分離フェンス空撮、イスラエル軍が異例の許可‎‎


◎【エルサレム佐藤秀憲】イスラエル軍は26日、一部の外国報道機関に、ヨルダン川西岸で建設を進める「分離フェンス」について上空からの取材を許可した。フェンスの空撮が認められるのは異例だ。
 民間団体がチャーターしたヘリに乗り、フェンスの建設状況を見た。テルアビブの空港を飛び立ち、わずか5分で、西岸北部のパレスチナ自治区カルキリヤ近郊に到達した。カルキリヤやその南方のパレスチナ人の町ハブラの周囲を、フェンスがぐるりと取り囲む。「フェンスがなかったら、パレスチナ過激派がここからテルアビブまで車で10分で到達できる」とイスラエル人操縦士は説明した。

 フェンスの建設は、過激派の侵入防止を目的に2002年に始まり、全長約700キロのうち、これまでに200キロ余りが完成した。同年に56件を数えた過激派による自爆テロは年々減少し、今年は現時点で3件のみ。同国軍は「フェンスによる抑止効果だ」と強調する。

 しかし、フェンスはイスラエル本土と西岸の境界(1949年の休戦ライン)の東側に蛇行、至る所でパレスチナ人の生活圏を分断し、人権団体によると、土地収奪など被害を被る住民は約50万人に達する。(読売)




■ガザの過激派も攻撃停止合意 イスラエル軍の攻撃は続く

パレスチナ自治区ガザのイスラム過激派ハマスイスラム聖戦など13の武装勢力は27日、イスラエルへの攻撃を停止することで合意した、と明らかにした。ハマスは25日に停止を宣言していたが、軍事部門司令官の殺害への報復を表明していたイスラム聖戦も応じることになった。住民の巻き添え被害の防止を優先したためと見られる。

 だが、その後もイスラエル領内への小規模なロケット弾攻撃が起きており、イスラエル軍空爆などを続けている。攻撃停止の方針が各派の末端にまで行き渡るのに時間がかかり、その間にイスラエル軍の攻撃が続けば、報復がエスカレートする恐れがある。(朝日)