ハマスのハニヤ氏に組閣を要請 自治政府アッバス議長


パレスチナ自治政府アッバス議長は21日、自治評議会(国会に相当)の過半数を握るイスラム過激派ハマス首相候補に指名したイスマイル・ハニヤ氏に対し、正式に組閣を要請した。記者会見で同氏は、自治政府の旧主流派ファタハと連立協議を始める方針を確認したうえで、「ハマス指導部で組閣について検討し、できるだけ早く回答する」と述べた。

 アッバス議長は21日夜(日本時間22日未明)、ハニヤ氏と会談して組閣要請の書簡を手渡した。議長は書簡の中でハマスに組閣を認める条件として、イスラエルとの過去の和平合意を尊重し、テロ行為など暴力をやめるよう求めた。

 ハニヤ氏と議長との会談には、ファタハの議員団長アフメド氏も同席した。ハニヤ氏は記者団に「ファタハを含むできるだけ多くの党派を加えた連立政権を目指す」と明言した。ハマスファタハの連立協議は22日に正式に始まった。

 規定によれば、組閣要請を受けたハニヤ氏は今後、最高5週間以内の組閣を目指す。ただ、議長が示した条件や、連立のやり方などをめぐりハマス指導部がどう判断するかは依然不透明で、新政権発足に向けてはなお曲折する可能性がある。(朝日)




■議長とハマス、和平で対立 自治政府分裂の恐れも


◎【ガザ市22日共同】パレスチナ自治政府のトップで穏健派のアッバス議長と、イスラム原理主義組織ハマスが、1993年のパレスチナ暫定自治宣言(オスロ合意)などイスラエルとのこれまでの和平合意をめぐって対立し、自治政府が分裂する恐れも出てきた。

アッバス議長は21日、ハマス首相候補ハニヤ氏に組閣を要請する際、合意順守を強く要求。しかしイスラエルの存在を前提にするオスロ合意の拒否はハマスの党是で、受け入れは困難だ。

オスロ合意に疑問を挟むことは許さない」。議長は18日、選挙後初招集されたパレスチナ評議会でハマスにくぎを刺した。側近のアブルデイネ議長府報道官は「自治政府にはイスラエルとの合意の履行義務がある」と強調。ハマスが応じなければ「複雑な事態になる」と警告した。