米軍3万、来年にも撤退か?


■米軍最大3万人が来年初めにも撤退する可能性=イラク治安当局


◎[バグダッド 29日 ロイター] イラクのルバイエ国家安全保障顧問は29日、同国の治安力に改善が見られるため、来年初めにも最大3万人の米軍兵士がイラクから撤退する可能性があると語った。
 顧問はロイター通信とのインタビューで、イラク軍や治安部隊の活動に進展がみられるほか、最近のゲリラ攻撃の減少は武装勢力の活動が収束に向かい始めている表れであると指摘。そのうえで、「来年初めにも最大3万人の(米軍)兵士がイラクから撤退する可能性があり、その方向で準備を進めてきている」と述べた。
 しかし、2007年末までに米軍が完全撤退する可能性は低い、と指摘した。




■仏首相、米軍の性急なイラク撤退方針に警鐘


◎[パリ 29日 ロイター] フランスのドビルパン首相は29日、米軍のイラク撤退について、地域全体の安全保障を考慮しない撤退はイラクと同地域全体への混乱につながると警告した。
 ドビルパン首相はCNNのインタビューで、性急な撤退はイラクに混乱を招き、「地域全体に破壊的な結果をもたらす」と指摘した。
 米政府は先週、12月15日のイラク議会選挙後、イラク駐留米軍を現在の15万5000人から13万8000人に減らす方針を明らかにした。さらに状況に応じ、来夏までに10万に減らす意向を示した。
 米政府が撤退に関する日程を組むべきかという問いに対し、ドビルパン首相は、いかなる撤退も「イラクと地域全体の状況の調整により、行われるべき。撤退の日程は、世界的な日程となるべきであり、真の日程は、イラクの状況に基づくべき」と語った。




■「面会すれば家族は泣く」 元大統領が真情吐露


◎【カイロ30日共同】イラクフセイン元大統領が28日の高等法廷での公判の休憩中、自分と面会すれば家族は泣いてしまうなどと弁護士らに真情を吐露していたことが分かった。29日付の米紙ニューヨーク・タイムズが伝えた。
 休憩中も法廷のマイクのスイッチが入ったままだったために、外国人記者のために用意されたアラビア語の通訳らに筒抜けになっていたという。
 元大統領は拘置施設での生活について食べ物が気に入らないと述べたほか、「24時間監視されている」と警備の厳しさに不満を漏らした。
 また「親類と会っているか」とほかの被告に尋ねた上で、自分を訪問することで家族の女性たちが泣いてしまうと話し、面会を拒否していることを明らかにした。




■<米戦略文書>イラク駐留米軍の削減着手に初めて言及


◎【ワシントン笠原敏彦】米ホワイトハウスは30日、イラク安定化に向けた戦略文書を発表し、来年中に駐留米軍の削減に着手する見通しに初めて公式に言及した。しかし、具体的な削減規模や日程は示さず、撤退開始はあくまでイラクの国内情勢改善が前提条件であることを強調。「まだ多くの挑戦が残されている」として米国民に米軍駐留への理解と忍耐を訴えている。
 「イラクでの勝利」と題された戦略文書は計35ページから成り、短期、中期、長期ごとの「勝利」の目標を設定した。政治、治安、経済の3分野で段階的に目標の達成を目指し、長期的には安定した統一国家イラクを国際社会に統合し、対テロ戦争の「完全なパートナー」にすることを目指す。
 戦略文書は、イラク国民議会選挙を12月15日に控える政治プロセスが順調に進んでいることを強調。治安部隊の育成でも約21万人を訓練し、120大隊が戦闘に参加、うち40大隊以上が主導的に作戦の遂行が可能になっているとし、「我々の戦略は機能している」と指摘している。
 米国内で駐留米軍の撤退要求が高まる中、文書は「政治プロセスの前進とイラク治安部隊の成長」を前提に、「保証はできないが、駐留米軍の態勢は来年変化するだろう」と削減の見通しに言及した。
 一方で「十分に機能する民主主義がフセイン政権打倒から3年足らずで達成できると考えるのは現実的ではない。いかなる戦争も期限を切っては勝利していない」と国民に忍耐を求めている。
 米国ではイラクからの明確な出口戦略を求める声が強まっており、戦略文書の公表はその批判への対応と見られる。(毎日)