インドでイスラム過激派が、大学で銃を乱射。


■テロ?大学で銃乱射 インドIT産業の中心地


◎【シンガポール=藤本欣也】インドの情報技術(IT)産業の中心地として知られる同国南部のバンガロールで二十八日、男が名門大学の講堂に乱入し自動小銃を発射、五人が死傷する事件が起きた。地元警察はテロの可能性を含め捜査しているが、外国企業が集まるインド随一のIT都市で起きた事件だけに、イメージ悪化を恐れる政府は市内警備の強化など対応に追われている。
 現地からの報道によると、事件は二十八日夜、バンガロールのインド科学大学院大で開かれていた国際会議の終了直後に発生。男が自動小銃を乱射し、会場にいた出席者約三百人のうち、インド工科大の教授一人が死亡したほか四人が負傷した。男は車で逃走したという。複数の共犯者がいたとみられている。現場には自動小銃一丁、手投げ弾一つなどが残されていた。
 地元警察の当局者はAP通信に対し、「テロ攻撃の可能性を排除できない」と指摘、イスラム過激派「ラシュカレトイバ」の関与の疑いもあるとみて捜査していることを明らかにした。
 ラシュカレトイバは、カシミール地方の分離独立を求めるテロ組織で、六十人以上の死者を出した十月下旬のニューデリーでの同時爆破テロに関与したとみられている。
 今回、現場となったインド科学大学院大は同国でトップクラスの総合大学院大として知られ、過去にノーベル賞受賞者らが輩出しているが、同大がラシュカレトイバの襲撃リストに入っていたとの情報もある。
 人口約六百万のバンガロールは「インドのシリコンバレー」と呼ばれ、内外のIT関連企業約千三百社が進出している。インドでのテロはこれまで、カシミール地方の紛争地やニューデリーなど政治の中心地が多かったのに対し、今回は、インドの高度成長を牽引(けんいん)する経済の中心都市がテロの標的となった可能性があり、政府は警戒を強めている。
(産経)