PLOの交渉局長、イスラエルに和平交渉を呼びかけ

イスラエル ペレス氏、新党陣営へ 首相代行に全面協力表明

◎【カイロ=加納洋人】イスラエルシャロン首相(77)が脳出血で倒れる前に旗揚げした新党カディマ(前進)陣営に、ペレス元首相(82)がとどまる可能性が高まった。同氏に対し、中道左派労働党が復党を働きかけていたが、ペレス氏は八日、オルメルト首相代行に全面協力すると表明した。
 新党カディマに対する他党の切り崩し工作が激しくなる中、焦点となっていたペレス氏の動向について、ペレス氏は八日朝、イスラエル放送(ラジオ)のインタビューで、カディマオルメルト首相代行に全面協力する意向を示した。また、イスラエル紙ハアレツ(電子版)は、オルメルト氏に近い筋の話として、ペレス氏がカディマ陣営にとどまる見通しだと伝えた。
 ペレス氏は、オルメルト首相代行との六日の会談後も明確な態度を示さず、カディマ幹部の間からは「ペレス氏は(新党と労働党をてんびんにかけ)自分の値打ちを引き上げようとしている」との批判が出ていた。
 オルメルト氏は会談のなかでペレス氏に対し、総選挙の比例代表名簿の五位以内にペレス氏の名前を置き、新政権では閣僚に登用することを約束したという。両氏は近く再会談する予定。シャロン首相が倒れたことで、弱体化が懸念されるカディマは、オルメルト氏を後継党首に据え、ペレス氏を取り込むことで難局を乗り越える方針だ。世論調査ではペレス氏がカディマを率いた場合、総選挙(定数百二十)で四十二議席を獲得するという結果が出ている。(産経)


■首相代行に和平交渉を要請 パレスチナ交渉局長

◎【エルサレム9日共同】パレスチナ解放機構(PLO)のアリカット交渉局長は8日、ヨルダン川西岸ラマラで共同通信と会見、イスラエルシャロン首相の入院に伴い首相代行に就いたオルメルト氏に対し、和平交渉の再開を同日呼び掛けたことを明らかにした。
 交渉局長は「交渉のテーブルにつく意思があるなら応じるとオルメルト氏に伝えた。イスラエルが交渉に前向きな政権をつくるよう
求める」と述べた。停滞していた和平交渉の再開に積極姿勢を示し、同国に新たな強硬派政権が誕生しないようけん制する狙いがあるとみられる。


イスラエルシャロン首相、自発呼吸を回復

◎[エルサレム 9日 ロイター] 脳内出血で手術を受けたイスラエルシャロン首相は9日、自発呼吸を回復した。同首相が入院しているハダサ病院が明らかにした。
 同病院のディレクター、モアヨセフ医師は、記者団に対し「首相は引き続き人口呼吸器を装着しているが、自発呼吸をしている」と語り、これは脳の活動を示す初めての兆候であるとも述べた。
 医師団は、同首相の意識の回復を目指し、投与している麻酔の量を徐々に減らし始めている。