アメリカでイラク反戦集会


イラク駐留部隊、即時撤退を=戦死者2000人を機に反戦集会−米


◎【ワシントン26日時事】2003年3月のイラク戦争開戦以来の米兵の死者数が2000人に達したのに合わせ、イラク駐留部隊の即時撤退を求める集会が26日、全米各地で始まった。
 イラクでは憲法草案が承認されたものの、武装勢力のテロは衰えず、米兵の犠牲者増大は避けられない情勢で、今後、駐留反対運動が盛り上がる可能性もある。 




イラク駐留死者2000人 米、出口戦略描けず 議会から明示圧力強まる


◎【ワシントン=有元隆志】イラクで開戦以来の米兵死者数が二十五日、二千人の大台に達したことは、新憲法草案の承認により民主化をまた一歩前進させたブッシュ米政権のイラク政策の成果に水を差す形となった。ブッシュ大統領イラク駐留を続ける方針に変更はないと強調しているものの、今後も死者数が増え続けた場合、議会などを中心に将来の米軍撤退に向けた「出口戦略」の明示を求める声が一層、強まることが予想される。
 大統領は同日、ワシントン市内で米軍関係者の家族を前に演説し、イラク憲法草案承認について、「民主主義の構築に向けすばらしい前進を遂げている」と語った。
 そのうえで、イラクで死亡した米兵に敬意を表するとともに、「彼らの犠牲に報いるためにも、自由の拡大で平和の礎を築かなければならない。戦いに勝利するためにはさらなる犠牲と時間、決意が欠かせない」と述べ、イラクでの米軍駐留継続に理解を求めた。
 大統領は同日午後には、訪米中のイラククルド民主党(KDP)のバルザニ議長とも会談、支援継続を約束した。
 大統領演説から数時間後、国防総省は路肩爆弾で負傷した米兵の一人が収容先のテキサス州で死亡と発表。米メディアは米軍の死者数が二〇〇三年のイラク進攻後、二千人に達したと報じた。
 上院では同日、米兵死者に黙祷(もくとう)をささげた。米政府は撤退期限の設定は「敵を勢い付かせるだけだ」(ブッシュ大統領)という立場だが、議会少数派の民主党からは「任務完了の明確な戦略がなくてはならない」(ダービン上院議員)などと、政権批判が噴出した。
 二千人という死者数は年間平均で約六千人も死亡したベトナム戦争(一九六四−一九七三年)と比べれば、多くはない。しかし、普段は普通の仕事に従事している州兵や予備役兵に多くの被害が出ているのが特徴だ。
 このため、米国内では憲法承認などの政治プロセスが進展しても、治安は回復せずに、米兵の死傷者が増えていることへの不満が強まっている。
 十九日の上院外交委員会の公聴会で、ルーガー委員長(共和党)はライス国務長官に、「多くの米国民がイラクでの出口戦略に焦点を当てているのを認識すべきだ。撤退期限の明示は賢明でないとしても、国民は米軍が必ず帰ってくるという根拠をより深く理解する必要がある」と指摘した。
 世論調査会社、ゾグビーが十九−二十一日に約千人を対象に実施した電話世論調査でも、即時撤退を求めたのは36%にとどまり、55%はイラクが安定するまで駐留を継続すべきだと答えた。もっとも、「数年以上とどまるべきだ」と回答したのは7%に過ぎなかった。
 米政府としては今後、十二月の総選挙で本格政権を樹立させる一方、イラク人部隊の育成を急いで、駐留米軍の段階的削減を図りたい考えだ。国防総省内には現在の駐留兵力約十五万人を来年半ばまでに八万人に、そして同年末までに四−六万人に削減する案もある。
 しかし、同省が十三日に議会に提出した報告では、米軍の支援なしで活動できるイラク軍部隊は一個大隊に過ぎず、具体的な「青写真」を描ききれていないのが実情だ。(産経)




イラク憲法承認を非難 聖戦アルカイダ


◎【カイロ26日共同】イラク聖戦アルカイダ組織を名乗るグループは26日、イラク憲法が15日の国民投票の結果、承認されたことを非難する声明をウェブサイトに出した。信ぴょう性は不明。
 声明は「イスラムスンニ派教徒を取り込み、民主主義なる政治的なゲームに参加することが必要だという誤った印象を植え付けるのが目的だ」と主張した。




■来年には米軍の削減可能 イラク憲法承認で米大使


◎【ワシントン26日共同】米国のハリルザド駐イラク大使は26日、ホワイトハウスで記者会見し、イラク憲法案が国民投票で承認されたことなどを受けて、駐留米軍の規模について「来年には削減できるのではないか」と述べ、政治プロセスの進展で削減が可能になるとの認識を示した。
 2003年3月のイラク戦争開戦後に死亡した駐留米軍の兵士らの数が2000人に達し、早期撤退への圧力が高まる中、政治日程やイラク人治安部隊の訓練を進め、米軍削減につなげたいとの考えを示したとみられる。




■2000社以上が不正関与 イラク石油疑惑で最終報告へ


◎ 【ニューヨーク27日共同】イラクの旧フセイン政権下における国連人道支援事業「石油・食料交換計画」をめぐる不正事件で、国連の独立調査委員会は27日、企業の関与に焦点を合わせた最終報告書を発表する。同日の米紙ニューヨーク・タイムズなどは60カ国、2000社以上の企業や個人が旧政権側にわいろなどを渡したと報道、日本企業の関与も注目されている。
 昨年4月の安全保障理事会決議を受けて発足、「国連史上最大のスキャンダル」にメスを入れた独立調査委の活動はこれで終了。人道支援の名の下で国連に巣くう「不正の構図」が明らかになり、抜本改革の必要性をあらためて印象付けた。
 同紙などによると、1996年から2003年に実施された同事業には世界の4500社以上が参加、半分以上の企業がフセイン元大統領らに不正なリベートなどを支払っていた。




シーア派民兵ら25人死亡 イラク、銃撃戦で


◎【カイロ27日共同】イラク内務省報道官によると、首都バグダッド近郊で26日深夜から27日にかけ、イスラムシーア派の反米指導者サドル師派の民兵組織「マハディ軍」が、スンニ派武装勢力と衝突し銃撃戦になり、民兵23人と警官2人の計25人が死亡、7人が負傷した。武装勢力側の死傷者数は不明。
 イラクでは25日に新憲法案が承認され、12月の総選挙に向け政治日程が進展する一方で、多数派のシーア派と少数派のスンニ派による宗派間対立が深まっている。シーア派の中でも過激なサドル師派民兵が多数死亡したことで、緊張が高まる恐れがある。