選挙後、各地で武装活動再発


■各地で17人死亡 選挙後、武装活動再開


◎【カイロ18日共同】イラクの首都バグダッドなどで17日夜から18日にかけ、警察官や政党幹部の親族を狙った襲撃事件が相次ぎ、AP通信によると少なくとも17人が死亡した。15日の連邦議会選挙に伴う厳戒体制が解除されたのに合わせ、選挙中は比較的少なかった武装勢力の活動が再び活発化してきた。
 首都バグダッドで18日、道路脇に仕掛けられた爆弾による攻撃で警官3人が死亡するなど、首都と近郊で17日夜から銃撃や自爆攻撃などが相次ぎ、警察など治安部隊関係者ら少なくとも計15人が死亡。
 北部キルクークでは17日夜、タラバニ大統領が率いるクルド愛国同盟幹部の親族2人が何者かに銃撃され死亡した。




■米副大統領がイラク訪問 選挙成功をアピール


◎【カイロ18日共同】チェイニー米副大統領は18日、イラクの首都バグダッドを予告なしに訪問、移行政府のジャファリ首相やタラバニ大統領らと会談し、15日に実施されたイラク連邦議会選挙の成功をアピールした。イラク戦争の旗振り役だったチェイニー副大統領のイラク訪問は、戦争後初めて。
 AP通信によると、副大統領は同選挙について記者団に対し「全土で驚くべき投票率が記録された」と述べ、武装勢力の支持基盤でもあるイスラムスンニ派地域でも多数の住民が投票した意義を強調。




■誘拐・拘束の女性考古学者、23日ぶりに解放


◎【ベルリン斎藤義彦】ドイツ政府は18日、先月末からイラクで誘拐・拘束されていた南独出身の女性考古学者、ズザンネ・オストホフさん(43)が23日ぶりに解放され、バグダッドの独大使館に保護されたことを明らかにした。けがはなく健康状態は良好という。
 誘拐については身代金目的との見方もあったが、独政府は解放の詳細を明らかにしていない。
 オストホフさんは、イラクに医薬品を運ぶ人道支援事業にあたっていたが、先月25日にイラク北部で誘拐された。
 武装した犯人グループはドイツがイラク政府に協力しないよう要求。聞き入れられない場合はオストホフさんを殺害するとしたビデオテープを独テレビに届けていた。
 独政府は要求を拒否すると同時に、解放交渉にあたっていた。
 ドイツはイラク戦争に反対し、独兵をイラクに派遣していないため、誘拐は初めてだった。(毎日)




■<ブッシュ大統領イラク政策への支持求める TV演説


◎【ワシントン笠原敏彦】ブッシュ米大統領は18日夜(日本時間19日朝)、ホワイトハウスの執務室から米国民に向けてイラク政策のテレビ演説を行った。大統領は、イラクでの戦いが「予想以上に困難」と認めた上で、米国には「勝利か敗北か」の二つの選択肢しかないと迫り、イラク政策への支持を求めた。執務室からのイラク演説は03年3月に開戦決断を告げて以来。
 大統領は「私のいくつかの決定が多くの(米兵らの)犠牲を生んだ。この戦争が論争の多いことを知っている」などと自らの責任に言及し、国民の懸念に理解を示す率直な姿勢を見せた。一方で、国内で高まる早期撤退論には、その影響の重要さを警告した。
 ◇戦争継続に強い決意示す ブッシュ大統領
 【ワシントン笠原敏彦】ブッシュ米大統領は18日のホワイトハウス執務室からのテレビ演説で、イラク戦争の決定が「悲惨な(米兵らの)犠牲を生んだ」と認めるなど、米国民の懸念に率直に耳を傾ける姿勢を強調しながらも、「勝利」前の駐留米軍の早期撤退は「許さない」と語り、改めて戦争の継続に強い決意を示した。米世論のイラク政策への支持が低迷する中、大統領は国民により率直に語りかけることで支持をつなぎ留める戦術に訴えている。
 ブッシュ大統領は、高投票率となった15日のイラク連邦議会選挙を「暴力の終結を意味しない」と語る一方で、「新しい何かの始まりだ。それは中東の真ん中に立憲民主主義国家が誕生することだ」と語り、選挙の成功が「中東民主化」の誘因になる可能性を示唆してその成功を強調した。
 大統領は、米軍死者数が2100人を超えても治安情勢に改善の兆しが見えないことから、米国内に悲観的な見方が広がっていることにも率直に言及。「戦争に負けたと結論づける人たちがいる」「我々は問題を解決するより、より多くの問題を作っているのではないかと問う人たちがいる」と述べ、イラクでの戦いは「予想した以上に困難だ」と認めた。
 一方で大統領は、駐留米軍の撤退スケジュールを提示することは改めて拒否した。「イラクの友人を見捨てれば、米国は約束を守らず信用できないとのシグナルを世界に送ることになる」と訴え、「我々には二つの選択肢しかない。勝利か敗北かだ」と米国民に迫ることで支持を呼びかけた。
 米政府はイラクからの明確な「出口戦略」を求める世論の高まりを受けて先月末、米軍撤退への道筋を概略的に示す「イラクでの勝利」戦略を発表した。大統領はこれに基づく過去4回の演説で、イラク治安部隊の育成や経済復興で「失敗」があったことなどを認め、より率直な現状認識を示すことで支持率を40%程度まで回復している。
 日曜夜のテレビのゴールデンタイム(米東部時間午後9時)に合わせた演説には、70%近い投票率が予想される議会選挙の成功を「転換点」とし、米国民の支持回復につなげたい狙いがある。(毎日)




■「イラク、強力な同盟国に」米大統領演説で成果強調


◎【ワシントン=貞広貴志】ブッシュ米大統領は18日夜、15日のイラク国民議会選挙を踏まえた米国のイラク政策についてテレビ演説し、「われわれはイラクでの戦争に勝ちうるのみならず、すでに勝利を収めつつある」と成果を強調した。

 大統領は、「この選挙が意味するのは、米国がテロとの戦いで、ますます頼りになる同盟国を得ること」とも述べ、イラクに樹立する民主政権が米国の中東での同盟国となることに楽観的な見通しを示した。

 日曜夜のプライムタイムを選んだテレビ演説は、2003年3月の開戦以来となるホワイトハウスの大統領執務室からの生中継の形をとった。20分弱の演説で大統領は、イラク派兵反対派の主張にも一定の理解を示しながら、「米国の前には勝利か敗北かの二つの選択肢しかない」と強調、「全面支持は求めない。だが、絶望に屈せず、自由に向けた戦いをあきらめないで欲しい」と訴えた。

 大統領は、「イラクでの事業は、事前の予想以上に困難だった」と認め、開戦に踏み切った自らの「責任」に再び言及した。今後の治安情勢についても「選挙が暴力の終焉(しゅうえん)を意味するものではない」と述べ、自爆テロなど流血の事態が継続することを想定。一方で、イラク戦争ベトナム戦争同様に泥沼化するとの悲観論に対しては、「敗北主義の間違いは、現実が示している」と政治プロセスや経済復興の進展を指摘し、「テロリストが追いつめられていると感じていることを、彼らの通信から把握している」と勝利に自信を示した。

 民主党連邦議会議員らが主張する駐留米軍の早期撤退論に関しては、「われわれを攻撃すると公言している敵に、イラクを譲り渡すもの」と位置づけ、結果としてテロリストの勢力拡大を招く危険を強調した。

 ただ、大統領は、情報機関の国家安全保障局(NSA)による米国内での通信傍受が批判を呼んでいる点には特に言及しなかった。(読売)




■「米人殺害場面」をウェブに=イラク武装組織


◎【カイロ19日時事】イラクで米国人ロナルド・シュルツさんがイスラムスンニ派武装組織「イラクイスラム軍」を名乗るグループに誘拐された事件で、同グループは19日、ウェブサイト上にシュルツさんの殺害場面だとするビデオ映像を掲載した。
 ビデオには、後ろ手にしばられて座っている男性が背後から銃撃され、倒れる場面が映っている。屋外で夜間に撮影されたとみられ、男性の顔は見えない。 




■<赤十字事務総長>イラクの治安「劣悪な状態」と懸念表明


◎訪日中の赤十字国際委員会のグネディンガー事務総長は19日、総選挙後のイラクの治安状況について「極めて危険かつ劣悪な状態が続いている。治安見通しについて評価を下すことは時期尚早だ」と強い懸念を表明した。テロ攻撃で閉鎖したイラク国内の事務所の再開時期について「まったく分からない」と語った。(毎日)




シーア派、首都でも優勢 イラク選挙世俗派伸び悩み


◎【カイロ19日共同】イラク連邦議会選挙(定数275)の開票を続ける選挙管理委員会は19日、59議席が割り当てられているバグダッドの中間開票結果として、イスラムシーア派宗教勢力の与党会派「統一イラク同盟」(UIA)が58%の票を獲得したと発表した。選管による公式の開票結果発表は初めて。バグダッドの開票率は89%。
 アラウィ前首相率いる世俗派陣営「イラク国民名簿」が、支持者の多いとされるバグダッドなど都市部でどこまで支持を獲得できるかで、イスラム色の強いUIAが単独過半数を維持するかどうかが決まる。中間結果でUIAの優位と、イラク国民名簿などの伸び悩みが明らかになってきた。
 各州選管の非公式情報などによると、UIAは地盤の中部と南部のシーア派地域でも堅調に票を伸ばしている。