原油高受け石油製品の大幅値上げへ インドネシア


インドネシア政府は来月1日、原油高を受けて、ガソリンなど石油製品の値上げに踏み切る。国内各地ではガソリンなどの駆け込み需要が急増し、品不足が目立つ一方、29日には値上げ反対のゼネストが予定されている。過去、同国では石油製品の値上げのたびに政権基盤が揺らいだ。初の直接投票で選ばれたユドヨノ大統領は、来月の政権発足1周年を前に試練を迎えている。

 値上げは、ユドヨノ政権として3月に続いて2度目で、上げ幅は50〜60%と見られている。インドネシア石油輸出国機構(OPEC)に加盟する産油国だが、好況による需要増にもかかわらず、投資の低迷から原油生産が落ち込み、昨年初めて純輸入国に転じた。加えて、石油製品の価格を低く抑える補助金原油高騰によって急増し、財政赤字が拡大。その結果、先月末にルピアが急落した。今回の値上げは、自国通貨防衛という意味合いも持つ。

 値上げが確実になったことを受けて、28日にはジャワ島のジョクジャカルタやスマラン、マランなどで給油待ちの列が1キロ以上になった。ジャカルタをはじめ、スラバヤやバンドン、マカッサルの主要都市では学生らがデモを行った。

 過去、石油製品の値上げは、国民の猛反発を受け、スハルト、メガワティ両政権の弱体化に結びついた。政府は今回の値上げにあたり、貧困層1500万世帯を対象に30万ルピア(約3300円)の支給を決めたほか、国営石油会社が関与する密輸事件の摘発に乗り出すなど世論の沈静化に努めた。こうした取り組みもあって、今のところ、大きな反対世論の高まりは見られていない。ただ、労組や学生団体らが呼びかける29日のゼネストに対しては、軍や警察が警戒を強めている。(朝日)