったというイスラエル人の母親が署名を呼びかけている。米メディアは3万6000人分の署名が集まったと伝えた。

 映画は2人のパレスチナ人の若者が、テルアビブで自爆テロを決行するにいたる心の葛藤(かっとう)や悩みを描いた。支持する人々の間では、「希望のない人生がいかに希望のない行為につながっているかを描いている」として、候補を取り下げないよう事務局に求める署名を、別に展開している。

 今年のアカデミー賞には、ミュンヘン五輪イスラエル選手団を襲ったパレスチナゲリラに対し、報復に出る秘密工作員たちを描いた「ミュンヘン」(スピルバーグ監督)も作品賞などに候補入りしており、中東問題がハリウッドに持ち込まれた形だ。(朝日)




■「グアンタナモ」収容者、氏名や国籍公開…米国防総省


◎【ワシントン=五十嵐文】米国防総省は3日、キューバにある米軍テロ容疑者収容施設「グアンタナモ米軍基地」に収容中の敵性戦闘員317人の個人情報を初めて公開した。
 ニューヨーク連邦地方裁判所が情報公開法に基づくAP通信の開示要求を認め、国防総省に関連文書の開示を命じた。

 国防総省やAP通信によると、公開された資料は現在収容されている490人のうち、317人の供述調書。約5000ページにわたる資料は編集されておらず、氏名や国籍などの個人情報が含まれている。

 国防総省は昨年5月、今回と同じ317人に関する資料を公開したが、氏名や国籍といった個人情報については、「公開すれば収容者や家族に対する報復の恐れがある」として黒く塗りつぶしていた。

 グアンタナモの収容者をめぐっては、人権団体が「氏名がわからなければ、弁護士が接触しようがない」と、国防総省の対応を批判していた。 (読売)




■アラブ企業管理に7割反対 米港湾問題で支持率低下


◎【ワシントン3日共同】ブッシュ政権が決めた米主要6港のアラブ首長国連邦(UAE)国営会社への管理委託について、米メディアなどが3日発表した最新の世論調査で7割近くが反対と回答し、大統領支持率も過去最低水準の38%に低下。港湾問題が、低迷する大統領の支持率をさらに押し下げる大きな要因になっていることが分かった。

米議会では、与野党ともに委託への反対論が強く、同社への委託方針を堅持する大統領は一層の苦境に立たされそうだ。


対テロ戦争での共闘確認…米・パキスタン首脳会談


◎【イスラマバード=平本秀樹】南アジア歴訪中のブッシュ米大統領は4日、イスラマバードの大統領府でパキスタンムシャラフ大統領と首脳会談を行い、両国が対テロ戦争での共闘を続けていく方針を確認した。
 会談後の共同記者会見で、ブッシュ大統領は、「(国際テロ組織)アル・カーイダを打倒する最善の方法は情報を共有し、彼ら(アル・カーイダ)の居場所を突き止めることだ」と述べた。

 また、ブッシュ大統領は、「自由や民主主義による繁栄が、過激派を倒すことを彼(ムシャラフ大統領)は理解している」と述べる一方で、2007年に予定されている総選挙が「開かれた公正な選挙」になるよう求め、一層の民主化に取り組むよう促した。

 ムシャラフ大統領は首脳会談で、米国がインドに提供することで合意した民生用核技術をパキスタンにも提供するよう求めたが、ブッシュ大統領は「両国の歴史もエネルギー事情も異なる」と協力を行わない方針を示した。(読売)




■ロシア、イスラエルを承認するようハマスに要請=会談初日


◎[モスクワ 3日 ロイター] パレスチナイスラム原理主義組織ハマスの代表団は3日、ロシア政府側と初日の会談を行った。ロシア側は会談で、ハマスに対して、イスラエルが存在する権利を承認するとともに、和平に向けた取り組みに従うべきだ、との立場を明らかにした。

 一方ロシアによると、ハマスは、イスラエルが武力を行使しないならば、停戦を引き続き順守する用意がある、との見解を示した、という。

 ハマスとロシア政府との会談は、3日間にわたり続けられる見通し。

 ラブロフ露外相は、中東和平の調停者(ロシア・国連・米国・欧州連合)の要求はすべて尊重されなければならいと明言した、としている。

 イスラエルや米国から強い反発を受けているハマスは、ロシア訪問で国際的な認知を得たいと期待している。1月25日のパレスチナ評議会選挙で勝利して以来、ハマスが主要国と会談するのは今回がはじめて。


■イラン核、安保理協議へ 6日IAEA理事会


◎【ウィーン4日共同】イラン核問題を協議する国際原子力機関IAEA)の定例理事会(35カ国)が6日から始まる。2月の緊急理事会は問題を国連安全保障理事会に付託、安保理常任理事国は今回理事会を「行動開始の猶予期限」としていた。核兵器開発が指摘されるイランは、米欧が求めるウラン濃縮活動停止に応じておらず、このままいけば安保理で具体的な協議が始まるのは避けられない情勢だ。

4日付の米紙ワシントン・ポストは、米欧各国が今週末までの安保理協議入りを目指していると報道。米国はイランが30日以内に核関連活動を停止しなければ「厳しい外交措置」に直面すると警告した安保理声明案を準備していると伝えた。




■英独仏とイランの核問題めぐる協議、進展ないまま終了


◎[ウィーン 3日 ロイター] イラン核問題を話し合う国際原子力機関IAEA)の理事会開催を6日に控え、英独仏がイランと行っていた外相級会合は3日、大きな進展がないまま終了した。

 英独仏の代表と欧州連合(EU)のソラナ共通外交・安全保障上級代表は協議終了後、イラン側から問題解決に向けた新たな提案は何も出されなかったと述べた。

 英独仏がウラン濃縮活動の中止を繰り返し要求したのに対し、イラン側の交渉責任者であるラリジャニ最高安全保障委員会事務局長からは、この問題をめぐっての譲歩姿勢は何も示されなかったとしている。

 ドストブラジ仏外相は「IAEA理事会に向けてイラン側から前向きな回答が得られることを期待したが、残念ながら合意に至ることは出来なかった」と述べた。





■米国務省、イラン部を設立へ


◎米国務省は3日、近東局内にイラン部を設置すると発表した。米国は79年のテヘランの米大使館占拠事件以降、イランと断交しており、イラン周辺などにイラン関連業務を担当する外交官も配置する。非政府組織(NGO)などと連携し、イランの民主化や自由化の促進をはかる狙いという。(朝日)


イラク派兵の是非、ブレア首相「神が審判」


◎【ロンドン=森千春】ブレア英首相は、4日放映の民放ITVのトーク番組で、2003年のイラク派兵の決定について、「神を信じる人にとっては、(決定への)審判は、神によっても下される」と述べ、イラク戦争の是非は結局、「神」と「歴史」によって判断されるとの信念を披歴した。
 神に祈って決断への導きを求めたかどうかについては、返答を避けた。

 首相が、公の場で、イラク参戦と自らの信仰を結びつける発言をするのは異例。英紙の多くは1面で報じた。

 首相は英国教会の信徒で、シェリー夫人はカトリック信徒。首相が宗教的信念をもっていることは定説だが、英国では、政治家が宗教色を前面に出すと有権者の反発をかうことから、側近たちは、宗教的発言を控えるように助言していた。(読売)




首相候補の交代を検討 イラクシーア派与党会派


◎【カイロ4日共同】複数の4日付アラブ紙は、イラクイスラムシーア派宗教勢力の与党会派、統一イラク同盟(UIA)が、新政府の首相候補に決定したジャファリ氏に代わり、新たな候補の選出を検討していると伝えた。

スンニ派クルド人勢力は、移行政府に続き新政府でもジャファリ氏が首相を務めることに反発しており、シーア派の与党内部でも「ジャファリ降ろし」が本格化する可能性もある。

アルハヤト紙によると、UIA幹部らは投票で首相候補といったん決めたジャファリ氏を交代させることが可能かどうか、聖地ナジャフの宗教権威者らに意見を求めることを検討している。




シーア派排除し連立も イラクスンニ派指導者会見


◎【アンマン4日共同】イラク連邦議会イスラムスンニ派会派「イラクの調和」指導者アドナン・ドレイミ氏(74)は3日、ヨルダンの首都アンマンで共同通信と単独会見し、シーア派宗教勢力「統一イラク同盟」(UIA)が新政府でのジャファリ首相続投方針を撤回しなければ、「UIAを排除した連立政権を樹立する」と表明した。

移行政府でUIAと連立与党を組むクルド人の「クルド同盟」や、世俗派「イラク国民名簿」などもこの方針に合意済みで、同氏は「(連邦議会過半数を占める)140議席は確保できる」とし、独自の首相候補を擁立する用意もあると述べた。

スンニ派を軸に少数派が結束し、第一党UIAに首相候補の変更を強硬に迫る動き。宗派対立による危機が続くイラクの連立協議がさらに混迷するのは必至だ。




■「イラクの危機去った」軍削減は見直しも…米司令官


◎【ワシントン=坂元隆】イラク駐留米軍のジョージ・ケーシー司令官は3日、イラクとワシントンを通信回線で結んで行われた記者会見で、2月にサマッラのシーア派聖廟が爆破されて以来多数の死傷者を出しているイラクの宗派対立について、「暴力が制御不能になっているとは思わない。今では危機は去ったように見える」と発言した。
 ただ、今春から見込んでいた駐留米軍の削減については、見直す可能性があることを示唆した。(読売)




■退路示せぬ日本、イラク陸自 米、日英豪の動き牽制


イラクからの「出口」はいつか。南部サマワに展開する陸上自衛隊の撤退時期をめぐり、日本政府が難しい判断を迫られている。英国軍は6月までの撤退完了を視野に入れるが、新政権樹立を見定めたい米国は撤退に向けた動きを牽制(けんせい)する。だが、その新政権樹立の動きは、武力抗争の拡大で進まない。ぎりぎりまで決断を先送りしたい政府内では、陸自クウェートに一時的に撤退させて新政権樹立を待つ案まで浮上した。

 ■4国協議

 英国 「英国軍は5月中にイラクの治安部隊の育成を終える。条件が整えば、6月までに撤退を完了できるだろう」

 米国 「もう少し、イラクの政治プロセスを見極めるべきだ」

 2月24日、ロンドンで開かれた日米英豪4カ国協議。米英両国の「溝」が浮き彫りになった。

 豪州代表は「豪州軍は自衛隊と行動を共にする」と語った。では、日本はいつ撤退するのか。

 日本 「治安と政治プロセス、復興支援の状況、英豪軍の動きを慎重に見極めたい」

 外務、防衛、内閣官房の課長級職員による代表団が最後まで撤退時期に触れることはなかった。

 イラク南部の治安維持を担当する英国が撤退を初めて口にしたのは昨年9月の協議。春から夏にかけてアフガニスタン派遣部隊を増強する必要に迫られたからだ。

 即座に反論したのが米国だった。「(05年)12月にイラク国民議会選挙がある。イラクがバラバラになってもいいのか」と、議論自体を封じた。

 その米国も、今は「撤退の議論までノーとは言わなくなった」(防衛庁幹部)。外務省幹部は「ここ数カ月が勝負という事情は、米国も理解している」と分析する。

 だが、現在イラクに展開する28カ国のうち撤退を表明した国はまだない。英国も対米関係重視では日本と変わりない。当初2月としていた英国軍の撤退開始時期を、最近は「4月でも構わない」と口にし始めた。日本政府高官は「3月の撤退開始は、もうない」とみる。準備作業がもたつく新政権の発足まで、英国軍は撤退を始めないと読む関係者もいる。

 ロンドン会合は次回の日程も決めずに終わった。18日には豪州で日米豪の外相による安全保障対話が開かれ、「(陸自などの)撤収について話し合われる確率が高い」(麻生外相)という。

 自衛隊幹部は「政治がどう判断するかだ」と、小泉首相の決断を待つ。

 ■シナリオ

 「全般を考えて、日本が主体的に判断する」

 3日夜、小泉首相陸自の撤退時期をただす記者団に、そう語った。政府関係者は「小泉心理学は複雑だ。対米追従と言われることを嫌うが、日米同盟を損なうな、とも言う」と語る。

 「主体的」判断は、そう簡単ではない。

 英豪両軍とほぼ同時期に、防衛庁長官が首相の承認を得て撤収命令を出し、自衛隊が「地元の人に惜しまれながら」(幹部)サマワから引き揚げる――。政府が思い描く、最高のシナリオだ。

 ただ、撤退には2〜3カ月かかる。米国の希望通り、新政権樹立などの政治状況をぎりぎりまで見極めれば、6月の撤退完了を考える英国と足並みがそろわない。

 そこで窮余の策として政府内の一部で浮上したのが、撤収命令を待たずに部隊指揮官の判断で陸自を一時的にクウェートに退かせる案。新政権発足を見届け、首相が撤退を表明。防衛庁長官が撤収命令を出す。

 だが、複数の政府高官は「国内的、国際的に説明がつくのか」「文民統制の観点から問題がある」と指摘する。防衛庁にも「首相が表明して堂々と引き揚げるべきだ」(幹部)との声がある。

 ならば、撤退期間を短縮できないかと、警備要員増強などのための支援部隊派遣案も浮上した。

 だが、基本計画で定めた陸自定員600人を上回れば、事前に計画変更の閣議決定が必要になる。撤収のための派遣が、「事実上の撤退表明につながる」(内閣官房幹部)可能性もある。

  政府が今、決めているのは「日本が最初に撤退意思を表明する事態だけは避ける」(防衛庁幹部)という方針だけだ。(朝日)


■香田さん殺害、容疑者を近く起訴 イラクが大使館に説明


◎外務省は3日、イラクを旅行中だった香田証生さん(当時24)を殺害したと自供した国際テロ組織アルカイダ系のフセイン・ファハミ・バドル容疑者をイラク治安当局が拘束したことについて、バグダッド日本大使館イラク内務省の説明を受けた、と発表した。バドル容疑者はすでに起訴されたとの情報もあったが、外務省の説明では、近く起訴される見通しだという。

 イラク内務省が日本政府側に伝えたところによると、バドル容疑者は約3週間前にバグダッド市内で逮捕され、香田さん殺害について自供した。内務省はこれまでの捜査で、香田さん殺害事件について一定の証拠を得ているという。同容疑者の起訴には1週間以上かかるとしている。

 バドル容疑者は国際テロ組織アルカイダと関係がある武装組織メンバー。(朝日)


イスラエルを承認しないとの立場を堅持=ハマス幹部


◎[モスクワ 3日 ロイター] イスラム原理主義組織ハマスの幹部は3日、イスラエルを承認しないという立場を堅持する、と表明した。

 幹部のMohammed Nazzal氏は、記者団に対して「承認問題は済んだ話だ。われわれは、イスラエルを承認するつもりはない」と述べている。

 ハマスとロシア政府との会談を控えてのコメント。ロシア政府は、会談で、ハマスに対して和平構築に向けた努力を促す、と見られている。




■国際社会の認知求める ハマス、ロ外相と会談


◎【モスクワ3日共同】1月のパレスチナ評議会(議会)選で圧勝したイスラム原理主義組織ハマスの最高幹部マシャル氏らの代表団が3日、ロシアを訪問し、モスクワでラブロフ外相と会談、中東和平について協議する。ハマス代表団が選挙後、和平仲介を進めてきた主要国を訪問するのは初めて。

欧米諸国は対イスラエル武装闘争継続を掲げるハマスを「テロ組織」に指定しているが、ハマスは民主的な選挙を通じて選出されたことを強調、近く発足する新内閣の正統性を訴えて国際社会の認知を図りたい考え。




■米国政府に3千万ドル返還 パレスチナ自治政府


◎【ワシントン=有元隆志】ウェルチ米国務次官補(中東担当)は二日の下院外交委員会公聴会で、米政府が昨年、パレスチナ復興支援費として供与した三千万ドル(約三十四億五千万円)の返還をパレスチナ自治政府から受けたことを明らかにした。

 米政府はテロ組織と認定しているイスラム原理主義組織ハマスが政権入りすることに伴い、復興支援費の返還を求めていた。(産経)


パキスタン 自爆テロ 米外交官ら死亡


◎ パキスタン南部カラチの米領事館付近で二日、自動車爆弾が爆発し、米外交官一人を含む四人が死亡、四十人以上が負傷した。現地の警察当局は自爆テロとみている。パキスタンではイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画問題で、各地で反米デモが続いており、ブッシュ米大統領の訪問を前に緊張が高まっていた。同大統領は訪問先のインドで「テロリストと殺人者が私のパキスタン訪問を妨げることはできない」と述べ、予定通りパキスタンを訪問することを強調した。(バンコク 岩田智雄)