■テロ続発、29人以上死亡 イラク宗派対立続く


◎【カイロ1日共同】イラクの首都バグダッドで1日、車爆弾などによるテロが相次ぎ、AP通信などによると、イラク全土で少なくとも29人が死亡した。首都では前日も60人以上が死亡、イスラムシーア派聖廟(せいびょう)爆破事件をきっかけに、宗派対立によるテロが続いている。

バグダッド東部のシーア派教徒が多く住む地区では昼前、警察署や市場の近くで車爆弾が爆発、少なくとも23人が死亡、50人以上が負傷した。

バグダッド中心部の繁華街にあるタハリール広場近くでは、車の下に仕掛けられた爆弾が爆発。近くを通過する警察の車を狙ったとみられるが、市民3人が死亡、15人が負傷した。

東部の別の場所では、住民が不審な車を見つけ、駆け付けた警察が警戒中に爆発し、付近の商店や民家が損壊した。




■テロ続発、29人以上死亡 イラク宗派対立続く


◎ブッシュ米大統領は28日、イラクイスラムシーア派スンニ派による報復が激化していることについて、「イラクの人々や指導者が混沌(こんとん)か統一かを選択すべきときだ」と述べ、沈静化を訴えた。イタリアのベルルスコーニ首相とホワイトハウスで会談した後、記者団に語った。

 シーア派の聖廟(せいびょう)爆破が報復のきっかけとなったが、大統領は「米国は聖廟の爆破を強く非難する」「宗派間の暴力の種を植えようとしている勢力がいることは明らかだ。混沌を生み出すために破壊している」と指摘した。米ABCテレビのインタビューには「内戦に陥るとの仮定には同意できない」と述べた。

 一方、ベルルスコーニ首相はイラクに駐留するイタリア軍3000人を年内に撤退させることを確認。イラクの治安部隊1万人を育成したことを挙げ、撤退の環境が整ったと説明した。




イラク帰還兵の3分の1は心のケア求める=米軍調査


◎【ワシントン1日】イラクから帰還した米兵の3分の1は、少なくとも1回は精神保健面での専門家との相談を必要としたほか、5人に1人は戦場にいたことに起因する精神面での問題があると診断されていることが、米陸軍の調査で分かった。(写真はバグダッド西方ラマディで、拘束者を装甲兵員輸送車に乗せる米兵)

メリーランド州シルバースプリングにあるウォルターリード陸軍研究所の調査によると、イラク帰還兵がトラウマを抱えるこのような割合に対し、アフガニスタンから帰還した兵士の場合は11.3%、他の不安定地域などに派遣された場合は8.5%となっている。

調査ではイラク帰還兵22万2620人、アフガン帰還兵1万6318人、ボスニア・ヘルツェゴビナコソボなど他の地域から帰還した6万4967人にインタビューした。いずれも帰還1年後に調査したという。〔AFP=時事〕




イラク宗派抗争激化の一途 死者379、負傷458人に 移行政府発表


◎【カイロ=加納洋人】イラク移行政府は二十八日、中部サマーラで二月二十二日に発生したイスラムシーア派聖廟(せいびょう)爆破事件以降、宗派抗争が激化し、同日までに全土で三百七十九人が死亡し、四百五十八人が負傷したと発表した。

 一方、二十八日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は先週の宗派抗争の死者が千三百人を超えたと伝えた。同紙がバグダッドの遺体収容所の記録を基に集計したもので、移行政府の発表した数の三倍以上となっている。同紙によると、遺体の多数が手を縛られていたという。


 フランス通信(AFP)によると、二十八日も首都バグダッドなどで爆弾テロが相次ぎ、イラク全土で少なくとも三十七人が死亡、百三十人以上が負傷した。シーア派スンニ派との間の宗派対立を背景とした暴力は収束する様子がない。


 同通信などによると、首都南東部のアミン地区では、爆弾を身に着けた男が、灯油を買い求める人の列の中で自爆したほか、首都南東部の別の地区では爆弾を積んだ車が爆発し、この二カ所の爆発で、計二十四人が死亡、百十二人が負傷した。


 また、シーア派住民が多く住むカラダ地区でも爆弾を積んだ車の爆発で、六人が死亡、十八人が負傷。首都東部では、イラク軍幹部の車列の通行中に、路肩に仕掛けられた爆弾が爆発し、護衛五人が死亡した。


 一方、中部ティクリートでは同日、フセイン元大統領の父親の墓がある施設で爆発があり、施設の一部が破壊された。南部アマラでは、路肩に仕掛けられた爆弾が爆発し、パトロール中の英兵二人が死亡した。


 こうした中、移行政府のジャアファリ首相は同日、訪問先のトルコで「(宗派抗争による)暴力で、本格政権の樹立を妨害することはできない」と述べた。しかし、移行政府幹部の間からは、本格政権樹立には今後二カ月以上かかるとの見通しも出始めている。(産経)