■UAE港湾管理会社 英企業買収計画に米懸念


◎【ワシントン=有元隆志】アラブ首長国連邦(UAE)の国有港湾管理会社ドバイ・ポーツ・ワールド(DPW)が英国の港湾大手P&Oの買収計画を進めていることについて、米議会などから安全保障上の懸念を理由に、DPWが米国内の港管理を行うことを禁止するよう立法措置を進める動きが出ている。ドバイがテロ組織の資金調達や大量破壊兵器輸出の中継地点になっているとみているためだ。

 民主党のヒラリー(ニューヨーク)、メネンデズ(ニュージャージー)の両上院議員は十七日、声明を出し、外国企業が米国内の港湾管理を行うことを禁じる法案を提出する方針を示した。


 P&Oは現在、ニューヨーク、ニュージャージーボルティモアフィラデルフィアなどの管理を行っているが、買収に成功すればDPWが引き継ぐことになる。


 DPWはP&Oを六十八億ドル(約八千億円)で買収する計画を進めている。DPWはP&Oの買収で、香港のハチソン・ワンポワ、シンガポールテマセク・ホールディングスに次ぐ世界第三位の港湾管理会社となる。


 P&Oも外国企業であるが、民主党だけでなく共和党も含め米議会から買収に懸念の声が出るのは、ドバイとテロリストの関係だ。


 ドバイは国際テロ組織アルカーイダの活動資金流通拠点のひとつとみられている。さらに、パキスタンのカーン博士はドバイを拠点とするスリランカ人の実業家を使い、北朝鮮やイランなどへの核関連部品の拡散を行っていたとされる。


 これに対し、UAEは米国の対テロ戦の同盟国だと主張。DPWの広報担当者もロイター通信に対し、同社の港湾管理は国際的な安全基準に達していると反論している。(産経)