首相候補にハニヤ氏擁立 ハマス、現実路線模索


◎【エルサレム19日共同】1月のパレスチナ評議会(議会、定数132)選で74議席を獲得し圧勝したイスラム原理主義組織ハマスは19日、イスラエルとの停戦継続など現実路線を模索するガザ地区幹部イスマイル・ハニヤ氏を自治政府首相候補に擁立し、3月初めまでに組閣を終えると表明した。イスラエルは同日、武装解除などの要求を拒むハマスへの制裁措置を決め、対決姿勢を明確にした。

ハニヤ氏は、イスラエル破壊を掲げるハマスの中では穏健派とされ、民間専門家を入閣させ、国際圧力の回避を目指す方針。イスラエルが占領地全面撤退などを表明すれば「交渉のテーブルに着く」とするが、イスラエルが条件に応じる可能性はない。




アッバス議長とハマス幹部、組閣交渉を延期


パレスチナ自治政府アッバス議長は19日夜(日本時間20日未明)、ガザ市で記者会見し、自治評議会(国会に相当)の過半数を占めるイスラム過激派ハマスとの組閣をめぐる交渉を20日に行うと明らかにした。ハマス首相候補比例代表名簿1位のハニヤ氏を指名し、19日中にアッバス議長と交渉を始めるとしていた。

 交渉が先送りされた背景には、イスラエルとの過去の和平合意の尊重や暴力の停止を求めるアッバス議長との間で、調整が必要になったためと見られる。

 アッバス議長は会見で「18日の自治評議会招集時の演説で新政権に求めた条件に対するハマス側の正式な反応と、誰を首相候補にしたかを20日に聞く」と述べた。ハマスが議長の示した条件に応じない場合、組閣の要請をしない可能性があることを示唆したと受け止められている。

 また、アッバス議長は19日にイスラエル政府が決めた関税などの送金停止について「自治政府は財政危機に陥る」と懸念を表明した。さらに「イスラエルパレスチナの権利を認めず、こうした一方的措置をいつも取ってきた」と非難した。(朝日)




自治政府が財政の危機 パレスチナ


◎【カイロ=加納洋人】パレスチナ評議会選挙で圧勝したイスラム原理主義組織ハマスがイスマイル・ハニヤ氏を首相に指名した十九日、アッバス自治政府議長は、ガザ地区に入り、「自治政府は深刻な財政危機に直面している」と述べて、危機感を表明した。

 イスラエル政府は同日、同政府が代行徴収したパレスチナ自治政府の税金の送金停止などの制裁措置を閣議決定しており、自治政府はさらに厳しい財政状況に追い込まれるのは必至だ。


 ロイター通信によると、アッバス議長は十九日、ガザ地区で、「不幸なことに、さまざまな圧力はすでに始まっている。援助資金が減り始め、われわれは財政危機に直面している」と述べた。


 同議長は二十日、ガザ地区でハニヤ氏らハマス幹部らと会談し、組閣などについて協議する予定だが、ハマスは対イスラエル武装闘争方針を堅持する姿勢を崩していない。(産経)