イラク総選挙の投票始まる。イラク人兵士・警官、米軍合計30万人以上の警戒体制


■前首相政党事務所に放火 イラク、投票所爆破も


◎【カイロ14日共同】フランス公共ラジオによると、イラク総選挙を翌日に控えた14日、南部ナシリヤで、イスラムシーア派の権威、シスタニ師を批判する発言がテレビで放送されたことに怒った群衆がアラウィ前首相の事務所などに放火、警備員1人が負傷した。
 中部ファルージャの近くでは投票所となる学校に武装勢力が爆発物を仕掛け、爆破したが、負傷者はなかった。北部モスルでも警備中の警官2人が爆弾攻撃で死亡した。




■誤情報でイラク戦争開戦、米大統領「責任負う」と表明


◎【ワシントン=貞広貴志】ブッシュ米大統領は14日、ワシントン市内でイラク戦争のこれまでの経緯を総括する演説を行い、「(イラク大量破壊兵器疑惑に関する)情報の多くが結果として誤っていたのは事実」と述べ、「大統領として戦争に踏み切った責任を負う」と表明した。

 中央情報局(CIA)などによる情報収集の失敗と、それに基づいて開戦したことへの自らの責任について、これまでより明確な形で言及したものだ。

 米国では、CIA工作員情報漏えい事件を機に「意図的な情報操作に基づいて開戦した」との批判が広がっている。大統領の「責任」発言は、政権としても情報判断に誤りがあったことを認めることで、国民の支持をつなぎ留める狙いと見られる。

 同時に大統領は、イラクの元大統領フセインがテロを支援し、開戦前に設定されていた飛行禁止区域を警戒飛行中の米英機の撃墜を命じたなどと指摘し、「サダム・フセインを打倒する私の決断は、正しい決断だった」と改めて開戦の正当性を強調した。

 また、大統領は、イラクに民主主義を打ち立てる道筋を〈1〉主権移譲〈2〉暫定国民議会選挙〈3〉憲法制定〈4〉新憲法下での国民議会選挙――の4段階に分け、これまでの3段階を「イラク国民はすべて達成してきた」と評価した。15日の選挙についても、「スンニ派住民の高い投票率が期待できる」との展望を示した。

 ただ、「選挙後には不安定な日々が待っている。政権の樹立にもしばらくかかるだろう」との見通しも示し、イラク国民と米国民の双方に「忍耐」を求めた。

 民主党などから米軍の早期撤退を求める声が上がっている点については「完全勝利まで退かない」と繰り返した。

 ブッシュ大統領の「責任」発言を受け、民主党エドワード・ケネディ上院議員は「米国は、戦争をする理由はなかった」と述べ、改めて大統領を批判した。

 今回の演説は、先月30日から2週間で計4回にわたったイラク政策に関する連続演説の最後に当たる。(読売)


【追記】≪米国支持に誤りはない 安倍官房長官
 安倍晋三官房長官は十五日午前の記者会見で、ブッシュ米大統領イラク戦争前に把握していた大量破壊兵器に関する情報の多くが「誤りだった」と認めたことについて、「イラクが過去実際に大量破壊兵器を使用したという事実や、国連査察団が指摘した数々の未解決の問題をかんがみれば、イラクへの武力行使が開始された当時、大量破壊兵器があると想定するに足る理由があった」と述べ、日本が米国を支持したことに誤りはなかったとの考えを示した。(産経)




イラク議会選きょう投票、首都中心部は厳戒態勢


◎【カイロ=柳沢亨之】15日の国民議会選を前にしたイラクでは14日、治安部隊がテロに備えた警戒を強めた。

 今回の選挙では、1月の暫定国民議会選の際にテロを実行した武装勢力が攻撃を控える方針を示していることから、国民の間には投票の円滑実施への期待が大きい。

 本紙通信員によると、14日のバグダッド中心部は自爆テロ防止を目的として車両の全面通行禁止措置がとられ、大量動員された私服警官の姿以外、人の動きが見られない。国境と国際空港も閉鎖された。

 今回は、暫定議会選をボイコットしたイスラムスンニ派の参加で、同派武装勢力がやや穏健化。「イラクイスラム軍」は13日、インターネット上で投票所への攻撃回避を求めたほか、旧フセイン政権下の元情報機関幹部によると、複数の主要イラク武装集団が最近、アブムサブ・ザルカウィ容疑者率いる勢力など外国勢にも停戦を求めた。

 同容疑者の12日の声明は、今回の選挙を「悪魔の計画」と非難しつつ、攻撃扇動は控えている。スンニ派政党連合「イラク合意戦線」幹部のバハッディン・ナクシャバンディ氏は本紙に、「投票は安全に行われる」と楽観的見通しを示した。

 ただ、一部のスンニ派地域では、シーア派主体の国軍が治安作戦を展開したため住民の反発が強まっており、投票の円滑実施を不安視する声も上がっている。(読売)




■きょうイラク国民会議選挙 230議席を18県に振り分け


◎【カイロ=加納洋人】イラクの本格政権樹立に向けた国民議会選挙(定数二七五、任期四年)の投票が十五日、行われる。昨年の主権移譲から一月の総選挙、十月の新憲法制定と進んだ政治プロセスの最終段階で、一月の総選挙をボイコットしたイスラムスンニ派勢力も今回は参加する。宗派間対立がイラクで深刻化する中、イスラム色の強い政権が成立するか、世俗派が躍進するかが焦点で、世俗勢力を結集したアラウィ前首相率いる新会派の票の伸びが注目される。
 投票は十五日午前七時(日本時間同日午後一時)から同日午後五時(同午後十一時)まで実施される。前回一月末の総選挙は全国一区の比例代表制で行われたが、今回は全二百七十五議席のうち二百三十議席を人口比で全国の十八県に振り分け、県ごとに各党の得票に基づき議席が比例配分される。最大議席バグダッド県の五十九議席。最小は南部ムサンナ県の五議席
 残り四十五議席は、全国区比例代表で決定するが、キリスト教徒など少数派の権利を保障するため、各県で一定票を得たが、議席を獲得できなかった政党などを優先する。
 有権者は十八歳以上のイラク人で、登録有権者数は約千五百五十万人。七千六百五十五人が立候補した。
 世界十五カ国で十三日から十五日に在外投票も実施される。(産経)




■米国は勝利するまでイラクを去らない=ブッシュ大統領


◎[ワシントン 14日 ロイター] ブッシュ米大統領は14日、米国が「勝利を収めるまで」イラクにとどまるとし、イラク戦争の決断は正しかったという考えを示した。
 大統領はワシントンのシンクタンクで演説し、「イラクでは15日に歴史的な選挙が実施され、何百万人ものイラク人が投票の準備をしている。そのような状況の中で、きょうは米国がイラクに赴き、駐留している理由と、勝利を収めるまでは米国がイラクを去ることができない、また去らない理由を話したい」と述べた。
 ブッシュ大統領は、大量破壊兵器イラク国内で発見されなかったとしながらも、フセイン元大統領が米国を敵であると宣言し、非通常兵器を用いようとしていた点で旧フセイン政権打倒が重要だったと言明。「旧フセイン政権の歴史と9月11日の教訓を考慮すると、同政権を追放するという私の決断は正しかった。サダム・フセインは脅威であり、米国民および世界は、彼が権力の座にもはやいなくなったことで、ずっと良い状態になった」と話した。




■統一イラク同盟の支持強く=投票所周辺は厳戒態勢−陸自は活動自粛・サマワ


◎【サマワ15日時事】陸上自衛隊が駐留するイラク南部ムサンナ州サマワでも14日、イラク国民議会選挙の投票を前に、候補者のポスターを掲げての行進や演説会があちこちで行われた。イスラムシーア派の住民が9割以上を占める同州では、与党「統一イラク同盟(UIA)」が多数の住民の支持を得ている。
 イラク国内では治安が比較的安定しているサマワでも、夜間外出禁止令が出され、昼間でさえ車の運転が禁止されている。投票所の半径500メートルは立ち入り禁止となり、イラク軍兵士と警察官が厳戒態勢を敷いた。陸自部隊は投票日前後の宿営地外での活動を見合わせている。




連邦議会選、投票始まる 確定結果は数週間後に


◎【カイロ斎藤義彦】イラクで正式な政府を作るための連邦議会(定数275)選挙の投票が15日午前7時(日本時間同午後1時)、全国約6200カ所に設けられた投票所で一斉に始まった。同日午後5時(日本時間同午後11時)に締め切られ、開票される。確定結果公表と新政権発足は数週間後となる見通しだ。
 バグダッド毎日新聞助手によると、同市内中心部に通じる橋や幹線道路はすべて閉鎖され、商店の9割はシャッターを下ろしているという。米軍は軍用車両を市内に走らせ、各投票所に通じる道には重武装した国軍兵士や警察官が各10人程度配置されている。
 西部のファルージャで14日、無人の投票所3カ所で爆発があり投票用紙が盗まれたほか、北部モスルでは爆弾テロで警官2人が死亡するなど緊張も高まっているが、投票率は「70%以上」(ロイター通信)の高率になるとみられている。
 今年1月の移行国民議会選挙をボイコットしたイスラムスンニ派の多くが今回は投票する見通しとなっているためで、イラク西部のスンニ派居住地域では「イスラム教過激派から投票所を守る」と地元武装勢力が警戒に当たっているという。
 今回選挙は、移行国民議会選挙、憲法制定に続く民主化プロセスの「最終段階」。登録した有権者は約1500万人で、海外15カ国で約8万人のイラク人が既に投票を済ませた。(毎日)




連邦議会選 女性議席数に女性有権者から懸念の声


◎15日実施のイラク連邦議会選挙で、女性の議席数が定数の25%以上との憲法規定があることから多くの女性議員が誕生する見込みだが、女性有権者からは単なる形式にとどまらないかを懸念する声が出ている。女性議員の声が反映されにくい背景には、女性議員間にも宗教的保守派と世俗派の分断があることが挙げられている。(毎日)




イラクフセイン旧政権以来初の国民議会選挙実施


◎[バグダッド 15日 ロイター] イラクで15日、本格政権を選出するため、フセイン政権崩壊後初の国民議会選挙(定数275、任期4年)の投票が行われる。投票は現地時間午前7時から午後5時まで。
 有権者は1500万人で、少なくとも1000万人が投票するとみられる。
 投票所は全国に6000カ所以上設けられ、有権者は二重投票を避けるため、指紋を押捺したうえで投票する。
 1月30日に行われた選挙では、自爆攻撃や銃撃戦で投票日に40人前後が死亡したことから、今回はイラク人兵士や警官ら15万人が路上に展開している。また、米軍兵士兵約16万人がイラク治安部隊を支援する態勢をとっている。
 アルカイダその他のイスラム過激派は、今回も選挙妨害を表明しているが、1月に比べてトーンが落ちており、選挙までの情勢もイラクの現状からみれば平穏とされる。




イラク総選挙の投票実施=厳戒の中、予想以上に平穏−スンニ派地域でも多数参加


◎【カイロ15日時事】イラク戦争後初の本格政権樹立の基盤となる国民議会(定数275)選挙の投票が15日、全国約3万2000カ所の投票所で実施された。治安が最大の懸念だったが、各地で散発的なテロ行為も起きたものの、予想以上に平穏に投票が進んだ。投票は午後5時(日本時間同11時)に締め切られ、即日開票に向けた作業に入った。一部の投票所では有権者の列が残っていたため、投票時間が1時間延長された。独立選挙管理委員会当局者は、最終結果が判明するまで2週間以上かかるとの見通しを示した。ザルカウィ容疑者の「聖戦アルカイダ組織」など武装勢力によるテロも予想されたため、空港や国境が閉鎖されたほか、駐留米軍イラク治安部隊が厳戒態勢を敷く中での投票となった。
 北部のモスルでは爆弾の爆発で1人が死亡、西部のタルアファルでは迫撃砲攻撃で1人が死亡した。首都バグダッドでも迫撃砲弾の着弾が複数回あり、米兵らが負傷した。
 アラブの各テレビ局は1月の暫定国民議会選をボイコットしたスンニ派イスラム教徒が多く居住する西部アンバル州のファルージャやラマディでも多数の人々が投票所に詰め掛けていると報じた。ジャブル内相は「投票率は期待した以上に高い」と語った。




連邦議会選挙、混乱なく終了 投票率は70%近く


◎【カイロ斎藤義彦、高橋宗男】イラク戦争後の民主化プロセスの総仕上げとなる連邦議会(定数275、任期4年)選挙の投票は15日、大きな混乱もないまま終了し、一部で即日開票に移った。移行国民議会選挙をボイコットしたイスラムスンニ派も参加し、投票率は70%近くの高率になる見通しで、大勢は数日後に判明する。今後数週間で正式政府が誕生するが、テロや抵抗運動を抑え、国民融和を図ることが最優先の課題となる。
 この日、イラク国軍約15万人が動員されて厳重警備にあたったが、北部モスルの投票所近くで爆弾テロがあり、警備員が死亡。西部ラマディや北部ティクリートでも投票所付近で爆発があった。しかし、投票はほぼ順調で、選管によると投票率は全国で67%以上になる見通しという。スンニ派集住地域では80%を超えたとの報道もある。
 バグダッド北東部のシーア派スンニ派混住地域にある投票所では、15日午前7時の投票開始前から両派の住民が長い行列を作った。「スンニ派の参加なしには何も達成できないことを示す機会だ」。スンニ派の大学教授、アメエル・ジュブリさん(58)は多数派シーア派へのライバル意識をむき出しに語った。
 選挙運動を通じて宗派間の対抗意識が鮮明になった側面は否めないが、一向に改善しない治安状況を前に、市民はまん延する暴力に閉口している。投票所に足を運んだ有権者は選挙という政治プロセスが平和をもたらすことを望んでいる。
 スンニ派の教師、ジャシム・アメティさん(58)は「選挙がイラクの新時代を開くことを願っている」と強調。またシーア派の主婦、ナアイマ・ハサンさん(63)も「爆弾では何も解決できない。選挙が争いを取り除く最善の手段」と話した。
 一方、スンニ派宗教組織「イラクイスラム聖職者協会」は「占領下の選挙には正当性がない」との立場を崩していない。大学生のオマル・ムスタファさん(20)も「選挙後も抵抗勢力武装闘争は続く。占領下での正当な権利だ」と主張するが、スンニ派の多くが政治参加を決めた中、武装闘争を支持する住民はより少数派になっている。
 ◇憲法改正論議、国民融和の試金石に
 【カイロ高橋宗男】15日に行われたイラク連邦議会選挙は戦後民主化プロセスの最終段階であるとともに、「統一イラク」へ向けた第一段階でもある。戦後のイラク民主化が一定の進展をみせた代わりに、民族・宗派間での対立が深まった。いかに国民融和を図り、分裂のふちから抜け出すか。選挙後、各派の調整能力が問われることになる。
 イラクイスラムシーア派、同スンニ派クルド人の3グループを中心に民族・宗派の構成が複雑だ。旧フセイン独裁体制下では、中央政府が絶対的な権力を持ち、分裂のエネルギーを抑え込んでいたが、イラク戦争後、各派の意見対立は鮮明になる一方だ。
 新連邦議会は4カ月以内に憲法を改正する必要がある。これは、憲法をめぐる国民投票(10月)直前に各派が合意した取り決めだ。しかし、連邦制を巡り、クルド人勢力は北部油田都市キルクーククルド人地域への編入を求め、シーア派の一部は南部の油田の独占を主張。こうした動きにスンニ派は激しく反発している。また、旧バース党員の扱いについても、各派の対立は大きく、「憲法が地雷原」(スンニ派政治家、ムトラク氏)になる可能性がある。
 憲法改正には新たな国民投票過半数の賛成が必要だ。戦後の混乱が続く中、何とか選挙までこぎ着けたが、各派にとって難問山積の状況に変わりはない。(毎日)




■<イタリア軍>さらに300人、イラクから撤退へ


◎イタリアのマルティノ国防相は15日、イラクに駐留する同国軍部隊約300人を来年1月、追加撤退させると表明した。現在の人員は約2900人。イタリアは今年9月に初めて約300人を撤退。ベルルスコーニ首相は以後も段階的な撤退を行い、06年末までに撤退を完了させたい方針を明らかにしている。(毎日)




イラク治安機関、育成順調=サマワ選挙、街は平穏−陸自群長


陸上自衛隊イラク派遣で、第8次イラク復興支援群長の立花尊顕1等陸佐は15日、イラク南部サマワ防衛庁とを結んだ衛星テレビ電話で記者会見した。立花1佐は「英軍とオーストラリア軍からは、イラクの治安機関の育成は順調で向上していると聞いている」と述べた。
 また、同日行われた国民議会選挙の様子については「選挙は順調に行われていると認識している。町中も普段と変わらない状況だ」と話した。