■日本に和平仲介役期待、ハニヤ氏が読売新聞と単独会見


◎【エルサレム=三井美奈】パレスチナ自治政府首相に指名されたイスラム原理主義組織ハマス幹部のイスマイル・ハニヤ氏は26日、読売新聞との単独会見に応じ、「イスラエルが(将来の)パレスチナ国家の主権尊重を宣言すれば、共存に向けて話し合う用意がある」と言明した。
 ハマスが設立憲章で掲げる「イスラエルせんめつ」の基本方針転換の用意があることを示したものだ。また、米欧と異なり援助停止を明確にしていない日本政府に対し、「和平に向けたどんな提案も感謝する」と述べ、和平仲介への異例の強い期待を示した。

 ハニヤ氏は、イスラエル承認の条件として、<1>1967年の第3次中東戦争で占領したヨルダン川西岸からの撤退<2>エルサレムを首都とするパレスチナ国家樹立<3>政治犯釈放――をあげた。ただ、イスラエルは現時点では、併合した東部を含むエルサレム全域を「不可分の首都」と位置づけており、当面、進展は見込めない。

 一方、ハニヤ氏は、中東和平プロセスで“新参”の日本に強い期待を表明し、「第2次大戦後の占領から経済的復興を遂げた国。見習いたい」と述べ、社会基盤整備で日本政府の協力を得たいとの考えを示した。

 ◆クリップ=パレスチナ解放機構(PLO)は1988年、限定的な形でのパレスチナ国家の独立を宣言するとともに、イスラエル生存権(国家の存在権)を容認。これが93年の暫定自治宣言(オスロ合意)に結びついた。一方、PLOに属さないハマスは、生存権を認めず、「パレスチナ全土の解放」を唱えている。(読売)