総選挙前日の様子と在外者投票


■爆弾で米兵4人死亡 バグダッド北西部


◎【カイロ13日共同】AP通信によると、バグダッド北西部で13日、爆弾が爆発し、パトロール中の米兵4人が死亡した。駐留米軍が発表した。
 4人は首都圏の警備を担当していた。爆発時の詳しい状況は分かっていない。イラクでは15日に総選挙が行われる。




イラク国民議会選、混戦予想 新連立どうなる カギ握る4首相候補の動き


◎【カイロ=加納洋人】イラクで十五日、国民議会選挙(定数二七五)が実施される。前回一月の総選挙ではイスラムシーア派の連合会派が過半数議席を占めたが、今回は同会派は分裂して勢力を弱めており、いずれの会派も単独過半数には達しない見通し。選挙後に、新たな連立形成に向けた動きが活発化することが予想される。
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 バグダッドからの報道によると、混戦模様の今回の選挙で、新体制を担う首相候補として現在、ジャアファリ首相、アブドルマハディ副大統領、アラウィ前首相、チャラビー副首相らの名前が挙がっている。
 ジャアファリ氏は前回百四十議席を獲得して第一勢力となったシーア派連合会派「統一イラク同盟」(UIA)の一角を占めるシーア派宗教政党ダアワ党を率いているが、今回、UIAの世俗派のチャラビー氏らが離脱して新連合会派を結成したため、UIAによる過半数確保は難しい状況だ。
 しかも、ジャアファリ氏は宗教色が強いうえ、失政を国民から批判されており、続投は難しいとの見方が強い。
 ジャアファリ氏に代わって、UIAから首相候補として浮上しているのが、ダアワ党とともにUIAの両翼を占めるシーア派政党イラクイスラム革命最高評議会(SCIRI)幹部のアブドルマハディ副大統領だ。米国とも関係が深い穏健派で、自由主義経済の推進者としても知られる。SCIRI指導者のアブドルアジズ・ハキーム師の強い支持を得ており、次期首相の有力候補となっている。
 一方、アラウィ氏(シーア派)は宗教色の強いUIAに全面的に対抗する形で、宗派を超えた世俗勢力からなる連合会派「イラク国民名簿」を結成し、議席増を狙っている。同氏は暫定政府首相時代、旧政権時代の治安情報関係者や旧バース党員の一部復権を図っており、スンニ派勢力との関係も悪くない。宗教色が強まることを警戒するスンニ派住民の中には、アラウィ氏の会派に投票する動きも出ている。
 同氏は、スンニ派三派からなる連合会派「イラク合意戦線」やクルド人の連合会派「クルド同盟」など世俗色の強い勢力との連立を目指し、復権を図る構えだ。
 新会派「イラク国民評議会名簿」を結成したチャラビー氏(シーア派)は、旧バース党員の復権に強く反対しており、スンニ派とは対立関係にある。ただ、十一月に訪米し、一時疎遠になっていた米国との関係を修復するなど首相就任に意欲を見せており、選挙結果次第では、同氏の新会派が連立の鍵を握る存在となる可能性がある。
 スンニ派指導者は、本格政権下で予定される憲法改正論議での影響力を確保するため、住民に投票に参加するよう呼びかけている。(産経)




■選挙実施たたえ1票 在米イラク人も投票開始


◎【ワシントン13日共同】15日のイラク総選挙に先立ち、国外に住むイラク人を対象にした在外投票が13日、米国でも始まり、全米8カ所に設けられた投票所に有権者が足を運んだ。
 投票資格のある在米イラク人は推定24万人。ロイター通信によると、ワシントン近郊バージニア州の投票所では、「イラクの歴史上、大きな転換点だ」などと選挙実施をたたえる有権者が多かった。
 カリフォルニア州南部の投票所に約2000キロ離れたテキサス州から駆けつけたイラク人男性(42)は、同通信に「1票を投じるためなら、どんなに遠くても構わない」と話し、選挙参加への熱意を示した。




イラク大統領、本格政府での大統領就任模索せず


◎[バグダッド 13日 ロイター] イラク移行政府のタラバニ大統領は、大統領の権限が少なすぎるとして、15日の国民議会選挙後の本格政府では再就任を模索しない方針を表明した。大統領府が明らかにした。
 この表明は、本格政府への参加条件として同大統領率いるクルド人勢力がより多くの権限を求める可能性を示しているとみられている。
 大統領は、アラブ系の衛星テレビのアルアラビーヤで「このポストに魅力を感じない。現在新憲法下で与えられている大統領の権限に変更がない限り、大統領に立候補するつもりはない。大統領には、国家運営に参加する権限がなく、私は儀礼上の大統領にはなりたくない」と語った。




フセイン裁判、米国務長官が国際社会の対応批判


◎【ワシントン=貞広貴志】ライス米国務長官は13日、ワシントン市内でイラクに対する国際社会の対応について講演し、「国際社会はサダム(フセインイラク大統領)の裁判を事実上ボイコットし、公正と自由を確保するため努力しているイラク国民を傷つけている」と批判した。

 ライス長官は、「ボイコット」している国名を挙げなかったが、イラク高等法廷で死刑判決の可能性があることを批判しているフランスなど欧州諸国、それに国連を指すと見られる。

 長官は、日本の貢献については、「過去60年間で初めての大規模海外派兵を維持している」と称賛。経済復興面でも、日本を韓国とともに高く評価した。

 一方、周辺国のうちイランとシリアを「非友好国」と名指しした。特にイランについては、イラクでの暴力を支援しているとした上で、「この(アフマディネジャド)政権は国際社会の道を踏み外している。イランは、中東の安定と民主化にとって問題」と非難した。(読売)




■テロ厳戒、15日総選挙 イラク憲法下で政権選択


◎【カイロ14日共同】イラク連邦議会選挙(定数275)が15日に行われる。2003年3月に始まったイラク戦争と米国主導の占領統治を経て、イラク人が新憲法下で政権を選ぶ歴史的選挙。選挙妨害の自爆テロを警戒し首都バグダッドなど各地には14日、厳戒態勢が敷かれた。
 各陣営の選挙運動は13日で終了。国境、州境の閉鎖に加え、車両の通行も原則禁止。バグダッドの大通りからは車が消え、商店や政府機関も大半が閉じられた。
 選挙管理委員会によると、有権者は約1500万人で投票所は全国約6300カ所。231の政党・会派など計約7600人が比例代表議席を争う。選管幹部は「10月の国民投票(63%)を上回る高投票率が望める」と語った。