フセイン元大統領が「アメリカ人から暴行を受けた」と主張


サマワで英軍車列に攻撃 手りゅう弾2個


◎【サマワ21日時事】陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワで21日午前11時半(日本時間同日午後5時半)ごろ、イスラムシーア派の反米指導者サドル師派事務所近くをパトロールしていた英軍の車列付近に手りゅう弾が2発投げ付けられ、うち1発が爆発した。英軍側に被害はなかった。
 一方、サドル師派は「英軍はサドル師派の幹部を手りゅう弾で殺害しようとしている」と抗議声明を出し、英軍が同派事務所付近をパトロールしたことに強く反発。自動小銃などで武装した同派支持者約300人が同日夕、市内をデモ行進した。 




■「米国人から拷問受けた」=フセイン元大統領が主張


◎【カイロ21日時事】イラクの旧フセイン政権の人道犯罪を裁く裁判の21日の公判で、フセイン元大統領は「米国人に殴られ、拷問された」と主張した。
 フセイン被告は「体中あらゆる場所を殴られ、その跡は今も残っている」と述べた。また、同被告だけでなく、その他の被告7人全員が同様の拷問を受けたと強調した。
 フセイン被告は2003年12月に米軍に拘束された後、04年6月の主権移譲を受け、イラク暫定政府に身柄が引き渡されるまで米軍の拘束下にあった。
 こうした主張に対し、ホワイトハウスのマクレラン報道官は「ばかげた話だ」として強く否定した。




■「うそつきは米政府」 拷問事実とフセイン


◎【カイロ22日共同】住民虐殺などで戦争犯罪に問われたサダム・フセインイラク大統領(68)ら8被告の公判が22日、バグダッドの高等法廷で続開され、同被告は駐留米軍に拷問を受けたのは事実とあらためて主張、米当局者の否定について「うそをついているのはホワイトハウス(米政府)だ」と批判した。
 同被告は21日の公判で「われわれ(8被告)は米国人に殴られ、拷問を受けた」と主張したが、マクレラン米大統領報道官ら米当局者は否定している。
 22日の公判で同被告は、イラク戦争開戦の大義となった大量破壊兵器が見つからなかった点を指摘、「米国はイラク化学兵器を持っていると言った。(今回)またうそをついた」と述べた。




フセイン節全開、裁判中「地獄に落ちろ」 市民いらだち


イラクフセイン元大統領らを裁くために設置され、21日に第6回公判を迎えた「イラク高等法廷」に対し、市民のいらだちが募っている。テレビ中継される元大統領の姿は、市民が期待した「裁かれる元独裁者」ではなく、裁判官をあざ笑う「堂々たる権力者」そのものだ。米国やシーア派政権は「旧体制の終わりを演出する政治ショー」をもくろんだはずだったが、逆に「フセイン健在」を印象づける皮肉な結果になっている。

 市民の憤激をかっているのは、公判で目立つ被告の「特別扱い」だ。第4回目の6日、元大統領は裁判長の言葉をさえぎり「我々は疲れた。2日間同じ服を着たまま、たばこも吸えない。不正な裁判には出ない。法廷は地獄に落ちろ」と叫んだ。元大統領は翌日、本来なら認められないはずの欠席が本当に認められてしまった。

 初公判では、被告の1人が通常の法廷で認められない部族のかぶり物を着て出廷。被告に対する特別扱いぶりを印象づけた。いったん廷吏が取り上げたものの、被告の要求を受けて裁判長自ら許可を出す始末だった。

 起訴事実となったドゥジャイル村の虐殺に関する審理で、おいを含む家族14人を殺された男性が証言台に立つと、元大統領の異父弟イブラヒム元国家情報局長官が「おまえのおいなど地獄に落ちろ」とののしった。また、勝手な発言だとして裁判官から注意を受けた同元長官が「おまえにおれを指さす権利はない」と叫び、裁判官の制止を無視する場面もあった。

 同法廷のムサウィ検察官は20日、朝日新聞に「法廷は確かに、運営や手続きの面でいくつかの誤りを犯している」と、被告に対する対応が甘いことを認めた。

 市民の不満は収まらない。

 「まるでコメディーだ。裁判長がサダムを裁いているんではなく、サダムが裁判長を裁いている」

 父と兄をドゥジャイル村の虐殺で失った農民(41)は20日、村でため息をついた。過去4回の公判はテレビで見たが、以後は悔しくて見ることができないという。

 17日にはシーア派の聖地ナジャフでジャファリ首相が演説し、政治プロセスの成功を自賛し始めたところ、裁判に不満を抱く市民にさえぎられた。2000人を超える聴衆が「サダムに死刑を」と叫び、首相は「皆の犠牲はよく知っているが、裁判には公平性が必要だ」となだめるのに必死だった。

 市民の不信の目は米国にも向かう。現地メディアでは「米国は長く元大統領と協力関係にあったので、実は死刑回避を目指している」との論調が目立っている。

 カリルザード米大使は記者会見で「イラク人のいらだちは承知している。しかし、裁判はできる限り公平に行う必要がある」と述べた。(朝日)




■<ポーランドイラク駐留延長を決定


ポーランド外相は21日、訪問先のワシントンでイラクへの派遣を来年以後も継続することで米国と合意したと述べた。同国は東欧最大の1400人の兵員を派遣、中南部に展開する国際協力部隊の指揮権を執っている。ただ、イラク新政権が年内にも発足する情勢を踏まえ、来年以後は500人削減し、900人程度とする。(毎日)




■主要3派、初連立へ協議 「不正」訴え波乱も


◎【カイロ22日共同】イラク連邦議会選挙(定数275)は22日までの選管中間発表で、イスラムシーア派宗教勢力の与党会派「統一イラク同盟」(UIA)が第1党を維持、クルド人スンニ派の両陣営が第2党を争う構図が鮮明になった。各陣営は、初の主要3派による連立政権樹立を目指し、協議を本格化させている。
 アラウィ前首相率いる宗教色の薄い「イラク国民名簿」は第2党を狙ったが失速。同会派は選挙に不正があったと主張、スンニ派を味方に付けて巻き返しを図る構えを見せており、今後の展開は波乱含みだ。




■<ブレア英首相>イラク・バスラを訪問、英軍を激励


◎ブレア英首相は22日、イラク南部バスラを訪問し、同地に駐留する英軍を激励した。首相のバスラ訪問は4度目。首相は、イラク連邦議会選挙後の治安の現状を視察するとともに、クリスマスをイラクで過ごす兵士たちを慰労した。(毎日)