アスベスト使用の豪華客船、解体に反対運動=バングラ


◎【チッタゴンバングラデシュ)15日】かつて世界最大の威容を誇った豪華客船がアスベスト石綿)を含む船体材料の処理をめぐり、解体場所が決まらない状態が続いている。最近、バングラデシュのスクラップ業者が買い取ったが、環境団体が猛反対、同国政府も国内での解体を認めないと警告した。

この客船は「SSノルウェー」(写真)。1960年に「SSフランス」として就航したが、全長313メートルで、当時世界最大の豪華客船。就航式典にはドゴール将軍夫人も出席したほどだった。

79年にノルウェーの船会社に売却された後、2003年にボイラー爆発事故を起こす不運に見舞われた。その後、ドイツ北部の港に係留されていたが、現在はマレーシア沖で解体先が決まるのを待つ日々だ。

このほど、バングラデシュ南部チッタゴン近郊のスクラップ業者が1200万ドルで同船を買い取ったと発表したところ、地元環境団体などが解体作業員に健康被害が及ぶ恐れがあるとして猛反対、チッタゴンで「人間の鎖」による抗議活動を行うと表明した。

SSノルウェーを50隻の監視リストに挙げている国際環境団体グリーンピースによれば、同船にはアスベストを含んでいる建材1250トンが使用されているという。

買い取った業者は、有害な物質は適切に処理すると主張しているが、バングラデシュ政府当局者は「有害物質を除去した上でなければ、国内への受け入れを認めない」と警告している。〔AFP=時事〕