チェチェンの奇病に打つ手無し


チェチェンで奇病発生 薬?化学兵器?原因ナゾ


◎女性子供85人
 【モスクワ=内藤泰朗】ロシア南部のチェチェン共和国で、女性や子供ばかりがかかる原因不明の奇病が発生し、問題となっている。工業用薬品のほか化学兵器心身症まで、さまざまな原因が指摘されているが、最終確認に至っておらず、謎は深まるばかりだ。
 報道によると、奇病が発生したのは、チェチェンの首都グロズヌイ北東部のシェルコフ地区。今月十六日ごろから同地区内の病院に呼吸困難やヒステリー症状を呈した子供や女性が運びこまれたのが発端だ。患者数は日を追うごとに増加し、この一週間で八十五人を数えた。しかし、原因が分からず、治療もできず、手をこまねいている。
 二十三日には、患者の血液中から自動車の不凍液やブレーキオイルにも使われる工業用薬品のエチレン・グレコールが検出されたとの報道や、それを打ち消す報道が相次いだ。
 一方、ロシアの日刊紙ガゼータは、専門家の話として、患者の症状が化学兵器のBZガスに似ているとして、ロシアからの独立闘争を続けるチェチェン武装勢力がロシア軍の横流し化学兵器を入手した可能性があると報じた。しかし、なぜ、女性、子供だけが奇病にかかったのかについては答えていない。
 また精神科医らは、チェチェンなどの紛争地帯で度々みられる心身症の一種と指摘したが、なぜ、チェチェンでも比較的紛争の被害が少ない特定地区で症状が突然発生したかの理由を解明できず、謎を呼んでいる。(産経)