ムーディーズ、イ見直しで格上げ濃厚


格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは27日、インドネシアの財政健全化傾向を評価し、外貨・ルピア建て国債の格付けを上方修正する可能性を検討すると発表した。中期的な財政や対外債務見通しのほか、低迷する外国投資問題などぜい弱さにも焦点を当てるとした。
ムーディーズは、昨年の財政赤字国内総生産GDP)比1%以下に縮小したことなど、過去数年に渡って赤字が小幅にとどまっていると評価。結果としてGDP比の政府債務や、債務歳入比率が急速に低下しており、この傾向が持続的なものかどうかを分析するとしている。
同社の現在の格付けは外貨・ルピア建て国債が「B2」、銀行預金の外貨建てシーリングが「B3」となっている。見通しは「強含み」で上方修正が見込まれている。国内の外貨建て債券発行体に対する格付けの上限カントリー・ガイドライン「Baa2」は見直しの対象にならないという。
同社は、格付けを「B1」へと引き上げた場合、他のB1諸国に比べ、インドネシアの対外債務が大きいものの、国債の構造が外部要因に対し耐性があるかどうかを見るとしている。このほか、外国投資がまだ低水準を脱していないことが中期的な経済成長の重しとなっているとした上で、政府による投資環境改善に向けた努力を重要視しているとした。ただ、問題は山積しており、将来的な格付けは努力の実現によるとも指摘している。
金融・為替政策については、昨年の資本流失が外貨準備高の急激な減少を引き起こし、その後中央銀行の金融引き締め政策で回復したものの、突如発生する資本流失に対しぜい弱さを示したと分析した。
政府は、同日から海外で発行予定の国債の投資説明会を開催している。ブディオノ経済担当調整相は先ごろ、ムーディーズの担当者と会合し格上げが予想できるとしていた。また国債発行前に格上げとなれば、利回り低下につながるとして期待を示していた。
ほかの格付け会社は、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が今月9日に格付け見通しを「安定」から「強含み」に引き上げ、フィッチ・レーティングスが12日に格付け見通しを「強含み」から「安定」に引き下げていた。

■企業格付けも見直し
ムーディーズは27日、国債格付けを見直すことから国内の9銀行の格付けも見直すと発表している。対象となるのは、バンク・ダナモン、バンク・インターナショナル・インドネシア(BII)、バンク・マンディリ、バンク・ヌガラ・インドネシア(BNI)、バンク・ニアガ、バンク・プルマタ、バンク・ラクヤット・インドネシア(BRI)、バンク・タブンガン・ヌガラ(BTN)、パン・インドネシア・バンク(パニン)。
このほか、通信インドサット、エクセルコミンド・プラタマ、国営ガスPGN、国営鉱山アネカ・タンバン(アンタム)、不動産開発リッポー・カラワチなども格付け見直し対象となっている。(NNA)