インドのニューデリーで爆弾テロ、50人以上死亡


ニューデリーで同時テロ 50人死亡、市場で爆発


◎ 【ニューデリー29日共同=田辺宏】インドの首都ニューデリーの中心部などにある市場など3カ所で29日午後5時40分(日本時間同9時10分)ごろ、ヒンズー教の大きな祭りを控え混雑する中で、ほぼ同時に爆弾を使ったとみられるテロがあった。PTI通信によると、50人が死亡、少なくとも70人が病院に搬送された。死者はさらに増える恐れがある。ニューデリー日本大使館によると、同日夜の段階で日本人が被害に遭ったとの情報はない。
 ロイター通信によると、インドのシン首相はテロと断定した。治安当局は、ラシュカレトイバなどカシミールの分離独立を求めパキスタンなどを拠点に活動するイスラム過激派の犯行の可能性があるとみて捜査を開始。昨年来、対話路線が定着しつつあった両国関係に悪影響を与えることは確実だ。




ニューデリー 連続テロ120人死傷 市場など3カ所爆発


◎【バンコク=岩田智雄】インドの首都ニューデリー中心部の市場など三カ所で、二十九日夕(日本時間同夜)、大きな爆発が相次いで起きた。現地PTI通信は、約五十人が死亡、約七十人が負傷したと伝えた。インドのシン首相は同日、今回の連続爆発をテロ事件と断定した。
 最初の爆発は、現地時間の午後五時半ごろ、ニューデリー駅近くのパハルガンジ地区にある市場で発生。数分後に市内の市場やバスの二カ所で爆発が起きた。
 最初の爆発では十一人が死亡。治安当局者はPTI通信にこの爆発がバイクなどに仕掛けられた爆弾によるとの見方を示した。
 ニューデリー日本大使館によると、日本人の被害者はいないもよう。
 この日は、パキスタン地震の被災者救援のため、支配権をめぐり両国が対立するカシミール地方での停戦ラインをはさむ救援実施の方法を外務当局間で協議していた。インド治安当局では、同協議に反発するイスラム過激派による犯行をはじめ、他の宗教対立や共産系過激派の可能性も視野に捜査を始めた。(産経)




■インド同時テロで22人拘束 過激派とアルカイダ協力か


◎【ニューデリー30日共同】ニューデリーの同時テロで、インド治安当局は30日までに、爆発現場に近いニューデリー駅など数カ所で、テロに関与した疑いで少なくとも22人を拘束、イスラム過激派などテロ組織との関連がないか本格的な取り調べを始めた。治安当局は首都を中心に主要施設や交通機関などで厳戒態勢を敷いている。
 PTI通信は、治安当局者の話として、高性能爆薬RDX(ヘキソーゲン)を使う手口などから、パキスタンに拠点を置くイスラム過激派ラシュカレトイバが国際テロ組織アルカイダと協力した可能性があると報じた。ニューデリーでは、2000年に観光名所レッド・フォート(デリー城)を襲撃したラシュカレトイバのメンバーらに対する判決も近く控えている。




■米国務長官、インドの同時テロを非難


◎ 【ワシントン=坂元隆】ライス米国務長官は29日、ニューデリーの同時爆弾テロについて声明を出し、犠牲者に弔意を表すとともに、「テロには国境も宗教も関係ないことが改めて明らかになった。テロとの戦いは、我々の共通の闘争であり、インドの人々が、テロ犯に裁きを受けさせるのを支持する」と述べた。(読売)




■<インド同時テロ>死者61人に 22人を拘束


◎ 【イスラマバード西尾英之】ニューデリーで29日に起きた連続爆破事件の死者は、インドPTI通信によると30日夜までに少なくとも61人、負傷者は188人に上った。警察当局は事件に関連した疑いで22人を拘束し取り調べを開始。カシミール地方で活動するイスラム教過激派の関与の可能性が指摘されており、今後の捜査の焦点になる。
 爆発があったのはニューデリー駅に近いパハルガンジ地区、市南部のサロジニナガル地区、南部オカラ地区を走行中のバスの3カ所。サロジニナガルでは43人、パハルガンジで18人の死亡が確認された。日本人が巻き込まれたとの情報はない。
 爆弾には軍用プラスチック爆弾に使われるRDXと呼ばれる高性能爆薬が使われたとみられ、捜査当局はカシミールのインドからの分離独立を求めるイスラム教過激派「ラシュカレトイバ」の関与の可能性を示唆した。(毎日)




ニューデリーの連続爆破、カシミールイスラム過激派が犯行声明


◎[ニューデリー 30日 ロイター] インドの首都ニューデリーで少なくとも57人が死亡した29日の連続爆発事件で、実体が不明なカシミールイスラム過激派グループが犯行声明を出した。しかし、アナリストは、パキスタンに本拠を置く大きな組織の仕業だとみている。
 30日にイスラム革命グループ(Islamic Revolutionary Group)という組織から地元新聞社に電話があり、連続爆発の犯行を認めるとともに、さらなる爆破を警告した。
 一方、治安専門家は連続爆破事件について、インドとパキスタンの和平プロセスを妨害する目的で、「純粋の力」(Force of the Pure)というグループが犯行に関与したとみている。




■<インド同時テロ>大祭を前に、一瞬でせい惨な現場に


◎【イスラマバード西尾英之】「爆弾だ。警察に届けよう」――。混雑した商店街に残された黒い不審なカバン。中を開いた店員が叫んだ途端にカバンは爆発し、店員は全身を吹き飛ばされた。29日、インドの首都ニューデリーで起きた連続爆破テロ事件。年に1度の大祭を前に商店街は1年で最も込み合う季節。家族連れでごった返した通りは一瞬でせい惨な現場へと変わった。
 43人の死亡が確認されたサロジニナガルの商店街。30日朝、爆発があった地点から10軒ほど離れた場所でタオル店を営むラームさん(45)が、毎日新聞助手に事件当時の状況を生々しく語った。
 29日午後6時(日本時間同9時半)ごろ、揚げ物店の店員が店先に黒いカバンがあるのを見つけた。カバンは重く、不審に思った店員が開けたところ、中には圧力鍋と電気配線のようなケーブルが見えた。
 「爆弾だ」。店員が叫び、周囲の買い物客らが一斉に逃げ出した瞬間に爆発が起きた。衝撃で現場付近にあったプロパンガスボンベに次々に引火し、商店街は火に包まれた。「時限装置か、持ち上げたら爆破する仕掛けかは分からないが、あと5分早く見つけて避難させていれば、これほど犠牲者は出なかった」。ラームさんは悔やんだ。
 一方、サロジニナガルから8キロほど離れたオカラ地区ではこれより10分ほど前、走行中のバスで同様の黒いカバンが見つかった。不審に思った車掌が乗客を降ろしてカバンを車外へ放り出した直後に爆発。運転手と車掌が重体となった。
 今回の連続爆破の特徴は、外国人や上流階級といった特定階層を狙ったものではない無差別テロという点だ。ニューデリー駅前にあるパハルガンジの繁華街は安い商店やホテルが密集し、庶民や予算が少ない外国人旅行者が集まるエリア。サロジニナガルは日本などの大使館が集まる地域からも近く、中流階級以上のショッピングゾーンだ。
 PTI通信は捜査当局の見方として、国際テロ組織アルカイダとの関連も指摘され、パキスタンに本拠を起きカシミール地方のインドからの分離独立を求めるイスラム教過激派「ラシュカレトイバ」が、事件にかかわった可能性を示唆した。
 同派は01年12月にはインド国会襲撃事件を起こし印パ緊張激化のきっかけを作った。03年春からの両国緊張緩和でカシミール問題解決へ向けた機運が高まり、孤立感を深めている。カシミールを直撃したパキスタン地震でさらに両国の協力進展が高まっていることに反発した可能性はある。(毎日)