米F16戦闘機購入延期


■米F16戦闘機購入延期


地震被災国際支援、軍事費削減で期待
 【バンコク=岩田智雄】パキスタンムシャラフ大統領は地震の被災者救済を優先、悲願の米製戦闘機F16の購入を延期すると表明した。
 巨額の支援を国際社会に求めている手前、軍事費削減に踏み切ったものだ。ただ、購入は当初から四年間をかけて行われる予定で、四年後には計画通りすべてのF16が配備される見込みだともいう。
 大統領は四日、被災地アザド・カシミール州の州都ムザファラバードで現地の記者団に、「(F16の)購入は延期する。支援と再建に最大の努力を払いたい」と述べた。
 パキスタン地震で、国連は今後半年間で少なくとも緊急支援金五億五千万ドル(約六百五十億円)の拠出を各国に求めているものの、支援国から表明された金額は一億三千三百万ドル止まりで大統領としては、十五年間にわたり切望してきたF16購入の先延ばしを表明して国際社会の理解を得たい考えとみられる。
 米国は、レーガン政権下の一九八〇年にF16四十機をパキスタンに売却した後は、九〇年に、同国に核兵器開発の疑いがあるとして、九一年度に予定していた軍事経済援助の停止を発表、F16の新規売却も凍結した。パキスタンがその後もF16売却要請を重ねる中で、ムシャラフ政権が二〇〇一年の米中枢同時テロ後、国際テロ組織、アルカーイダ掃討作戦で米国に協力したのを機に、ブッシュ政権パキスタンへの軍事協力や経済支援を再開し、今年三月、F16の売却を決めた。
 売却が予定されるF16の新機種は七十五機で、一機当たり三千万−三千五百万ドルとみられている。このほかに米軍の中古機種四機が無償でパキスタンに供与される計画だ。
 イスラマバードの消息筋によると、無償機種は予定通り来月にもパキスタンに引き渡される予定で、残る七十五機の購入も延期はされるものの、四年後までには予定通り終わる見通しだという。(産経)




■被災者300万人に厳冬迫る パキスタン地震1カ月


◎【イスラマバード6日共同】日本人父子を含む7万4000人以上が死亡したパキスタン地震は発生から8日で1カ月。国連によると、約300万人が被災、被害が集中した北部には厳しい冬が迫っている。国連とパキスタン政府の呼び掛けにもかかわらず、各国の支援拠出の動きは鈍い。同国政府は「(スマトラ沖地震の)津波より深刻」(ムシャラフ大統領)と国際社会に一層の協力を訴えている。
 パキスタン政府によると、今月3日現在の同国の死者数は7万3276人。インドの死者数は約1300人。国連の推計では、パキスタンでは80万人が依然、避難先がない状態で、うち20万人は山間部など遠隔地にいる。
 パキスタン政府は復興には50億ドル(約5900億円)が必要と試算。ロイター通信によると、国連が各国に拠出要請している5億5000万ドルのうち、実際に拠出されたのは1億3500万ドルにとどまり、同国政府は19日に支援国会議を主催、支援を呼び掛ける。