中東で深まるアメリカへの不信


サマワに代わる任務に関心 日本が調整会議でと英紙


◎【ロンドン2日共同】2日付の英紙フィナンシャル・タイムズは米当局者の話として、イラクに部隊を派遣している各国の調整会議で、日本がサマワでの復興支援に「代わる任務」に関心を示したと伝えた。
 同紙によると会議は英国で行われた。代替任務の具体的内容は伝えていない。
 同紙によると、米政府はイラクにおける各国部隊の人数を減らすとともに、任務もイラクの部隊訓練や復興支援中心へと転換を図っており、過去2週間、各地で同盟国の調整会議を開き、こうした方針を説明してきた。
 米政府はこれまで日本政府に対し、サマワに駐留する自衛隊をほかの地域に移動させ、イラク地方政府の治安・行政能力向上に貢献するよう働き掛けていた。




■米軍、秘密の世論工作? 金使いイラク紙に記事 米紙報道相次ぐ


◎【ワシントン1日青木忠興】「米軍がイラクの地元紙に金を払い、都合のいい記事を提供、掲載させている」。米大手紙がイラク駐留米軍の世論工作に疑問を投げかける記事を相次いで報道。民主国家をめざすイラクで「民主主義の原則である報道の自由が脅かされている」との懸念が議会などで高まり、ホワイトハウス国防総省は調査に乗り出した。

 十一月三十日のロサンゼルス・タイムズと一日のニューヨーク・タイムズが米軍当局者の話や文書をもとに報道した内容によると、米軍の「情報作戦部隊」が執筆した記事を、国防総省と契約している民間企業「リンカーン・グループ」(本部ワシントン)がアラビア語に翻訳。同社のイラク人職員らがフリーの記者を装い、イラクの新聞社に記事を持ち込んでいる。例えば、あるイラク紙は千五百ドルを受け取り「開発事業に追加資金」と題する記事を掲載した。こうした記事の多くは事実に基づいているものの、米軍の仕事をたたえ、都合の悪い要素を省いているという。

 ニューヨーク・タイムズは「国務省や国際開発庁がジャーナリストや独立メディア育成のために数百万ドル(数億円)を投じているときに、国防総省報道の自由を脅かす作業のためリンカーン・グループに数百万ドルを払っている」と、イラク政策のちぐはぐさを指摘した。

 ペース統合参謀本部議長は三十日、米テレビに「民主主義の育成に害を及ぼすことを懸念している」と語った。国防総省高官によると、議長は現地幹部に説明を求めているという。また、マクレラン大統領報道官は一日「詳しい報告を国防総省に要求している」と述べ、事実の把握を急ぐ考えを示した。(西日本新聞)




イラクで米兵10人死亡 8月以来最大規模の被害


◎【カイロ2日共同】イラク駐留米軍によると、イラク中部ファルージャ近郊で1日、路上に仕掛けられた爆弾が爆発し、パトロール中の米海兵隊員10人が死亡、11人が負傷した。
 一度の攻撃による米兵の死者数としては、8月3日に西部ハディーサ近郊で米軍車両が爆弾攻撃を受け14人が死亡して以来、最大規模とみられる。フセイン政権崩壊後のイラク再建の総仕上げと位置付けられる総選挙を15日に控え、依然改善しない治安状況を印象付けた形だ。




■拘束者の釈放を要求 欧米人4人の拉致グループ


◎【カイロ3日共同】中東の衛星テレビ、アルジャジーラは2日、バグダッドで人道援助団体「クリスチャン・ピースメーカー・チームズ」の欧米人職員4人を拉致した犯人グループが、米軍とイラク軍に拘束されているすべての人々を釈放しなければ4人を殺害すると警告する映像を放送した。AP通信が伝えた。
 同テレビによると、犯人グループは釈放の期限を今月8日としている。
 4人は11月下旬、バグダッドで拘束され、「正義の剣旅団」と名乗る犯人グループが同月29日、4人の映像を同テレビで公表している。




イラク戦争で対米不信増幅 中東6カ国で世論調査


◎【ワシントン2日共同】米メリーランド大学と米世論調査会社ゾグビーが2日、サウジアラビアやエジプト、レバノンなど中東6カ国で行った共同世論調査の結果を公表。イラク戦争によって中東の平和が「むしろ損なわれた」との回答が81%に達し、同戦争で対米不信が増幅されている実態が浮き彫りとなった。
 調査は10月中旬から下旬にかけ、計約3600人を対象に実施。米国が主導する中東民主化についても「民主化が本当の目的とは思わない」との回答が69%。米国の真の目的として「石油」を挙げた人が最も多く、次いで「イスラエル保護」「中東地域の支配」「イスラム社会の弱体化」の順。イラク戦争で「より平和になった」との回答はわずか6%だった。




イラク紙への支払い認める 「多くは意見広告」と米軍


◎【ワシントン3日共同】AP通信などによると、イラク駐留米軍は2日、米軍が報酬を払ってイラク紙に記事を掲載させていた疑惑について、新聞社に金銭を支払っていた事実を初めて認めた。だが、多くは意見広告などだったと主張、「調査を続け、問題があれば適切な対応をする」と発表した。
 米上院のウォーナー軍事委員長(共和党)は同日、国防総省から疑惑に関する報告を受けた後、「深刻な懸念を抱いている。依然、未解明な部分が多い」として、米軍に都合の良い記事を報酬を払って掲載させるなどの不適切な行為がなかったか、徹底調査を軍に求めた。
 軍当局者らによると、紙上で「米軍提供」と明示した場合、新聞社が武装勢力の標的になる恐れが強いため、本来明記する必要がある情報の出所を省くことがあるという。




■額賀長官サマワ訪問 「支援の要望は依然存在」


◎【サマワ3日共同】額賀福志郎防衛庁長官は3日、陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワを訪問した。防衛庁長官サマワ訪問は、昨年12月の大野功統前長官に次いで2回目。
 防衛庁は同日夜、長官のサマワ訪問を公表し「現地の治安は比較的安定している。公共施設の復旧・整備や医療支援活動などの要望が依然として存在し、自衛隊の人道復興支援活動が引き続き重要だとの認識を新たにした」との長官コメントを発表、今月14日に派遣期限切れとなる自衛隊派遣を延長する考えを示した。