インドとの関係が良化


■印パ、ミサイル実験の事前通告で合意 協定に初の調印


◎インドのシン外相とパキスタンのカスリ外相が3日、イスラマバードで会談し、両国の核兵器に関する信頼醸成措置として、弾道ミサイルの実験を互いに事前通告する協定に調印した。これまでも慣例として事前通告はしてきたが、拘束力を持つ協定ができるのは初めて。昨年来、両国が進めてきた関係改善策のなかで、安全保障分野の最も具体的な成果だ。

 インド外務省筋によると、事前通告協定は、すべての地対地弾道ミサイル実験について、事前に相手国に実験概要を通告する。誤解などにもとづく偶発的な軍事衝突や核戦争を避けるのが目的。会談後、両外相の立ち会いのもとで、両国外務次官が協定に署名した。このほか、両国の海上警備当局間で連絡体制(ホットライン)をつくる覚書も調印された。


 両国は昨年1月、あらゆる懸案を話し合う「包括対話」を再開させて以来、次々と緊張緩和、関係の改善・強化の方策に合意してきた。カシミール地方の停戦ライン越しのバス運行やクリケット代表戦などが実現し、ムンバイ(インド)とカラチ(パキスタン)の領事館再開も準備が進む。

 対立の核心であるカシミール地方の領有問題には進展はないが、インドのシン首相、パキスタンムシャラフ大統領は人の往来と経済関係の強化を優先し、核心をあえて避けて「外堀」を埋めてきた。


 シン首相は7月、米CNNのインタビューで「(ムシャラフ大統領を)信頼している。だが、パキスタン国内にはテロリストの基盤が残っている」と語った。インド側には、ムシャラフ大統領が権力の座にある間に、両国の緊張を回避するメカニズムをつくりたい、という思惑がある。大統領にも、対テロ戦争で成果を上げ、対印関係を安定させることで「穏健イスラム国家」としての認知を定着させたい意向があるとみられる。(朝日)




■ビザ緩和など協議 印パ、16年ぶり合同委


◎【ニューデリー4日共同】インドのシン外相とパキスタンのカスリ外相は4日、イスラマバードで会談し、民間交流促進のための合同委員会を1989年以来16年ぶりに復活させた。合同委では、インド側が査証(ビザ)の期間を最大90日延長し、宗教巡礼、商業、学生用のビザの新設を提案するなど、ビザ発給緩和をめぐり協議。拘束者への領事の接見や、観光促進も話し合った。

また、シン外相は同日、パキスタンムシャラフ大統領、アジズ首相とそれぞれ会談し、両国が領有権を争うカシミール問題などについて意見を交換した。




■兵力削減目指し共同声明 印パ外相


◎【ニューデリー4日共同】インドのシン外相とパキスタンのカスリ外相は4日、イスラマバードで前日に引き続き会談した。両外相は焦点になっているシアチェン氷河の兵力削減の時期など具体策について、来年1月の「包括対話」第3ラウンド開始までに「共通の理解」に達することを目指すとした共同声明を発表した。

標高約6000メートルの同氷河は「世界で最も高い戦場」。1984年から両軍が対峙(たいじ)する緊張が続いており、兵力削減が実現すれば、両国の和平プロセスで大きな成果となる。