米政府がイラン政府とも対話の姿勢。イラク問題に限り


■イラン新政権とも対話 米、イラク問題に限り許可


◎【ワシントン=樫山幸夫】米政府は二十八日、イラク問題をめぐってイランと直接対話を行う可能性があることを明らかにした。イランに今年夏、アフマディネジャド政権が登場して以来、米国はその方針を見直してきたが、強硬保守派の新政権との間でも対話路線を継続すべきだとの方針に傾いた。
 二十八日発売の米誌「ニューズウィーク」はハリルザド駐イラク米大使の発言として、以前にアフガニスタン問題をめぐって米国がイランと協議をしたように、イラク問題についても協議するのが望ましいとして、同大使自身がブッシュ大統領の許可を求めている−と報じた。
 国務省のマコーマック報道官は二十八日の記者会見で、この報道を大筋で認め、ブッシュ大統領が同大使に対し対話を許可したことを明らかにした。報道官は「許可は狭い範囲だ」と述べ、対話の議題はイラク問題に限定されることを示唆した。
 しかし、「話し合う問題があれば、直接協議が行われるだろう」とも述べ、具体的な議題などについては言及を避けたことから、イランの核問題について意見交換する可能性についても取りざたされている。
 米国は、一九七九年に起きたテヘランの米大使館占拠事件を契機にイランと国交を断絶しているが、その後、中東和平を促進する必要などからイランと対話の糸口を探る方針に転換。特に、クリントン政権時代の九七年に穏健派のハタミ政権が登場して以来、さまざまな機会をとらえて対話再開への努力を継続してきた。核問題については、イランとの交渉を英仏独の欧州連合(EU)三カ国に委ねてきた経緯はあるが、それとは別にやはり独自に関係改善の道を探ってきた。
 しかし、今年八月に強硬派のアフマディネジャド大統領が就任し、同大統領が大使館占拠事件に関与したのではないかとの疑惑が浮上したこともあって、米国は一時、慎重姿勢に転じ、今後のイラン政策の再検討を進めていた。
 イラクとイランの関係について米政府は、テロリストがイランからイラクに潜入していると見て、シリア同様、警戒の対象としてきた。(産経)