■スンニ・シーア両派の衝突激化、65人死亡 イラク厳戒


イラクで、中部サーマッラにあるイスラムシーア派の聖地アスカリ廟(びょう)が爆破された事件を機に始まったシーア、スンニ両派の衝突が拡大、ロイター通信によると、22日の事件直後から23日正午過ぎまでに全土で65人が死亡した。また、これらの死者とは別に首都南西部で57人の死体がまとまって見つかったとの情報もあり、死者数は120人を超える恐れがある。政府は夜間外出禁止令を拡大し、治安要員の休暇取り消しを命令、厳戒態勢に入った。

 タラバニ大統領は23日、クルド人勢力を含む各派を私邸に招き、対応を協議したが、スンニ派イラク合意戦線はモスクへの襲撃に抗議してボイコットした。

 22日にはシーア派最高権威のシスターニ師が声明で平和的な抗議行動を呼びかけたが、バグダッドでは夜に入って再び襲撃が発生した。覆面をした男たちが、多数のスンニ派モスクを小型ロケット砲や小銃で襲撃した。

 バグダッドだけで銃殺された50人近い死者が確認された。大半がスンニ派とみられる。

 スンニ派イスラム宗教者委員会アルクベイシ師は23日午後、襲撃された同派モスクは全土で168カ所にのぼり、宗教指導者10人が殺害されたと述べ、シーア派を強く非難した。一方、バクバでは、シーア派とみられる警官12人が爆弾で殺害された。

 また、サーマッラでは23日、爆破事件の取材をしていた衛星テレビ局アルアラビアのイラク人女性記者とスタッフ計3人が拉致され、直後に殺害された。(朝日)