■米、南部バスラに派遣打診 陸自イラク復興関与


◎【ワシントン26日共同】米政府が最近、日本政府に対し、陸上自衛隊幹部らをイラク南部バスラに派遣し、治安・行政能力向上を目的とした新規事業「地方復興チーム(PRT)」に参加させるよう打診していることが26日分かった。さらにC130輸送機を使った航空自衛隊の活動地域を首都バグダッドなど2カ所に拡大するよう日本側に要請しているという。複数の日米関係筋が明らかにした。

イラクの正統政府を早期に樹立させ、復興事業を加速させたい米政府は昨年秋以降、5月末の陸自サマワ撤退をにらみ、日本のPRT参加を繰り返し促してきたが、具体的地名を挙げて関与を求めてきたのは初めて。




イラク首都マヒ 宗派抗争さらに激化


◎【カイロ=加納洋人】イラク中部サマーラのイスラムシーア派の聖廟(せいびょう)爆破事件をきっかけに、宗派間の抗争が激化しているイラクで二十五日、シーア派聖地の中部カルバラなど各地でテロや戦闘が相次ぎ、内務省などによると少なくとも四十人が死亡した。イラク移行政府は首都バグダッドでの車両通行を禁止した昼間の外出禁止令を二十七日朝まで継続すると発表、三日続けて首都機能が停止する非常事態となった。ドレイミ国防相バグダッドの街頭に装甲車両を出動させる用意があると言明した。

 現地からの報道によると、カルバラ中心部の市場では爆弾を積んだ自動車が爆発、少なくとも八人が死亡、三十一人が負傷した。同地にあるシーア派最重要聖地のイマームフセイン聖廟の攻撃を図ったが失敗したという。


 バグダッド北方のバアクーバ近郊では、シーア派住民の家に武装集団が押し入り、家族ら十二人を殺害した。いずれもスンニ派過激派による犯行の可能性が高い。


 一方、バグダッドではスンニ派モスク(礼拝所)でシーア派とみられる民兵と警察部隊が交戦するなど二カ所で衝突があり、うち一カ所で警官十四人の遺体が見つかった。


 また、スンニ派の法学者団体「イラクムスリムウラマー協会」幹部のハーリス・ダーリ氏の自宅が武装集団に襲撃され、銃撃戦となった。同氏は移行政府の部隊が襲撃に関与したと指摘したうえで、「これは一方的に布告された内戦だ」とシーア派側を強く非難した。


 シーア派連合会派「統一イラク同盟」の一角を占めるシーア派有力政党イラクイスラム革命最高評議会(SCIRI)指導者のアブドルアジズ・ハキーム師ら各派指導者が暴力停止を呼びかける動きも出ているが、宗派対立を背景に始まった流血が収束する気配はなく、宗派対立が内戦に向かうことを警戒する声も強まっている。


 昨年十二月の総選挙を受けて、本格政権樹立を目指す国民議会が二十五日にも初招集される予定だったが、当面、招集は難しい状況であり、イラク民主化に向けた政治プロセスにも深刻な影響を及ぼしている。


 連立協議の中断を表明していたスンニ派会派「イラク合意戦線」は同日、協議を再開させる可能性を示唆した。しかし、本格政権に向けた連立交渉は、暴力的な宗派対立の噴出でさらに困難さを増しており、当初から春先まで遅れるとみられていた本格政権樹立がさらに遅れるのは必至の情勢だ。(産経)




■砲撃続くサマワスンニ派モスクから大量の武器


陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワで25日夜、スンニ派モスクから手投げ弾80発、小型ロケット砲弾17発が見つかった。スンニ派モスクから大量の武器が見つかったのは初めてという。スンニ、シーア両派の衝突が拡大する中、サマワでも連日、シーア派の強硬派サドル師派民兵によるとみられる迫撃砲攻撃が続いている。

 サマワ警察によると、警戒のためスンニ派の各モスクを捜索したところ、床下に隠してあるのを見つけたという。サマワスンニ派は同市人口の5%を占める少数派。シーア派の攻撃には応戦していない模様だ。

 一方、イラク全土では26日もスンニ派の報復とみられるテロが相次ぎ、ロイター通信によるとシーア派の多い中部ヒッラのバス乗り場でミニバスが爆発し、5人が死亡、3人が負傷した。南部バスラでも、シーア派の聖廟(せいびょう)付近などで2度の爆発があった。

 バグダッドでは26日未明、米兵2人が仕掛け爆弾で死亡している。