エジプトとガザの「国境」が開かれる


■米国務長官イスラエルパレスチナ首脳と会談 和平交渉、早期再開を


◎【カイロ=加納洋人】中東歴訪中のライス米国務長官は十四日、イスラエルシャロン首相、パレスチナ自治政府アッバス議長と相次いで会談した。同長官の訪問は九月のガザ撤退完了以降初めて。長官は両首脳に和平交渉の早期再開を要請した。しかし、イスラエルでは与党労働党のペレツ新党首が連立離脱を主張するなど、政治情勢が不安定化しており、早期協議再開は難しい情勢だ。
 現地からの報道によると、イスラエル入りしたライス長官はシャロン首相との会談で、イスラエルパレスチナ双方が「二国家共存」に向けて協議を続けていくことの重要性を強調した。
 また長官は、来年一月実施予定のパレスチナ評議会(自治政府の議会)にイスラム原理主義組織ハマスが参加することへの対応などについてイスラエル側と協議した。
 その後、長官はヨルダン川西岸のラマラに入り、アッバス議長とも会談。長官はガザ南部のエジプトとの境にあるラファハ検問所でのパレスチナ人の自由往来問題について、双方が近く合意に達する見通しを明らかにした。
 和平交渉再開に向け、米国の仲介が本格化した格好だが、イスラエル国内では、シャロン首相率いる右派政党リクードと連立を組む労働党の新しい党首アミール・ペレツ氏(53)が、イスラエルパレスチナ入植地からの撤退を柱とする和平案の早期実現を主張し、ヨルダン川西岸の大規模入植地の維持・拡大方針を維持するシャロン首相と対立している。
 ペレツ新党首は、総選挙を来年三月に前倒しするよう首相に要求しており、十六日までに首相が協議に応じない場合、労働党の閣僚を引き揚げ連立を解消する方針だ。仮に連立解消となれば、政局は一気に流動化する可能性が高く、和平交渉再開は一段と難しくなりそうだ。(産経)




■米国務長官ガザ地区巡る合意間近として中東滞在を延長


◎[エルサレム 14日 ロイター] ライス米国務長官は、イスラエルパレスチナ自治政府の間で境界線を巡る合意が視野に入ってきたとして、その仲介のため中東滞在期間を延長した。
 長官は連続爆弾攻撃に見舞われたヨルダンを2時間あまり訪問した後、アジアへの出発予定を変更してエルサレムに戻った。
 米当局者によると、ライス長官は、14日にアジア太平洋経済協力会議(APEC)会合に出席している外相らと会談するためエルサレムを発つ予定で、それまでに合意を実現したい考え。
 ガザ地区にとって、エジプトとの境界線は世界との主要な接点だが、9月にイスラエルユダヤ人入植地を撤去して以来閉鎖されている。




■検問所の共同管理合意 ガザ南部、米長官働き掛け


◎【エルサレム15日共同】イスラエル国防省によると、同国とパレスチナ自治政府は15日、エジプトとの境界にあるガザ地区南部のラファ検問所の管理に関し、自治政府、エジプトと欧州連合(EU)で共同管理し、監視モニターを設置することで原則合意した。25日から運用開始の見通し。
 中東歴訪中のライス米国務長官イスラエル側に働き掛けた。イスラエルガザ地区中部に建設予定の港湾施設についても運用を認める方向。
 ラファ検問所は、イスラエルとの境界以外ではガザ地区にとって唯一の玄関口。9月に完了したイスラエルガザ地区撤退後も同地区が孤立化する懸念が強まっていただけに、和平交渉進展に向け懸案の1つが解決した。




■<ガザ―エジプト国境>25日、検問再開で合意


◎【エルサレム樋口直樹】エルサレム滞在中のライス米国務長官は15日、パレスチナガザ地区とエジプトを結ぶラファ国境検問所について、イスラエルパレスチナ自治政府が25日の再開で合意したと発表した。67年の第3次中東戦争イスラエルガザ地区ヨルダン川西岸を占領して以来初めて、イスラエルの直接的な管理を受けずにパレスチナ人が外国へ出入りできることになる。
 ロイター通信によると、検問所に監視カメラを設置し、数キロ離れた管制室でイスラエル自治政府の治安当局者が共同で映像情報を点検することになった模様だ。検問所には欧州連合(EU)の監視団も置かれる。
 イスラエル政府は先にラファ検問所の開放を承認したが、監視カメラの設置に自治政府が反対していた。過激派勢力の自由な国境移動を懸念するイスラエルは、ガザ撤退と同時に同検問所を閉鎖していた。(毎日)