総選挙の開票始まる。シーア派UIA有利だが、連立は避けられない模様


■シリアとイランにも大きな影響=イラク総選挙、民主化の重要な一歩−米大統領


◎【ワシントン15日時事】ブッシュ米大統領は15日、イラク国民議会選挙について、同国の民主化に向けた「重要な一歩」と高く評価した上で、イランやシリアにも大きな影響を与えるとの認識を示した。米国で投票を行った在米イラク人とホワイトハウスで会談した後、記者団に語った。 




シーア派一歩リードか 追う世俗派、イラク総選挙


◎【カイロ16日共同】イラク連邦議会選挙で、選挙管理委員会は15日夜、国内18州での開票作業を継続。ロイター通信は約500人を対象とした出口調査結果として、イスラムシーア派宗教勢力の与党会派「統一イラク同盟」(UIA)を、アラウィ前首相率いる世俗派の「イラク国民名簿」が追う展開と報じた。
 今回初めて選挙に本格参加した西部や北部のスンニ派地域では、高い投票率が記録されたもよう。北部サラハディン州の選管当局者は共同通信に「州の投票率は90%近くに達した」と語った。




シーア派系が第1党の勢い 過半数は厳しく


イラク連邦議会選挙は15日夕、投票が締め切られ、開票作業が始まった。現与党で宗教色の濃いイスラムシーア派中心の連合会派「統一イラク同盟」が第1党の座を維持する勢いだが、首相選出に必要な過半数の確保は難しい情勢。スンニ派が本格参加したため、今年1月の移行国民議会選挙時よりも多党乱立傾向が強まった。(毎日)




スンニ派勢力含め、連立工作の行方が焦点に


◎15日投開票のイラク連邦議会選挙では、宗教色の強いイスラムシーア派の連合会派「統一イラク同盟」が最大勢力となるのは確実な情勢だ。今後はスンニ派勢力を含め、各党・会派による連立工作の行方が焦点となる。スンニ派は、「イラク調和戦線」などの複数会派が50議席程度を得る可能性がある。(毎日)




イラク議会選挙、スンニ派参加で投票率が大幅上昇


◎[バグダッド 15日 ロイター] 15日に投票が行われたイラク国民議会選挙は、1月30日の前回選挙をボイコットした少数派のスンニ派有権者投票率を押し上げている。
 スンニ派内の抵抗勢力が、今回の選挙を支持しスンニ派有権者を守るとまで表明しており、暴力事件も小規模で散発的に発生するにとどまっている
 選挙管理委員会の責任者はロイターに対し、投票開始から10時間経過した時点で投票者数は1000万人、投票率は67%となり、大半のスンニ派が投票しなかった前回の58%を大きく上回っていると述べた。
 地元当局者によると、フセイン元大統領の地元では、80%の投票率が記録されている。一部の投票所では投票者の列ができたため、投票時間を1時間延長した。




スンニ派州でも高投票率 イラク総選挙、開票本格化


◎【カイロ16日共同】イラク連邦議会選挙から一夜明けた16日、選挙管理委員会は各地で開票作業を本格化させた。フランス公共ラジオによると選管当局者は、武装勢力の活動が活発なイスラムスンニ派地域の中西部アンバル州でも、各地で軒並み8割近い高投票率になるとの見通しを示した。
 今年1月の国民議会選挙をボイコットしたスンニ派は、今回の選挙に初めて本格的に参加。スンニ派住民の多くが実際に投票したことが、あらためて明確になった。
 アンバル州は治安が最も悪い地域で、国民議会選での投票率はわずか2%。新憲法の是非を問う10月の国民投票でも、他のスンニ派地域では比較的高い投票率を記録しながら、アンバル州は38%にとどまっていた。




スンニ派が発言力増す 武装活動にも影響か


◎【カイロ高橋宗男】15日のイラク連邦議会(定数275)選挙では、移行国民議会選(今年1月)をボイコットしたイスラムスンニ派住民の多くが投票した。これまでシーア派が主導したイラク戦争後の政治プロセスでスンニ派が初めて一定の政治的発言力を確保することは確実だ。同派が主流だった武装勢力の活動にも影響を与えそうだ。
 ロイター通信によると、フセイン元大統領の出身地である中部サラハディン県ティクリート投票率が80%以上になるなど、ほとんどのスンニ派住民地域で高い投票率が予想されている。西部アンバル県では1月の移行国民議会選の投票率が2%だったが、今回は同県ファルージャなどで予想を上回る住民が投票し、投票用紙が不足した。
 同派住民が多い4県の議席数は計46。スンニ派の高投票率を受けスンニ、シーア両派が混在するバグダッド県(59議席)も含め相当数の同派議員が誕生する見通しだ。
 スンニ派住民の多くが選挙に参加した背景の一つに、住民が武装抵抗闘争支持から姿勢を転換させたことがある。治安状況が改善しない中、スンニ派住民に暴力への嫌悪感が広がったためだ。こうした住民の意識変化を受け、武装勢力の一部も選挙直前、独立選挙委員会の「停戦」呼びかけに応じ、投票所を攻撃しないことを宣言した。
 これは、武装勢力の中でも、市民への攻撃も辞さない過激な勢力と、あくまでも占領への抵抗に主眼を置くグループの間にはっきりとした路線対立が生まれていることを示している。スンニ派住民の政治参加は、過激な武装集団には大きな打撃で、政治プロセスへの参加を拒否し続けるこうしたグループは今後、生き残りをかけさらに激しい武装攻撃を仕掛ける可能性がある。
 一方、移行国民議会では、シーア派クルド人が人口比以上の議席数を確保し、圧倒的な勢力となってきた。選挙後に発足する議会が、より人口比に近い構成になりスンニ派の発言力が増すことは確実。そのため、これまで以上に各派の意見調整が難しくなる可能性が強い。(毎日)