■イラン、ロシアと核再交渉 IAEA内権利要求


◎【モスクワ1日共同】イラン核問題で同国代表団とロシア政府は1日、ウラン濃縮をロシア国内で合弁企業が実施するとのロシアの妥協案についてモスクワで再交渉した。これに先立ち、イランのラリジャニ最高安全保障委員会事務局長はモスクワに到着後、「われわれは特別な要求はしていない。国際原子力機関IAEA)の枠内での権利を求めているだけだ」と強調した。

3月6日のIAEA定例理事会が迫る中での大詰めの交渉だが、イランのモッタキ外相は、妥協案で最終合意したとしても研究開発のための小規模な濃縮活動は停止しない方針を示しており、期限までの打開は困難な情勢だ。(朝日)




■イラン濃縮再開に懸念 IAEA報告書、安保理協議向け圧力も


◎【ロンドン=蔭山実】イランの核問題で国際原子力機関IAEA)のエルバラダイ事務局長は二十七日、理事国に最新報告書を配布、イランのウラン濃縮作業再開と核査察の妨害に強い懸念を示した。報告書は三月六日からのIAEA定例理事会で内容を協議するとともに、国連安全保障理事会にも提出される予定で、安保理での協議に向けてイランへの圧力がさらに強まりそうだ。

 ロイター通信などによると、エルバラダイ事務局長は報告書で、イランは昨年九月以降、核兵器に使用可能な高濃縮ウランの原料となる六フッ化ウランを大量に製造していると指摘し、濃縮作業に入るために濃縮用の遠心分離機の試験を開始したことを認めた。


 現時点では二十基の遠心分離機のテストを行っている段階だが、イランは計五万基のうち三千基の遠心分離機を稼働させる計画だと通告。一方でイランは抜き打ち査察を拒否し、IAEAは核開発の目的を解明することがきわめて難しくなっているとしている。


 事務局長はこれまでの査察で核関連物質が核兵器製造に転用された証拠は見いだせないものの、実態は定かではないとの見解を示し、「イランの核開発の真相は査察開始から三年がたってもなお明らかにはできていない」と述べ、イランの非協力的な態度を批判した。


 IAEA筋はロイター通信に「核開発が平和利用目的だと結論づけることはまだできない」と指摘。欧米の外交官は「核開発は段階的に拡大している。IAEAの定例理事会でさらに安保理の関与を強める決断が必要になる」と語った。