核研究再開、EUは反発

■9日の核研究再開見送りか 国際社会の反発でイラン

◎【テヘラン10日共同】イランが核関連研究を再開すると宣言していた問題で、同国当局は再開を予定していた9日、作業の進展状況など新たな情報を公表しなかった。ドイツが「重大な結果を招く」と警告するなど国際社会の反発が大きく、再開を見送った可能性が強い。
 ただ、イランは将来の核燃料サイクル確立を視野に、これまで研究再開の意向を再三表明しており、10日も再開を模索する動きを続けそうだ。イランは国際原子力機関IAEA)査察団の立ち会いの下で9日に封印解除など研究再開に向けた準備作業を行うと説明していた。


■国連安保理5カ国、イランに核燃料研究断念を求め個別に意見送付

◎[ワシントン 9日 ロイター] 国連安全保障理事会常任理事国5カ国(英国、フランス、米国、ロシア、中国)は、イランに対し、核燃料の研究を断念して英国、フランス、ドイツとの交渉を再開するよう、個別に強いメッセージを送った。
 米国務省高官が匿名で明らかにした。同高官によると、安保理5カ国は数日前、イランが計画している核燃料研究再開について、個別に意見を伝えた。
 米国は、強い調子の共同声明を模索していたが、結局個別のメッセージを送付することで落ちついたという。
 イランは9日、核燃料研究の再開を計画していることを確認した。
 外交筋によると、研究が再開されれば国際原子力機関IAEA)理事会に報告され、これを受けて緊急理事会が招集されて安保理付託の是非が決定される可能性がある。


■核研究施設の活動再開=政府高官

◎[テヘラン 10日 ロイター] イランは10日、核燃料に関する研究作業を再開したことを明らかにした。これにより、イランの核問題を国連安全保障理事会に付託するよう求める声が強まる可能性が大きい。
 イラン原子力庁のサイディ次官は、国営テレビに対し「きょうから、わが国の核研究センターは活動を再開した」と述べた。


■イランの核研究再開はEUとの合意に違反=EUスポークスマン

◎[ブリュッセル 10日 ロイター] 欧州連合(EU)のスポークスマンは10日、イランが核燃料に関する研究を再開したことは、イランの核関連活動に関するEUとの合意に違反する行為だと批判した。
 同スポークスマンは「これはパリ合意違反とみなされる。活動は明らかに濃縮に関連したものだ。これは、誤った方向へのステップ。われわれは、非常に憂慮しており、対応を調整するために(EU内で)協議を行っている」と述べた。