ビンラーディンの生死を巡ってさまざまな憶測


■ビンラーディン容疑者“沈黙”1年 露出目立つナンバー2 生死めぐり憶測も


◎二〇〇一年九月の米中枢同時テロの首謀者で、国際テロ組織アルカーイダの指導者、ウサマ・ビンラーディン容疑者が“沈黙”を守ってほぼ一年になる。これほど長期にわたり映像や肉声が出ないのは同時テロ以降初めて。代わりにアルカーイダのナンバー2とされるアイマン・ザワヒリ容疑者の“露出”が目立っているが、その背景は明らかでない。
 カタールの衛星放送局アルジャジーラは昨年十二月二十七日、約一カ月後に実施予定だったイラク国民議会選に参加する者は「背教者」だ、と選挙ボイコットを呼びかけるビンラーディン容疑者の声明を放映。フランス通信(AFP)によると、これ以後、動静はいっさい伝わっていない。
 代わりに頻繁に声明を出しているのがザワヒリ容疑者だ。中東の衛星テレビ局アルアラビーヤは今月二十四日、「タリバンは今もアフガニスタンの大部分を支配している」とのザワヒリ容疑者の肉声とされるメッセージを流したばかり。
 ザワヒリ容疑者は、ロンドン同時爆破テロ翌月の八月にターバン姿でビデオに登場し、「ブレア(英首相)の政策がロンドンに破壊をもたらした」と述べ、九月放映のビデオでは、ビンラーディン容疑者は生存していると述べていた。
 AFPは、生存に言及したこのビデオが、かえってビンラーディン容疑者をめぐる種々の憶測を生んだと分析する。
 同容疑者はアフガニスタンパキスタンの間の山岳地帯に潜伏しているとの見方があるため、「十月のパキスタン地震に巻き込まれて死んだ」との噂(うわさ)が流れたほか、「彼が死ぬ間際にあるのは知っている。何人たりとも神の意思には逆らえない」といった危篤説も、イスラム系のウェブサイトなどに現れたという。
 米国では、「彼はまだ生きている」(在アフガニスタンの米軍司令官)との言葉が示すように生存説が根強い。
 ラムズフェルド米国防長官は二十一日、「彼が世界中のアルカーイダの作戦を指揮する立場にいるとは信じられない」と述べる一方で、「ほぼ一年も動きが見えないのは興味深いが、それが何を意味するかは、分からない」と語った。(佐藤貴生)(産経)