■宗教対立の回避訴え イラク情勢で米大統領


◎【ワシントン24日共同】ブッシュ米大統領は24日、ワシントン市内で「テロとの戦い」に関して演説し、内戦突入の恐れも指摘されているイラク情勢について「この先、数日間は緊張が続く深刻な状況だ」と危機感を表明、イスラムシーア派スンニ派の宗派間対立を回避するよう強く訴えた。

大統領は「イラク国民にとって選択の時」と述べ、イラクが民主主義を進展させるか、内戦などの混乱に陥るかの岐路に立っているとの厳しい認識を示した。その上で、イスラム教の各宗派指導者が自制を呼び掛け、イラク軍が治安の回復に努めている現状を評価し、一段の努力を促した。




■聖廟爆破 イラクで200人死亡、日中の外出禁止


◎【カイロ=加納洋人】イラク移行政府は二十四日、首都バグダッドと周辺のディヤラ、サラハディン、バビルの三県で、住民の日中の外出を禁止した。金曜日はイスラム教の休日であり、モスク(礼拝所)で行われる昼の金曜礼拝で信者が暴徒化しかねないと警戒したためだ。

 イラクでは、二十二日に中部サマーラで発生したイスラムシーア派の聖廟(せいびょう)爆破事件を契機に、宗派対立に基づく暴力が急激に拡大。移行政府は事態の沈静化を図っており、住民の宗教感情が高まる金曜礼拝を事実上阻止するため、二十四日午後四時(日本時間同日午後十一時)まで住民の外出を禁止した。夜間だけでなく昼間も外出禁止としたのは極めて異例だ。


 ロイター通信によると、聖廟爆破事件以降、二十四日までに宗派抗争などで、約二百人が死亡した。二十三日夜から翌朝までにバグダッドで二十遺体が見つかったほか、首都南方のラティフィーヤで二十四日朝、武装集団がシーア派住民の住宅に押し入り、住民三人を射殺、子供二人を負傷させる事件が発生した。(産経)