アチェの独立派ゲリラ、すべての武器を政府に引き渡し。平和へ大きな前進


■独立派ゲリラ、武装解除を完了=恒久和平へ前進−インドネシアアチェ


◎【ジャカルタ19日共同】インドネシアアチェ州の独立派武装組織「自由アチェ運動(GAM)」は19日、政府との和平合意に基づく最後の武器引き渡しを行い、9月に始まった武装解除は終了した。
 武装解除が大きな混乱なく完了したことで、約30年間に及んだアチェ紛争は最終的解決に向け、最大の難関を突破したと言える。26日で1年を迎えるスマトラ沖地震の被災地復興にも弾みがつきそうだ。
 GAMは19日、小銃など37点を欧州連合(EU)主導の和平監視団に引き渡し、監視団は同日夜「合意通り計840点の武器引き渡しが終わった」と発表した。




■<インド洋津波>支援物資、転売相次ぐ アチェ


◎昨年末のインド洋大津波で大きな被害を受けたインドネシアアチェ州で世界食糧計画(WFP)などが被災者に配給している米や缶詰の転売が現地で相次いでいる。一部の被災者に必要量以上の米が支給され、同じ種類の缶詰を被災者が消費しきれないことなどが原因で、効率的な支援の観点からWFPの配慮不足を指摘する声も出ている。【インドネシアアチェ州で岩崎日出雄】
 ◇同じ缶詰1人20〜30個…一部で米の重複受給も
 州都バンダアチェ市の中心部にある大市場。支援米を転売している店が5店あり、一部では20キロや30キロ入りの米袋が店の奥まで山積みにされていた。WFPのマークやインドネシア食糧調達庁の名前が入った袋が大半で、「台湾から愛を」という英文メッセージ入りもあった。
 WFPは日本など27カ国・機関の援助を元に現在55万人(最多時120万人)に対して1人当たり月12キロの米を支給している。これまでの支給総量は8万1000トンで、大半をインドネシアの食糧調達庁から購入した。
 関係者によると、支援米は被災者が直接、店に売りに来たり、業者が被災者から買い集めて持ち込む。店の一つでは20キロ入りの袋を最高5万2000ルピア(約614円)、30キロ袋を平均8万ルピア(約945円)で買い取るという。
 店主は「3月から持ち込みが絶えない。被災者や業者が各地から売りに来る。1日で約500キロを買い取る日もある。1袋につき数千ルピアを上積みして転売する」と明かす。それでも市場価格より割安のため、支援米が配られていない遠隔地の業者が数百キロ単位で買っていくという。
 支援米を売った被災者は「関係当局の点検が甘いので、離れて暮らす家族の分も受給できる」「複数の援助団体から重複受給する月もある」と語る。中には受け取った米の半分近くが余る人もいるという。
 バンダアチェ市内の食料品店ではWFPのマーク入りのイワシ(トマト煮)の缶詰が売られている。被災者らは「トマト煮はアチェ人の好みに合わない。しかも、毎月同じ種類の缶詰が1人につき20〜30個も配られるので飽きた」とこぼしている。WFPバンダアチェ事務所の担当者は「缶詰が飽きられるのは想定外。今後は豆などへの切り替えを検討している」と話している。(毎日)




■人権活動家毒殺、禁固14年 インドネシア、謀略説も


◎【ジャカルタ20日共同】インドネシアの中央ジャカルタ地裁は20日、昨年9月に国営ガルーダ航空機内で、同国を代表する人権活動家ムニール氏=当時(38)=の機内食ヒ素を入れ殺害したとして、殺人罪に問われた当時の同航空パイロット、ポリカルプス・プリヤント被告(44)に禁固14年の判決を言い渡した。
 ムニール氏は、旧スハルト体制下で多数の若手民主活動家が陸軍特殊部隊に拉致され行方不明になった事件などを追及していた。毒殺は情報機関の国家情報庁高官が仕組んだとする謀略説が根強いが、全容は解明されていない。