原油価格高騰を抑えるため、原油を増産


■サウジ国王「原油40万バレル以上増産」 代替エネルギー移行警戒


◎【ワシントン=樫山幸夫】サウジアラビアのアブドラ国王は米ABCテレビのインタビューに応じ、十四日夜にその模様が全米で放映される。事前に分かった会見内容によると、国王は、原油価格高騰に強い懸念を表明、同国の原油生産量をすでに引き上げていることを明らかにした。

 アブドラ国王は原油増産について「(石油を消費する)他の国への打撃が深刻であることを考えれば、価格が現在の状況にあるべきではない」として、同国の原油産出量を九月の日量九百六十万バレルから千万バレルを超える水準まで引き上げていることを明言した。


 国王によると、石油輸出国機構(OPEC)のなかでは、増産を支持する国はいまのところないという。サウジがあえて増産に踏み切ったのは、価格高騰によって、消費国での代替エネルギー開発が進み、原油離れが促進されることへの警戒感からとみられる。


 一方、国王は、二〇〇一年九月の米中枢同時テロの実行犯の多くがサウジ出身だったことに関連して、「サウジがイスラム原理主義勢力に資金協力しているのではないか」との見方を否定。同時テロ実行グループのアルカーイダを「狂信的で邪悪だ。これを撲滅するためにはたとえ三十年かかろうと戦う」と対決姿勢を鮮明にした。


 国王はまた、サウジでの人権侵害、とくに女性への抑圧などを米国が非難していることについて、「女性も車の運転ができるようになる日がくると思う。われわれの国民は今、世界に開かれつつあり、時が来ればすべてのことが可能になるだろう」と女性への制限緩和を示唆した。
 国王が内外のインタビューに応じたのは八月の即位後、初めて。(産経)