救援組織同士の活動の調整が進まず


■救援活動の調整急務 パキスタン地震


◎【イスラマバード14日共同】パキスタン地震は14日で発生から7日目を迎え、日本や米国など20カ国以上が緊急支援に乗り出した。
 遠隔地への物資輸送や負傷者搬送のヘリコプター提供や、約250万人といわれる家屋を失った被災者へのテントや毛布の支給が中心で、日本政府も毛布2000枚やテント30張り、浄水器など総額2500万円分の物資を提供した。

 被災現場で活動する多くの救援組織間の調整が急務となり、同国政府が調整能力を発揮できるかが救援活動の成否の鍵を握るとの指摘もある。政府は2万5000人の死亡を確認、犠牲者がさらに増えることが懸念されている。

 国連緊急援助調整官室のエグランド室長は「今回の大規模な救援活動では数百に及ぶ救援組織間の調整が重要だ」と強調する。しかし、政府の救援活動の責任者を務める同国軍のファルーク少将は13日、政府による調整が必ずしもうまくいっていないことを認めた。




■被災のカシミール地方、行政機関すべて破壊


パキスタン国軍震災緊急救援委員会のファルーク少将は13日夜記者会見し、パキスタン側のカシミール地方では、治安当局を含むすべての行政機関が大地震で破壊されたと明らかにした。

 警察官や行政官自身が死亡したり、家族が被災するなどして、全員が公務に就けない状態だという。治安維持のため、パキスタン政府はすでに同地方に警察官600人を派遣。さらに近く行政官も派遣する予定だ。

 ファルーク少将はまた、同地方の人口約350万人のうち、約200万人が被災したことも明らかにした。同地方を含む被災地のうち、いまだ3割以上の地域は道路の寸断などで近づけない状態だという。

 同少将は、国内では毛布とテントが品切れ状態になっていることから、民間業者が海外から輸入する場合、関税をかけない方針を決めたことも明らかにした。(朝日)




■死者5万人の恐れ パキスタン地震1週間


◎【イスラマバード14日共同】インドやアフガニスタンにも被害が及んだパキスタン地震の発生から15日で1週間。パキスタン政府によると、死者は日本人2人を含む2万5000人、負傷者は6万人以上に達した。国連は250万人が家屋を失ったと推計しているが、家屋のがれきの下には多くの住民が取り残され、依然救援の手が届かない北東部の山間部では被害実態が把握できない状態。国連当局者は最終的に死者が5万人に上るとの見方を示している。




パキスタン救援物資乗せ、インドから貨物列車出発


◎【ニューデリー=林英彰】パキスタン地震の被災者向け救援物資を積んだインドの貨物列車が14日、当地を出発した。
 毛布、テント、医薬品など計82トンの物資を運ぶ。カシミール地方の領有権問題でパキスタンと対立するインドが物資支援を行うのは、12日の物資空輸に続き2回目。

 列車は、昨年1月に再開された両国間唯一の鉄道路線を通り、早ければ15日に国境を越える。

 また、14日付のインド有力紙タイムズ・オブ・インディアによると、パキスタンは、カシミール地方の被災地に救援隊を派遣するため、インド支配地域の通過許可を求め、インドがこれを認めた。インドのシン首相が10日、パキスタン側に申し出た支援策の一つだったという。(読売)




パキスタン支援、国連呼びかけに5千万ドルの拠出表明


◎【ジュネーブ=長谷川由紀】国連人道問題調整事務所(OCHA)は14日、パキスタン地震の被災者支援で、2億7200万ドルの拠出を呼びかけた11日の緊急アピールに対し、5000万ドルの拠出表明があったことを明らかにした。
 アピールは、緊急に必要な医療や食料などの人道支援にあてるが、拠出表明額は、必要額の5分の1以下で、OCHAは引き続き、早急な資金提供を呼びかける。

 また、世界保健機関(WHO)によると、被災地では、医療スタッフや設備の不足が深刻で、特に臨時医療施設や外科医が緊急に必要という。心的外傷後ストレス障害(PTSD)に悩む被災者を支援する専門家の体制も整っていない。

 これまでのところ、伝染病は確認されていないが、国連児童基金ユニセフ)は、ハシカが発生する恐れがあるとして、被災した子どもにワクチン接種を開始することを明らかにした。(読売)
【メモ】どのような方面から表明があったのか書いていない。




■救出活動から被災者支援へ重点が移行


◎【イスラマバード=平本秀樹】パキスタン地震は8日の発生から15日で1週間を迎える。
 同国首相府などによると、国内だけで3万人以上が死亡、6万人以上が負傷、250万人以上が家を失った。山岳部は道路が寸断され、被害の全体像も依然見えない。

 一方でAP通信によると、現地の国連当局者は、生存者の捜索・救出活動は終了の段階を迎え、今後の焦点は被災者支援に移ると語った。(読売)




パキスタン地震、過激派1500人死亡か インド分析


パキスタン地震パキスタンカシミール地方を拠点にするイスラム過激派の約1500人が死亡した、とインド情報当局が分析していることがわかった。14日付のインド有力紙タイムズ・オブ・インディアが報じた。

 情報当局の報告書によると、過激派組織のなかでもヒズブル・ムジャヒディンの死者が400人と最も多く、ほかにラシュカレトイバ、ジェイシモハメドなどの主立った組織が被害を受けた。

 過激派は近年、インド侵入のための山岳地帯の「前線基地」のほかに、付近の町や村で家を借りて拠点づくりを始めていたとされる。(朝日)