ガザ・エジプト境界線、開放初日は1587人が通過


■ガザ住民「自由への扉」開く ラファハ検問所開放 経済活性化に期待


◎【カイロ=加納洋人】パレスチナ自治区ガザとエジプトとの境界にあるラファハ検問所が二十六日、パレスチナ人の運営により開通した。同検問所は一九六七年の第三次中東戦争イスラエルがガザを占領して以来、同国の管理下にあったが、九月のガザ撤退完了を経て、ガザ住民は初めてイスラエルの直接的管理を受けずに初めて外国に出入りできるようになった。「巨大な監獄」などと呼ばれ、事実上の封鎖状態に置かれていたガザの経済活性化が期待されている。
 二十五日には同検問所で開通式が行われ、「自由への出入り口」と書かれた横断幕が飾られた会場で、パレスチナ自治政府アッバス議長が「夢が現実のものとなった。検問所の再開で、(ガザと)エジプトを自由に行き来できるようになった」と演説。ガザの経済活性化に期待を示した。ガザには海外と行き来する港湾施設がなく、ガザ国際空港も破壊されたままで、ラファハ検問所は、ガザ住民がイスラエルとの境界以外で海外に出る唯一の玄関口となっている。
 同検問所は二〇〇〇年秋からの第二次インティファーダ(反イスラエル占領闘争)以来、イスラエルの管理が厳格化。九月のガザ撤退完了でガザ全域が自治政府の管理下に入ったものの、イスラエル政府は同検問所の管理権を手放さず、テロリストの侵入や武器の密輸の恐れがあるとしてガザ撤退完了の数日前に同検問所を封鎖。その後も一時的にしか開放せず、ガザの経済発展を妨げる閉鎖性の象徴となっていた。
 こうした中、ライス米国務長官の仲介により今月十五日、イスラエル自治政府が、同検問所を欧州連合(EU)の監視の下、自治政府とエジプトの共同管理で運営することで合意。ガザ側の検問所は、自治政府の管理下に置き、EU監視団を配置したうえで、イスラエルがモニターカメラで監視することにした。
 同検問所の開放は、EU監視団が現在の二十人から七十人程度に増員されるまで、一日四時間程度に制限される。さらに、パレスチナ人の出入りとエジプト側への物資の輸出は許されるものの、輸入は許可されず、ガザ南端のイスラエル管理下のケレム・シャローム検問所で輸入手続きが行われる。
 制限付きとはいえ、ラファハ検問所がパレスチナ側の管理下に入ったことで、治療や勉学などのためにエジプト入りするガザ住民が増える見通しだが、エジプト側では、ガザの失業者や武装勢力流入することへの懸念も高まっている。
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 ◆ガザをめぐる最近の動き
 2005年
  2月 8日 エジプトの保養地シャルムエルシェイクで、イスラエルシャロン首相とパレスチナ自治政府アッバス議長が会談、双方の暴力停止で合意
  6月21日 エルサレムで第2回シャロンアッバス会談。撤退後のガザの取り扱いなど協議
  9月12日 イスラエルガザ地区からの全面撤退完了
 11月15日 ライス米国務長官の仲介で、イスラエル自治政府がガザ南部のラファハ検問所の開放で合意
    26日 ラファハ検問所がパレスチナ人管理下で開放

(産経)




■ガザ・エジプト境界線、開放初日は1587人が通過=EU当局者


◎[ラファ(ガザ地区) 26日 ロイター] 9月のイスラエル軍撤退を受け、38年ぶりにイスラエルの監視から解放されたパレスチナ自治区ガザとエジプトの境界線では、一般開放初日となった26日、欧州連合(EU)当局者によれば、1587人がラファ検問所を通過した。
 EU監視団の責任者を務めるピエトロ・ピストレーゼ氏は、検問所の運営が滞りなく行われたことから、27日の開門時間は、26日の4時間より1時間長い5時間になる、との見通しを示した。
 境界線が全時間ベースで開放されるのは、EU監視団の70人全員がそろった時点で、12月中旬までに実現するとみられている。