チェチェン議会、プーチン大統領派が圧勝。不正の疑惑も

(本日よりロシアを独立したカテゴリーとします。昨日以前の分については「その他」のカテゴリーに入っています)


チェチェン議会選 プーチン派圧勝へ 欧州監視団「民主的と言えず」


◎【モスクワ=内藤泰朗】ロシア南部チェチェン共和国の議会選挙は二十八日、プーチン露大統領の翼賛与党「統一ロシア」が約六割の議席を獲得し、圧勝することが確実となった。当局は、選挙違反はないと強調しているが、欧州の選挙監視団は、自由で公正な選挙とはいえないと表明。チェチェン独立派武装勢力も、選挙結果を認めない姿勢を示した。政情の不安定は、当面続くとの見方が強い。
 同共和国の首都グロズヌイからの報道によると、中央選管が二十八日発表した四百三十選挙区中二百三十七選挙区の中間集計結果によると、与党「統一ロシア」が約61%の票を獲得、得票率12%の共産党や同11%の右派同盟を大きく引き離し圧勝の勢いを見せている。
 バイハノフ選管委員長は同日、「統一ロシアは共和国全土で確実にリードを伸ばしており、事実上、新議会の第一党となることは確実だ」と、プーチン派の勝利を宣言。そのうえで、「大きな選挙違反は、報告されていない。民主的な選挙だった」と強調した。アルハノフ共和国大統領も「チェチェンは、民主主義の道を歩んでいる」と自画自賛した。
 しかし、欧州評議会議員会議(PACE)のグロス選挙監視団代表は同日、フランス通信(AFP)に対し、選挙が民主的なものではなかったとの見方を示した。グロス代表によると、投票所によって投票率のバラつきがあり過ぎるほか、午後四時以降突然、投票率が高くなるなど、選挙違反が行われたとして自由で公正な選挙ではなかったとの考えを示した。
 ロシアの日刊紙ガゼータも「政権は、チェチェン議会が統一ロシアによる一党独裁にならないよう、他政党を助けた」と伝えた。
 ロシアの人権擁護団体メモリアルは「暴力と恐怖が支配する現在のチェチェンで自由で公正な選挙を実施することは不可能であり、国民に信任された議会とはいえず、情勢の安定化は望めない」と強調。新議会は、親露姿勢をみせるチェチェンの実力者、カディロフ第一副首相(29)を「合法的な形」で指導者に祭り上げるための機関に過ぎない−などと指摘した。
 チェチェン独立派も闘争継続を表明しており、プーチン政権の「チェチェン正常化」計画が軌道に乗るのは、容易ではなさそうだ。(産経)