核研究今日再開

■核研究きょう再開も イラン、施設封印解除へ

◎【ベルリン=黒沢潤】イランは八日、核の研究開発を九日にも再開する方針を表明、再開に反対する国際社会とイランとの間の緊張が高まっている。テヘラン入りした国際原子力機関IAEA)の査察官はイラン側に研究開発の意図を確認するが、イランは核拡散防止条約(NPT)加盟国の権利に基づき核施設の封印を解除する意向だ。一方、ロシア政府代表団は八日、前日に続きイランのウラン濃縮をロシアで行う案をめぐり、テヘランで高官級協議を行った。
 イラン外務省のアセフィ報道官は八日、核研究開発について「IAEAの準備ができれば、九日に再開する用意ができている」と改めて強調。ただ、実際の再開日時や具体的な内容については言及を避けた。イラン原子力庁のサイディ次官は三日、「(研究開発は)核燃料製造とは関係がない」と述べたものの、国際社会は、イランの研究開発にウラン濃縮の小規模実験が含まれるのではないかと懸念を強めている。
 欧州連合(EU)議長国のオーストリアは声明で、イランの行動は、ウラン濃縮関連作業の全面停止を求めたIAEA決議に違反すると指摘。ドイツ外務省も「イランの姿勢は(英仏独とイランが十二月下旬に再開した)核交渉を危機にさらす」と警鐘を鳴らした。
 ロイター通信によれば、国連安保理常任理事国五カ国も近くイランに対し、核研究開発をしないよう求める異例の共同声明を出すことを検討しているという。イランがウラン濃縮実験を伴う核研究開発に乗り出した場合、三月上旬のIAEA定例理事会を待たずに緊急理事会が招集されるのは確実だ。緊急理事会では、イラン核問題を安保理に付託するかどうかが協議されることになる。
 一方、ロシア政府代表団は八日、ウラン濃縮の前段階にあたる転換作業をイラン国内で行うことを認める代わり、核兵器開発につながるウラン濃縮をロシアで実施する案についてイラン側と協議。ただ、イランは自国でウラン濃縮を行うことを放棄しない意思を変えておらず、協議は難航することが予想される。
 英日曜紙オブザーバーは八日、英当局がイランに放射性物質を含む貨物をイランに輸送することを容認していたと報じた。核兵器の原材料として利用可能なケイ酸ジルコニウム一トン分が、英国内の企業から陸路でイランに向け輸送された際、ブルガリアとトルコ国境の税関で一時問題となった。しかし、英国とブルガリア当局が調査した結果、別の金属の含有量が許容範囲内だったため、イランへの搬入が認められたという。(産経)


■核研究再開を確認 欧州側は圧力強化へ

テヘラン9日共同】イランのエルハム政府報道官は9日、停止中の核関連研究を同日に再開することを確認した。国営イラン通信が伝えた。再開する研究の内容など詳細は不明。
 研究再開について、欧州側は核問題をめぐる交渉を危うくする行為だと警告しており、研究の内容次第では国際原子力機関IAEA)に緊急理事会の開催を求め、核問題の国連安全保障理事会付託に向けた圧力を強める構えだ。
 ただ、イラン最高安全保障委員会のスポークスマンによると、IAEA査察団は機器の封印解除など研究再開に向けた予備的作業を9日に行うとしており、同日中に再開できるかは不透明だ。
 エルハム報道官は「研究は法的に禁じられておらず、停止は自発的措置だ」と主張。査察団の立ち会いの下で研究を再開するとして、IAEAとの協力を強調した。


■軍用機墜落、11人死亡 イラン革命防衛隊幹部ら

◎【テヘラン9日共同】イラン国営テレビによると、同国北西部の西アゼルバイジャン州ウルミエ市付近で9日、革命防衛隊のアハマド・カゼミ地上部隊司令官ら幹部の乗った軍用機が墜落、乗っていた11人全員が死亡した。
 ファルス通信は地元の革命防衛隊幹部の話として、同機は悪天候のためウルミエ空港に着陸できないまま、燃料が切れ、ウルミエ市東方の村に墜落したと報じた。国営テレビは、パイロットが車輪の故障とエンジンの停止を管制塔に伝えた後、道路に緊急着陸しようとして墜落したとし、道路脇の平地に散らばる機体の残骸(ざんがい)を映し出した。
 墜落したのは、フランス製の小型ジェット機ファルコンで、イランが1979年の革命前に購入。イランは米国の経済制裁により航空機の輸入ができず、機体の老朽化が進んでいる。