死者5万人を超す。北東部だけで「7万8千人死亡」との説も有り


地震の死者5万人超す パキスタンとインド


◎【イスラマバード20日共同】パキスタン地震の救援作業を統括する同国軍のファルーク少将は20日の記者会見で、地震の死者が4万9739人に達したと発表した。インド側の死者約1300人と合わせ、地震の死者は5万人を超えた。
 壊滅的な打撃を受けた北部を中心に、破傷風などの感染症による死者が出ており、死者がさらに増える可能性が高い。
 同少将によると、パキスタンでは負傷者も約7万4000人に達した。
 一方、AP通信は北東部のアザド・カシミール特別州と北西辺境州の当局者などの話として、両州で計約7万8000人が死亡したと報道。インド側の死者も1360人に上ったとしている。




パキスタン破傷風の流行懸念…日本の医療チーム奮闘


◎【バトグラム(パキスタン北部)=野依英治】大地震に見舞われたパキスタン北部の被災地は、発生から10日以上を経てなお、劣悪な衛生状態が続いている。

 寒さと雨で発熱する子供が続出、破傷風の流行も懸念されており、日本など各国の医療チームは懸命に救援活動にあたっている。

 「毎日、100人以上が押し寄せてくる。もうパンク寸前です」。震源地に近いバトグラムに入った日本の国際緊急援助隊医療チームの男性スタッフは、テントの中で、ため息をついた。

 医師、看護師ら計21人で構成される医療チームが活動しているのは、テント張りの「野外病院」。がれきの下敷きになって手が壊死(えし)した重傷者などが、簡易ベッドに横たわる。傷口がむき出しの素足で、ぬかるんだ地面を歩く人の姿も見られる。

 今、最も懸念されているのは、破傷風の流行だ。世界保健機関(WHO)は19日、現地に派遣した医療チームからの情報として「負傷者の間で破傷風などの感染症が広がっている」と発表。破傷風の予防や軽減に有効な「ヒト免疫グロブリン」の不足を訴えた。

 日本の医療チーム団長を務める甲斐達朗・大阪府立千里救命救急センター所長(54)も「この地方での予防接種率は3割程度と聞いた。早めに手を打つ必要がある」と語る。

 山間部のため、夜間の気温は10度以下。「トタン屋根で家を造ったが寒さをしのげない」と、近くに住むアブドル・ラシードさん(45)は嘆く。体調を悪化させる子供たちが目立ち、肺炎など呼吸器疾患の多発も懸念されている。(読売)




パキスタン地震 施設で暮らす被災した子供たち


◎【イスラマバード山科武司】イスラマバード郊外にあるパキスタン地震で被災した子供や女性を収容する施設。約200人が暮らす施設の中庭で、子供たちがぬり絵に熱中していた。うまくできた絵を隣の子に見せては、自慢する。
 アゼハール君(6)はムザファラバード近くのセリダラ村から逃れてきた。母親は自宅の下敷きになって死亡。父親は、「家を片付ける」と言い残して立ち去り連絡がない。
 「母親の死を知り、アゼハール君はしばらく何も食べられなかった」と施設職員のセカルディス・ブッシーラさんは言う。「悲しみをまぎらわすため、何かをするように持ちかけています」
 それでも寂しそうなアゼハール君に将来の夢を尋ねると小さな声で言った。「お母さんに会いたい」(毎日)




■死者数5万1300人に 軍少将


パキスタン軍のアフマド・ハーン少将は21日、地震で確認された死者数は5万1300人に達したと発表した。前日発表より1500人近く増えた。インドでの死者数は約1300人で、両国あわせての死者数は約5万2600人に達した。(毎日)