■「イランのウラン濃縮活動拡大」IAEA報告書


◎ 国際原子力機関IAEA)のエルバラダイ事務局長は27日、イランの核問題に関する報告書を理事国(35カ国)に配布した。報告書は、イランがウラン濃縮に向けて活動を拡大していることを確認。今年中に遠心分離器3千基の設置を始める計画があることも明らかにした。

 報告書を受け、3月6日からのIAEA定例理事会では、欧米諸国が国連安保理経済制裁など強制措置を求める圧力を強めるとみられる。

 朝日新聞が入手した11ページの報告書によると、イランは2月11日、中部ナタンズの濃縮施設で、濃縮ウランの原料となる六フッ化ウラン(UF6)を遠心分離器1基に注入、試験的な濃縮活動を開始した。15日には連結した10基を稼働、22日からは20基で内部の真空状態を調整するなど、濃縮活動を段階的に拡大している。

 また、イランは産業的規模のウラン濃縮に向けて、今年の第4四半期にナタンズの施設で遠心分離器3千基の設置を始める計画だという。

 一方、報告書は「イランが核兵器を開発している証拠がこれまでに見つからなかった」としながらも「未申告の核開発活動などがないとは断言できない」とも指摘。イラン側が核弾頭製造の説明書と指摘される資料の提出を再び拒否したことに対して「情報提供が不十分だった」と批判し、「完全な透明性がなお不可欠」と述べ、イラン側にさらなる協力を求めた。また、IAEAによる3年間の検証活動にもかかわらず核兵器開発疑惑の全容が解明されていないことに対して遺憾の意を表した。

 2月4日のIAEA緊急理事会は、この問題を国連安保理に付託する決議を採択したが、安保理常任理事国などは3月の定例理事会まで具体的な行動をしないことで合意している。(朝日)




■イラン、核計画を断念するつもりはない=東京でモッタキ外相


◎[東京 28日 ロイター] 来日したイランのモッタキ外相は28日、二階俊博経済産業相との会談後に記者会見し、イランは核プログラムを断念するつもりはない、と明言した。一方で、ウラン濃縮でロシアと協力する方向で継続中の協議については、イランの核計画をめぐる国際社会の懸念を緩和するだろう、との見方を明らかにした。

 これより先の国際原子力機関IAEA)の報告では、イランは核燃料濃縮計画を進めており、同国が核兵器開発を目指しているのではないかとの疑惑をめぐる国連の調査を妨害している、とされている。

 イランのモッタキ外相は、会談後に記者団に対し「日本のようにわれわれも平和目的で核技術を保有する権利を享受したい」と述べた。

 また、日本の政府筋によると、モッタキ外相は、二階経産相に対し「ロシア提案は、核エネルギーの平和利用に対するイランの権利と、国際的な信頼を確立することとの橋渡しになる」との見方を示した。




■ロシア案合意でも濃縮継続 イラン外相強硬姿勢


◎来日中のイランのモッタキ外相は28日、東京都内で共同通信と単独会見し、核問題について、ロシアでウラン濃縮を行うとするロシアの妥協案で最終合意したとしても、イランが再開した「研究開発」のための小規模な濃縮活動を停止しないと言明した。

欧米や日本は、実験レベルも含むあらゆるウラン濃縮関連活動に反対しており、イランが依然強硬姿勢を示したことで、3月6日の国際原子力機関IAEA)定例理事会までに核問題打開の道筋を付けるのは困難な情勢といえる。

モッタキ外相は「現状では、(核燃料の)研究開発活動は続ける。われわれは未来に向けた話し合いをしており、過去に戻るつもりはない」と言明。

ロシアとの交渉について外相は「場所と期間が重要だ」とし、合弁企業がロシア国内でウラン濃縮をする期間は「短ければ短いほど良い」と主張。ロシア側が提案しているとされる10年は長すぎると指摘した。(共同)