米軍、イラク紙へ報酬を払って良い記事をかいてもらった可能性


記者クラブを舞台に工作か イラク紙への報酬疑惑で


◎【ワシントン9日共同】米紙USAトゥデーは9日、イラク駐留米軍が報酬を払って都合のいい記事をイラク紙に掲載させていた疑惑に関連し、米軍の資金提供で設立した「バグダッド・プレス・クラブ」を舞台に不適切な工作が行われた可能性があり、米側が調査に乗り出したと報じた。
 同紙は、イラクの地元記者の証言として、同クラブの記者に対する新聞記事1本あたりの報酬は25ドル(約3000円)で、写真付きの場合は45ドル、さらにテレビのリポートには50ドルが支払われたと指摘。下水道や学校施設など米側主導の復興事業の取材に招待されたという。
 これに対し、米軍当局者は「記者クラブ」への資金提供を認めた上で、「好意的な報道を要求したことはない」と反論。「イベントの取材に招待したに過ぎない」と主張している。




イラク駐留見返りに援助を ポーランド要請に米苦慮


◎【ワシントン10日共同】10日付の米紙ワシントン・ポストは、イラクに部隊を派遣しているポーランドが来年も駐留を継続する見返りとして、米政府に軍事援助の追加供与を要請、ブッシュ政権が対応に苦慮していると伝えた。
 ポーランドのシコルスキ国防相は同紙とのインタビューで「米国の友人でいるのは良いことだと示すのが両国の利益にかなう」と述べ、イラク派遣経費が既にポーランドの年間国防予算の1割に当たる6億ドル(約720億円)に達したと強調。ラムズフェルド米国防長官に対し、装備近代化のための追加拠出を要請したと語った。
 これに対し、フローリー国防次官補(国際安全保障政策担当)は、ポーランド軍改革支援を目的にこれまで2億2000万ドル(約260億円)を無償供与したと指摘。イラクへ部隊を派遣すれば「ご褒美」がもらえるという考えを他国にも与えかねないとして、ポーランドの要請を慎重に検討する方針を示した。




フセイン元大統領 法廷を「米侵略」主張に利用


◎【カイロ高橋宗男】イラクフセイン元大統領らの人道上の罪を裁くイラク特別法廷で、元大統領が存在感の誇示を狙っている。イラク移行政府や米国は裁判をテコに旧政権への決別を印象付けたい考えだが、元大統領は「米国による侵略」を主張するための舞台装置として法廷を利用している。
 元大統領は10月19日の初公判以降、一貫して「米国によって設置された法廷は違法だ」と主張。裁判長に「イラクが気高くあり続けるため、率直な発言を許してほしい」「息子の一人と対立しなければならないのは残念だ」と述べるなど、「イラク大統領」としての自負を強調してきた。エレベーターの故障で数分間遅刻した初公判では「(米軍に)修理を依頼する」と述べた裁判長に対し、「依頼ではない。命令しろ」と声をとどろかせた。
 公判では、元大統領暗殺未遂への報復でシーア派住民148人が処刑されたドジャイル事件(82年)の審理が進む。事件で拘束された証人が秘密警察による拷問の実態を明らかにすると、元大統領は「誇張だ。どの国の指導者も暗殺者を裁く権利を有している」とはねつけた。
 第3回公判(5日)では「英雄的なイラク革命が起きれば、お前は責任を取ることになる」と裁判長を糾弾し、「こんなゲーム(不公正な裁判)を続けるべきではない。私の首が欲しいならくれてやる」と言い放った。
 第4回公判(6日)の閉廷間際には「我々は3日間同じ服だ。下着もない。シャワーも浴びていない」と不満をぶちまけ、「不公正な法廷には出廷しない。地獄へ落ちろ」と出廷拒否を宣言した。翌7日の第5回公判は元大統領不在のまま行われた。
 ロイター通信によると、バグダッドスンニ派住民は「出廷を拒絶し、実際に出廷しなかった。有言実行だ」と大統領の態度を称賛した。元大統領の一連のパフォーマンスに、イラク戦争後、少数派として発言力が大きく低下したスンニ派住民の反米意識を鼓舞する狙いがあることは否定できない。一方、旧政権下で抑圧されてきたシーア派住民やクルド人は逆に、休廷を繰り返す法廷への不満を高めている。
 裁判長は7日の第5回公判で、15日に実施される連邦議会選挙を考慮し、21日まで休廷すると宣言。次回公判以降も検察側の証人調べが続く見通しだ。(毎日)




■「日の丸」踏んで記念式典 サマワでサドル師派


◎【サマワ10日共同】陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワで10日、陸自を「占領軍」とみなしているイスラムシーア派の反米指導者、サドル師の支持者が式典を開催、路上に大きく書いた日の丸やイスラエル国旗、米国の星条旗を踏んで同派の民兵組織「マハディ軍」がパレードし、日米に反発する姿勢を強調した。
 式典は、旧フセイン政権下で暗殺されたサドル師の父でシーア派の最高権威だったムハンマド・サドル師を追悼する目的。サマワを州都とするムサンナ州の高官や警察本部長らが参列したが、日の丸の上をパレードすることに抗議の声は上がらなかったという。