イラク撤退に否定的 ブレア首相が党大会演説
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◎【ブライトン(英南部)27日共同】ブレア英首相は27日、英南部の保養地ブライトンで開催中の与党、労働党の年次大会で党首演説を行い、治安が悪化するイラク情勢について、「市民を守る方法は、イラクから撤退することではない」と述べ、当面の撤退に否定的な見解を示した。一部の英マスコミは来年5月から撤退を開始すると報じていた。

ブレア首相はまた、7月にロンドンで2回にわたって起きた同時テロを受け「われわれは今日、地球的規模のテロという新たな挑戦に直面している」と、厳しいテロ対策の必要性を訴えた。

今年5月の総選挙で大勝し、党史上初の連続3期政権を果たした首相は、今期限りの退陣を表明済みだが、演説では3期目を全うするのか、任期途中で最有力後継者のブラウン財務相に政権を移譲するのか、態度を明確にしなかった。




■ブレア英首相「対テロ結束を」 イラク撤退を否定


◎【ブライトン(英南部)=蔭山実】ブレア英首相は二十七日、当地で開会中の与党、労働党の年次党大会で党首演説を行い、ロンドン同時爆破テロなどを踏まえたテロ対策として、イスラム系移民社会の孤立を回避して国民の結束を図ることが必要だと訴えた。イラク人の安全が確保されるまで駐留英軍撤退はあり得ないとも強調した。

 ブレア首相は、二十一世紀に入って世界はグローバル化の進展や国際テロの拡大などで二十世紀後半を上回る速度で変化していると指摘、「今や党と国家の将来をどう守るかが課題になった。英国はしかし、将来の安全を守る戦いにまだ勝利はしていない」と語った。


 テロ対策ではイスラム系移民の問題に言及し、「イスラム教徒もテロを嫌悪しており、彼らも犠牲者だ。敵対しているのは一部の狂信的な者であり、それを明確にしなければならない」とし、穏健なイスラム教徒も含めた国民の団結を求めた。


 イラク情勢については「英軍が撤退してイラクフセイン旧政権の狂信的な残党の手に渡してしまっては、無実の人々が殺害されるばかりだ。イラク人が政権を樹立する権利を守るために(英国は)立ち向かわなければならない」と、英軍駐留継続への意思を示した。


 南部バスラでは最近、英軍が現地の警察、民兵と衝突して反英感情が高まり、英国内でも撤退の要求や憶測が出ている。


 一方、労働党が三期連続して政権を担うことになった要因として、現実路線での改革へとかじを切った「ニュー・レーバー」(新しい労働党)の価値観が国民に広く受け入れられたからだと分析。


 ブラウン財務相への今任期途中の政権禅譲といった、自身の進退の問題には触れず、従来の路線の堅持により、四期目も労働党政権を目指すことに意欲をにじませた。(産経)




ザルカウィ容疑者側近射殺 イラク


◎【カイロ27日共同】イラク駐留米軍は27日、ヨルダン人テロリスト、ザルカウィ容疑者が率いる「イラク聖戦アルカイダ組織」のナンバー2とされるアブアッザム容疑者を25日にバグダッドで射殺したことを明らかにした。またイラク内務省によると、中部バクバで27日、警官志望者らを狙った自爆テロがあり、12人が死亡、31人が負傷した。

米軍によると、アブアッザム容疑者はザルカウィ容疑者の右腕として、同組織の作戦などに必要な資金を管理していたとみられ、今回の射殺で同組織の大きな打撃になる可能性もある。米軍は5万ドル(約570万円)の賞金を懸けて行方を追っていた。

一方、同組織を名乗るグループは「アブアッザムは兵士の1人にすぎない」として、ナンバー2ではないとする声明をウェブサイトで発表した。




■ナンバー2の死亡報道は未確認=イラクアルカイダ系組織


◎[ドバイ 27日 ロイター] イラクアルカイダ系組織は27日、同組織のナンバー2とされるアブ・アザム容疑者が米軍との衝突で死亡したとの報道に関し、未確認であると述べた。

 しかし同時に、アザム容疑者が同組織指導者のザルカウィ容疑者の副官であるとの報道を否定した。

 インターネットを通じ発表された声明は、「アブ・アザム聖戦士は、バグダッドで展開するアルカイダ組織の1部隊を指揮していた戦士だ。死亡は確認されていない」と述べた。




■英軍基地に迫撃弾か イラク南部サマワ


◎【サマワ28日共同】イラク警察によると、陸上自衛隊が活動するイラク南部サマワの英軍基地付近で27日夜(日本時間28日未明)爆発音があった。警察は「迫撃弾が撃ち込まれた」としているが、ロンドンの英国防省報道官は確認していない。負傷者の有無は不明。

警察幹部は、現場から数キロ離れた地点から迫撃弾が発射されたもようだと語った。

イラク南部では、バスラで19日に英軍が警察の拘置施設に突入し英兵2人を奪回した事件後、英軍に対する反感が強まっている。

サマワでは16日、パトロール中の英軍部隊が武装集団に襲撃され、英兵1人が負傷。25日にはムサンナ州政府庁舎近くに迫撃弾が撃ち込まれた。




■米女性兵士に禁固3年の実刑判決 イラク人虐待事件


◎【ワシントン27日共同】イラク駐留米兵による旧アブグレイブ刑務所でのイラク人虐待事件で、米軍法会議が27日、テキサス州フォートフッド陸軍基地で開かれ、前日に捕虜虐待などで有罪の評決を受けた米女性兵士リンディ・イングランド予備役上等兵(22)に禁固3年と不名誉除隊の判決を言い渡した。ロイター通信などが伝えた。

検察側は「米陸軍のイメージをこの上なく傷つけた」として4−6年の禁固を求刑。弁護側は刑を科さずに釈放するよう求め、陸軍士官5人で構成する陪審が1時間半の協議で量刑を決めた。

判決に先立ち、同上等兵は「捕虜や米国、すべての兵士に謝罪する」と述べた。また事件の中心人物とされるグレーナー技術兵に「利用された」とし「その時には気付かなかった」と釈明した。

この日の軍法会議には、イングランド上等兵の母親とともに、上等兵とグレーナー技術兵の間に生まれた11カ月の幼児も姿を見せた。




■女が自爆、7人死亡 イラク、政権崩壊後初


◎【カイロ28日共同】イラク内務省によると、北部タルアファルで28日、イラク軍の採用所に集まった入隊希望者の列の中で女が自爆し、少なくとも7人が死亡、38人が負傷した。女も死亡した。内務省報道官は、旧フセイン政権の崩壊後、イラクで女性による自爆攻撃が伝えられたのは初めてとしている。

タルアファルでは今月、イラク軍と米軍が合同でイスラムスンニ派武装勢力の大規模掃討作戦を展開した。女性の身元など詳細は不明だが、武装勢力シーア派主導の移行政府と軍、警察などに対する攻撃を強めており、女性にも攻撃参加を呼びかけ始めた可能性もある。

報道官によると、女性はベールで顔を覆い、服の下に爆発物を隠して、入隊希望者の列に入り込んだという。