ムバラク・エジプト大統領が5期目就任、民主化が課題


◎【カイロ=柳沢亨之】エジプト史上初めて複数候補を認めた大統領選で5選を果たしたホスニ・ムバラク大統領(77)の就任式が27日、人民議会(国会)で行われた。内外から強く求められている民主化の推進がムバラク政権5期目の最大課題だ。
 大統領は就任演説で「エジプトの強さと安全は民主主義によるもの」と述べ、民主化を今後も進める意欲を示した。ただ、大統領選では野党などから、与党「国民民主党」(党首・ムバラク大統領)による票の買収など不正を指摘する声も相次ぎ、同盟国の米国からも「国民の声を反映させる措置がもっと必要」(ライス国務長官)と批判された。11月の人民議会選が、ムバラク政権の民主化路線の当面の試金石となる。

 また、令状なしの被疑者拘束を認めた1981年以来の「非常事態令」の扱いも注目されている。大統領は既に、同令に代わるテロ対策新法を制定する意向を示しているが、同国では7月の東部シャルムエルシェイクの爆破事件などテロが相次いだことから、有効な過激派対策を求める声も強い。政権は、民主化とテロ対策の両立という難しいかじ取りを迫られている。 (読売)