ムハンマドの細密画、トルコの教科書から削除


イスラム預言者ムハンマドの風刺画をめぐる騒ぎのなかで、トルコの教育省は、来年以降採用する教科書からムハンマドを描いた細密画を削除することを決めた。トルコ紙ミリエトが報じた。細密画ではムハンマドの顔が白く塗りつぶされているが、預言者を絵で描写することに否定的な宗教権威者の見解に教育省が従った。

 ミリエトによると、ペルシャ(現在のイラン)で描かれた古い細密画で、長年トルコの教科書に掲載されてきた。ただ、塗りつぶされたムハンマドの顔の部分に子どもらがいたずら書きをすることがこれまでも多く、風刺画騒動を受けて教師らが「預言者があざけりの対象となる」と指摘。教育省が識者や宗教指導者らに見解を求めた。

 「学習を助ける目的であり、イスラムには反しない」というアンカラ大学神学部の学識者の意見もあったが、宗教指導者らでつくる首相府直属の宗務庁は「預言者の描写を禁じる記述はコーランにないが、人々が抱く預言者のイメージを絵が狭める恐れがある」との理由で削除が妥当との見解を出した。

 ミリエトによると、細密画の原画はジュネーブの美術館にあるという。(朝日)




■風刺漫画の風刺画掲載、イスラム団体が激怒 マレーシア


イスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画騒動を受けて、イスラム教を国教とするマレーシアの代表的英字紙ニュー・ストレーツ・タイムズが、風刺漫画を風刺する漫画を掲載した。欧州を批判する意図があったとみられるが、予想に反して国内イスラム団体が激怒。アブドラ首相が介入して、ようやく事態は収まった。

 同紙の風刺画は、街角の似顔絵描きが「お待ちの間にムハンマドの風刺漫画を描き上げます」との看板を掲げて客待ちをしている図柄。生活情報を載せる別刷りに20日掲載された。同紙が国教を批判することはあり得ないことから、「騒動の原因をつくった」として欧州側を皮肉ろうとしたとみられる。

 ところが、イスラム教系団体やイスラム政党が「イスラム教をおとしめる意図がある」と一斉に反発。警察に告発もした。

 当初、同紙は正面から反論する姿勢を見せ、22日には風刺画を再掲載。しかし、読者から批判が殺到し、マハティール前首相も「編集長を停職処分にせよ」と同調した。

 同紙は24日、世間に不快感を与えたとして謝罪。アブドラ首相が同日「正式に謝罪したのだから処罰はない」と言明して騒動に幕を引いた。

 マレーシアでは、ボルネオ島の地方紙がもとの風刺漫画を転載して無期限の発行停止処分を受けた。中国語紙も風刺漫画を載せた欧州の新聞の写真を掲載し、2週間の発行停止となった。