インドネシア 石油製品値上げ 抗議デモ 反政府暴動転化も


◎【シンガポール=藤本欣也】インドネシア各地で二十九日、来月一日からの石油製品の値上げに対する抗議デモが相次いだ。値上げ前の駆け込み購入で給油所に長蛇の列ができるなど、混乱も広がっている。今のところ抗議デモは抑制されているものの、住民生活への打撃が深刻化すれば反政府暴動に転化する可能性もあり、ユドヨノ政権は警戒を強めている。

 この日、首都ジャカルタの大統領府前では学生やトラック運転手ら約二千人が「国民に負担を押し付けるな」などとデモ行進し、値上げ撤回を求めた。スラウェシ島のマカッサルでは、約千人がカラ副大統領の自宅に押しかけようとして警官隊と衝突。AP通信によると、少なくとも十都市で抗議デモが起きた。


 来月一日以降、値上げが実施されるのはガソリンや灯油などの石油製品で、値上げ幅は50%前後と見込まれている。このため、各地の給油所に買いだめをしようと車やバイクが殺到、在庫切れのスタンドが相次いだ。


 ユドヨノ大統領は「抗議デモをするのは理解する。ただ、合法的で平和的なデモをお願いする」と国民に冷静な対応を呼びかける一方、不測の事態に備えてジャカルタに約五千五百人の警官を動員し厳戒態勢で臨んだ。


 ユドヨノ政権の石油製品値上げは三月に続き二回目。原油の純輸入国に転じた同国では石油製品の国内価格を低く抑えるため、国際価格との差額を補助金でカバーしてきたが、原油価格の高騰により補助金は増え続け、財政赤字が拡大。通貨ルピアも約四年ぶりの水準まで下落し、政府は補助金削減のため石油製品の値上げを決めた。(産経)