米国の戦費負担2兆ドル(230億円)に

内務省狙い自爆、30人死亡 イラク、警官姿で

◎【カイロ9日共同】イラク移行政府内務省によると、バグダッドの同省本部近くの検問所で9日、男2人が相次いで自爆し、警官ら30人が死亡、約40人が負傷した。内務省に隣接する警察学校では記念式典を開催中で、米国のハリルザド駐イラク大使らが出席していたが、爆発の影響はなかった。
 内務省によると、男2人は警官の制服を着用、偽造した身分証明書を示して検問所を通過し敷地内に入ったが、制服の下に爆弾のベルトを装着しているのに気づかれ、直後に相次いで自爆した。
 「イラク聖戦アルカイダ組織」を名乗るグループは同日、「内務省スンニ派住民に対して行っている拷問への復讐」として自爆を実行したとの犯行声明を、ウェブサイトで発表した。


■米国のイラク戦費、政府予想大きく上回る2兆ドル超に=調査

◎[ボストン 9日 ロイター] イラク戦争の費用に負傷米兵への終身保険など長期的なコストを含めた場合、総費用は2兆ドルを超え、開戦前の政府試算をはるかに上回るとの調査報告が発表された。
 調査は、コロンビア大学エコノミスト、ジョセフ・スティグリッツ氏らが実施したもので、負傷兵1万6000人に対する障害手当が含まれている。負傷兵の20%は、脳や脊椎に深刻な障害を負っている。
 それによると、米軍がイラクから撤退した後も、米国の納税者は長期にわたり、こうした費用の重荷を背負わされるとしている。
 開戦前、ダニエルズ行政管理局予算局長(当時)は、イラク戦争への資金拠出は「可能な範囲の負担になる」として、当時のリンゼー大統領補佐官(経済担当)が示した1000─2000億ドルとの試算を「非常に高額」と退けていた。


■豪外相、イラクから軍を撤退させないとの意向を表明

◎ [ワシントン 9日 ロイター] オーストラリアのダウナー外相は9日、イラクでの暴力的な事件急増には懸念を抱いているとしながらも、いま同国軍を撤退させるのは無責任として、撤退要求を拒否した。
 外相はライス米国務長官と会談した後、記者団に、会談ではイラク駐留を続ける意向を明確に伝えたと述べた。
 外相は「駐留軍の規模縮小は、イラクの治安部隊が情勢を制御できるようになってから責任ある方法で行われるべきとの考えにおいて、われわれは米英と同じ見解をもっていることをライス長官に明確に伝えた」と語った。
 オーストラリアの野党労働党ビーズリー党首は週末、イラク駐留は和平実現を妨害しているとして、米国やオーストラリアその他同盟国は撤退を真剣に検討すべきと発言。
 ダウナー外相は、これに関する質問に対し「もしわれわれがいま皆で撤退すれば、イラク抵抗勢力とテロリストの手に渡すことになる。それはイラクの人々がわれわれに最もしてほしくないことだ」と語った。


■我々は「無能な占領者」 ブレマー元行政官が回想録

◎【ワシントン10日共同】「われわれはすべての中で最悪(の存在)、無能な占領者になっている」−。イラクを占領統治した連合国暫定当局(CPA)のトップだったブレマー元行政官の回想録「私のイラクでの1年」が9日、全米で発売された。
 反米武装勢力の攻撃激化でイラクが泥沼化した背景や、ラムズフェルド米国防長官らに米軍増派を要請しながら聞き入れられなかった内幕を描き、ブッシュ政権イラク政策の混乱ぶりを裏付ける内容となっている。
 回想録でブレマー氏は、米軍の早期撤退を望む国防総省にはイラク人治安部隊の能力を誇張する傾向があったと批判。イラクで活動する米軍以外の多国籍軍に「ごた混ぜでちっぽけ」と不満をにじませる記述もある。


■燃料問題めぐり辞表提出したイラクのウルーム石油相が職務復帰

◎[バグダッド 10日 ロイター] 燃料問題めぐり辞表を提出していたイラクのウルーム石油相が職務復帰した。報道官が発表した。
 同相は、昨年12月19日の燃料価格引き上げに反発し、辞表を提出した。ジャファリ首相によって1カ月の休職扱いにされていたが、タラバニ大統領やシーア派指導者のハキム氏らとの交渉の末、職務に復帰した、という。今までチャラビ副首相が石油相を兼任していた。
 イラクは、政府が統制するガソリンとディーゼル油の価格を最大で200%引き上げ、補助金で低く抑えられた価格を支払うことに慣れたイラク国民の反発を買った。この際、ウルーム石油相は、補助金廃止を求める国際通貨基金IMF)の要求と、安い燃料を求める一般国民の声の両方に応えるべく、段階的な値上げ実施を主張していた。