日本人人質事件で仲介役のドレイミ氏暗殺


■米軍との掃討作戦で武装勢力753人殺害


◎【カイロ高橋宗男】イラク移行政府国防省高官は12日の記者会見で、過去数週間に同国西部での米軍・イラク軍による武装勢力掃討作戦で753人を殺害、1978人を拘束したと明らかにした。AFP通信が伝えた。作戦地域はバグダッド西方のラマディからシリア国境に近いカイムにかけて。(毎日)




イラク国民に楽観ムード=選挙後は「生活良くなる」−世論調査


◎【ロンドン12日時事】英BBC放送が12日公表したイラク国民を対象とした世論調査で、治安情勢が不安定なままであるにもかかわらず、15日の国民議会選挙を前に、人々の間で将来に対する楽観的な見方が広がっていることが明らかになった。
 調査はBBCなどが調査機関「オックスフォード・リサーチ・インターナショナル」に委託し、イラク全土で10月から11月にかけて実施した。対象者1711人のうち、7割以上が「現在の生活はうまく行っている」と回答。今後1年を通じて自分たちの生活は改善されると思うかとの問いに対しては、64%が「良くなる」としたほか、69%が「国の状況は将来的に改善される」と答えた。




イラク国民3万人が死亡、民主主義確立には挫折も=米大統領


◎[フィラデルフィア 12日 ロイター] 15日のイラク国民議会選挙を控え、ブッシュ米大統領は12日、イラク戦争開始後およそ3万人のイラク国民が死亡したと指摘し、民主主義確立の過程において挫折があることを確認した。
 ブッシュ大統領は国際問題評議会で講演し、「民主主義確立の過渡期において、挑戦、挫折、失敗に直面していない国家は存在しない」と語った。 
 同大統領はさらに、15日の選挙をもって、これまでに続いている武装勢力の攻撃が停止されるわけではなく、イラク民主化を本格的に確立させるためには引き続き課題が残されていると強調。「今週の選挙は完全なものではないだろうし、選挙の成功が全ての終わりではない。国民にとって依然課題は残されている」と語った。




■米英軍、3月にもイラク撤退開始=ムサンナ州は既に計画立案−タイムズ紙


◎【ロンドン13日時事】13日付の英紙タイムズは、15日に予定されているイラク総選挙とその後の新政府樹立を受け、米英両国はできるだけ早期に軍を撤退させることを考えており、早ければ来年3月にも一部部隊の引き揚げを開始する意向だと報じた。
 特に、自衛隊が駐留する南部のムサンナ州および隣接するディカール州については、駐留する英軍部隊を春にも撤退させる計画が既に立てられているという。英軍は両州に続いて南部のミサン州からも兵を引くことになる見通しで、英高官は「イラク治安部隊が年内に、武装勢力の攻撃を押さえ込めるようになるかもしれない」と語った。




陸自宿営地付近に着弾か サマワ、隊員にけが人なし


◎【サマワ13日共同】イラク南部サマワに駐留する陸上自衛隊宿営地近くで12日午後6時(日本時間13日午前零時)ごろ、爆発音が聞こえた。陸自によると、隊員にけがはないという。
 額賀福志郎防衛庁長官は13日の記者会見で「宿営地の北東方向の相当程度離れた地点から砲弾が発射され、宿営地外の西方向に1発着弾した可能性が高い」と述べた。複数の隊員が発射音と飛行音を1回ずつ確認したという。陸自に向けた攻撃の可能性が高いが、宿営地上空は通過していないもよう。
 防衛庁によると、陸自宿営地を狙ったとみられる攻撃は2004年4月が最初で、今回が12回目。最近では今年11月7日に砲弾が発射された。




■アラウィ陣営の得票焦点 15日イラク総選挙


◎【カイロ13日共同】イラクで15日、今年10月に承認された新憲法に基づき、今後4年間の国政の担い手を選ぶ連邦議会選挙(定数275)が行われる。イスラム色の強い政権になるのか、世俗派が躍進するのかが焦点。アラウィ前首相が率いる世俗派陣営の伸びが、選挙後に発足する新政権の行方を左右しそうだ。
 移行政府のジャファリ首相の与党会派で、イスラムシーア派宗教勢力の「統一イラク同盟」(UIA)は、改善しない治安や復興の遅れで国民の批判を受けており、現有140議席を維持するのは難しい情勢だ。
 第1党の座は死守しそうだが「20議席は減らし単独過半数を失う」(政治評論家シナイド氏)とみられ、政権維持には他陣営との連立が必要。




■<イラク連邦議会選>多数派シーア派票めぐり、つばぜり合い


イラク連邦議会選挙が15日に行われる。1月の移行国民議会選挙では、宗教色の濃いイスラムシーア派中心連合会派「統一イラク同盟」が圧勝したが、今選挙では暫定政府で首相を務めたアラウィ氏(シーア派)らの世俗派勢力が巻き返しを図っている。現移行政府による復興の遅れを背景にシーア派票が割れそうな情勢だ。(毎日)




イラク議会選、在外投票始まる…15か国で15日まで


◎【テヘラン=工藤武人】15日にイラク全土で行われる国民議会選挙を前に、国外在住のイラク人を対象にした在外投票が13日、始まった。

 旧フセイン政権に迫害された約12万人が住む隣国イランの首都テヘランの投票所では、多くの有権者が、「帰還への足がかりになれば」と正式な政権樹立に期待を膨らませながら票を投じていた。

 テヘラン市南部レイ地区の投票所前では、投票開始時間の午前9時前から、約40人が列を作った。旧フセイン政権に夫が投獄され、15年前にイラクを追われた主婦のサミラ・サエリさん(42)は「私の母国はイラク。私の一票が、イラクからテロリストを追い出すきっかけになればと思い投票した。治安が回復したら、イラクに帰りたい」と声を弾ませていた。

 在外投票は、イラン、ドイツ、米国など計15か国で、15日まで行われる。(読売)




■日本人人質事件で仲介役のドレイミ氏暗殺


◎【カイロ支局】昨年4月のイラク日本人人質事件で仲介役を買って出たイラク人権保護協会代表、マザハル・ドレイミ氏が13日、イラク西部ラマディで暗殺された。ロイター通信などが警察情報として伝えた。ドレイミ氏は15日の連邦議会選挙でイスラムスンニ派政党を率いて活動していた。
 ドレイミ氏は選挙運動途中に、ガソリンスタンドで給油していたところ、銃を持った男たちに撃たれた。イラクスンニ派は、選挙に参加するグループと、「占領軍が残る中での選挙には参加しない」とボイコットするグループに分裂。ボイコットを主張する過激な組織は、選挙に参加するスンニ派への敵対姿勢を鮮明にしていた。
 ドレイミ氏はスンニ派の有力部族であるドレイミ族の政治活動家。昨年4月に日本人のNGO(非政府組織)関係者ら3人が武装組織の人質となった事件で、中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」などに出演、節目となる場面で犯人側の要求を明らかにするなど重要な役割を果たした。(毎日)