■同時テロのムサウイ被告、死刑可能と評決 米連邦地裁


◎01年の米同時テロ前に米国で逮捕され、同時テロの共謀の罪に問われたモロッコ系フランス人ザカリア・ムサウイ被告(37)に対し、米バージニア州アレクサンドリアの米連邦地裁の陪審は3日、死刑を適用できる、との評決を出した。被告が共謀の罪を認めているため、裁判では死刑か終身刑かを判断する。死刑が適用可能になったことで今後、実際に死刑に値するかどうかの審理に移る。

 「9・11」で米国で起訴されているのはムサウイ被告だけ。これまでの裁判の焦点は、9・11当時すでに逮捕されていた被告に対して犠牲者の死の責任を問えるかどうかだった。被告がテロ計画を知りながら捜査員に隠したため、計画を事前に察知できずに死者が出た、とする検察側主張を陪審は受け入れた。

 被告は当初、自分が9・11とは別に、旅客機を乗っ取りホワイトハウスに突入する計画だった、と主張。しかし、公判ではこれを覆し、自身の計画が9・11の一部だったと証言した。弁護側は、被告のテロ計画が実現可能性の低いものだとし、被告が死刑によって殉教者になることを望んでいる、などと主張した。(朝日)


ハマス、ロシアとの会談でイスラエル承認を拒絶


◎[モスクワ 4日 ロイター] ロシア訪問中のパレスチナイスラム原理主義組織ハマスの代表団は4日、イスラエルが存在する権利を認めるようにとのロシア側の要請を退けたことを明らかにした。

 ハマスは1月25日に行われたパレスチナ評議会選挙で圧勝。ハマス代表団のモスクワ訪問は、新政権樹立以来、初めての主要国訪問となった。

 ハマスは、3日間にわたるロシアとの会談で、国際的立場をある程度獲得したいとしている。イスラエルと米国は、同会談の実施に反対姿勢を示していた。

 ハマスイスラエルの崩壊を提唱する一方、国連と欧州連合(EU)は、ハマスをテロ組織と位置付けている。

 ハマスの幹部は、ロイターに対し、イスラエルを認めることは、全パレスチナ人を否定することだ、との見解を示した。




ハマスは武闘続行を=アルカイダのナンバー2が呼び掛け


◎【ドバイ4日】国際テロ組織アルカイダでウサマ・ビンラディン容疑者に次ぐナンバー2の地位にあるアイマン・アル・ザワヒリ氏(写真)はカタールの衛星テレビ局アルジャジーラが4日放映したビデオテープの中で、パレスチナイスラム急進組織ハマスに対し、戦いを続けるとともに、パレスチナ当局とイスラエルの間の諸合意を受け入れないよう呼び掛けた。

ザワヒリ氏は特に1993年のイスラエルパレスチナ解放機構(PLO)のオスロ合意および中東和平のロードマップ(行程表)を挙げ、これらは降伏合意書だと述べた。また、最近のパレスチナ評議会(議会)選挙の勝利者であるハマス武装闘争を継続するよう求めた。

ザワヒリ氏はさらに、イスラム教徒たちに対し、風刺画を新聞に掲載することにより預言者ムハンマドを侮辱した諸国をボイコットするよう呼び掛けた。ザワヒリ氏は「我々は、風刺画掲載は米国主導の反イスラム十字軍の一環だと見なす」と述べている。〔AFP=時事〕




ハマスアルカイダNO2の武闘続行呼び掛けに従わず


◎ 【モスクワ5日】パレスチナイスラム急進組織ハマスは5日、国際テロ組織アルカイダのナンバー2のアル・ザワヒリ氏(写真)が行っていたイスラエルとの武装闘争続行の呼び掛けを拒否する姿勢を表明し、ハマスはあくまでパレスチナ人民の利益を第一にして決定を下すと述べた。ザワヒリ氏は4日、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラが放映したビデオでハマスに対し、この呼び掛けを行っていた。

ハマスの幹部モハメド・ナザル氏はモスクワでフランス通信(AFP)に対し、「ザワヒリ氏は自分の意見を言う権利がある。だが我々は中立だ。ハマスが決定を下す場合はハマスの指導部がパレスチナ人民の利益にてらして行う。我々はパレスチナ人たちの利益を追求している」と述べた。

ザワヒリ氏はビデオで、ハマスの唯一の選択肢はパレスチナ解放とイスラム国家建設まで武装闘争を続行することだと強調していた。また、パレスチナ立法評議会(議会)では、パレスチナを売り渡した議員たちとは席を同じくしないよう呼び掛けていた。〔AFP=時事〕

■米・パキスタン首脳会談 ブッシュ大統領、「対テロ」協力を確認


◎核技術提供は拒否

 【バンコク=岩田智雄】南アジアを訪問中のブッシュ米大統領は四日、パキスタンの首都イスラマバードムシャラフ大統領と会談した。両首脳は国際テロ組織アルカーイダの掃討などテロとの戦いで協力していくことを確認。ブッシュ大統領イスラム過激派の先鋭化を防ぐため、ムシャラフ大統領に対し暗に民主化の進展を促すとともに、核の平和利用に協力しない姿勢を示した。


 会談後記者会見したブッシュ大統領は、テロとの戦いパキスタンと戦略的パートナーシップを続けていくと表明。「情報の共有」の必要性を強調した。


 ブッシュ大統領は、パキスタン民主化について議論の時間を長く割いたことを明らかにし、「米国は民主主義の基礎を整えるため協力を続ける」と述べた。


 ムシャラフ政権は二〇〇一年の米中枢同時テロ後、テロとの戦いなどで対米協力路線に転換。同時に、米国からの経済協力を取り付けるなど良好な関係を維持してきた。


 一方で、部族地域などでテロリストの掃討作戦を強めるムシャラフ政権に対し、国内のイスラム保守勢力からの反発は強い。イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画問題が起きてからは特に、各地で反米デモが頻発し、二日には米外交官が自爆テロで殺害されるなど同国では、不安定な情勢が続いている。


 軍事クーデターで政権に就いたムシャラフ大統領は、陸軍参謀長をいまだに兼任していることを野党から批判されており、パキスタンでは民主化は敏感な問題だ。だが、ブッシュ大統領は依然不安定な政情の背景に、民主化の遅れや貧富の格差があるとみて、あえてこの問題を議論したといえそうだ。


 さらに、米国がインドとの間では合意し、パキスタンも求めている民生用核技術の提供についてブッシュ大統領は、「パキスタンとインドは異なる必要性と歴史を持っている」として、改めて拒否する姿勢を示し、民主主義国であるインドと核技術の流出が起きたパキスタンに対して異なる対応を見せた。


 ただしブッシュ大統領は、パキスタンがインドとともに進めているイランから天然ガスをパイプラインで引く計画については、反対しないことを表明、パキスタンのエネルギー政策にも一定の理解を示した。(産経)


安保理協議なら本格濃縮 核研究やめないとイラン


◎【テヘラン5日共同】イランの核交渉責任者を務める最高安全保障委員会のラリジャニ事務局長は5日、記者会見し、国連安全保障理事会が同国の核問題に関する協議を始めた場合、「(本格的な)ウラン濃縮を開始する。(小規模濃縮などの)研究開発はやめない」と述べた。

6日に始まる国際原子力機関IAEA)定例理事会を前に、対イラン制裁に向けた圧力を強める欧米をけん制する狙いがあるとみられる。ただイランの核開発に同情的なロシアや中国も、核問題の緊迫化を避けるため、イランの濃縮関連活動の停止を求めており、同国は、厳しい立場に立たされている。

事務局長は「研究開発は、イランの国益と独立にかかわる事項だ」と主張した。


イラク内務省に「死の部隊」 陰にシーア派民兵


◎正式政府の発足を目指すイラクで、治安組織を管轄する内務省所属の秘密部隊が拷問、暗殺に手を染めている疑惑が浮上した。部隊を牛耳るのはイスラムシーア派民兵組織、標的は対抗するスンニ派武装勢力だという。かつてシーア派を弾圧した旧フセイン政権とそっくりの手法を採り、その残忍さから「死の部隊」と呼ばれ、新政権の枠組みづくりを巡る交渉にも影響している。

 「死の部隊」の存在は、昨年4月にシーア派主導の移行政府が発足した直後からささやかれた。警官に拘束されたスンニ派が、虐殺遺体で見つかる事件が続出。スンニ派イラクイスラム党は、被害者は300人以上と推計し、内務相を出しているシーア派政党「イスラム革命最高評議会(SCIRI)」を強く非難している。

 「死の部隊」の一つは、首都北部に本部を置く治安維持部隊「ブルカン(火山)旅団」とされる。これに05年3〜10月に在籍した内務省警護官(30)が、朝日新聞イラク人助手に実態を証言した。旅団は内務省の一機関だが、実態はシーア派民兵組織。イランで組織されたSCIRI配下の「バドル軍」そのものだという。

 旅団に拘束された容疑者は、容疑や自白状況によってグループに振り分けられる。「電気組」というグループに振り分けられると電気による拷問を受け、「つるし組」だと天井からつるす拷問を受ける。「空間組」に振り分けられた容疑者は処刑され、砂漠地帯に死体を捨てられる。

 05年8月、警察に拘束された後、川で遺体で見つかったスンニ派37人を、この警護官は旅団本部に連行された直後に目撃した。米兵も付き添っていたが、本部到着後に立ち去った。「米軍は少なくとも拷問は知っていたはずだ」と話す。

 同旅団に拷問を受けた後に釈放されたという楽器店主(35)は「拘束時に米兵がいたので、処刑はないなと安心したが、結局、内務省で拷問された」と話した。

 米軍は昨年11月、内務省施設で虐待されていた拘束者170人を救出。1月末には暗殺容疑で警察官4人を拘束するなど摘発を始めた。2月にはタラバニ大統領や米大使が「死の部隊」を公然と非難し始め、一時、活動は静まった。

 しかし2月末、新たにスンニ派政党幹部が警官に拘束後、虐殺される事件が発生。各地で制服警官による拘束後の暗殺が報告されている。スンニ派は、シーア派聖地、アスカリ廟(びょう)爆破事件後の騒乱を利用し、再び部隊が活動を始めたと非難している。

 正式政府に向けた政権協議では、首相、財務相、内務相、石油相を独占するシーア派に対し、スンニ派クルド人勢力、世俗的なアラウィ元首相派に加え、米国も「死の部隊」の問題を指摘することで強く譲歩を迫っており、政治問題化している。





■来春に全面撤退計画 イラクの米英軍と英紙報道


◎【ロンドン5日共同】5日付の英紙サンデー・テレグラフなどは、国防筋の情報として、米英両国がイラクに駐留するすべての兵員を2007年春に撤退させる計画を進めていると報じた。

ロイター通信によると、米国防総省の報道担当者は「そのような計画はない」と報道を否定した。

同紙によると、両国政府は駐留軍の存在自体が、イラクの「平和に向けた主要な障害」との認識で一致。計画によると、今後1年間の部隊撤退は小規模にとどまるが、来春の段階でイラク新政府が発足して大多数の国民の支持を得ていることが確認されれば、一斉に撤退を開始する予定。




■タラバニ大統領、ジャファリ首相指名に反対 イラク


イラク移行政府のタラバニ大統領は4日、イラク正式政府の組閣について、「挙国一致内閣づくりの障害になる」として、ジャファリ現首相の首相指名に反対する意向を示した。ロイター通信などが伝えた。イラクの新政府づくりはシーア派聖地の爆破事件とその後の混乱が重なり、混迷している。

 ジャファリ首相に対しては、シーア派民兵の制御に失敗したなどとして、スンニ派などから「分裂をもたらした」と強い批判が出ていた。

 一方、クルド人関係者がAP通信に語ったところでは、北部の産油地キルクーククルド地域編入を巡る駆け引きが、大統領の発言の背景にあるという。大統領率いるクルド人勢力は、キルクークを手に入れて石油収入を確保することを求めている。だが、ジャファリ首相が先週、トルコを訪問した際、キルクーククルド地域編入に反対する考えをトルコ側に示したという。(朝日)


ザワヒリ容疑者、評議会選で勝利のハマス批判


◎【カイロ=柳沢亨之】中東の衛星テレビ、アル・ジャジーラは4日、国際テロ組織アル・カーイダのナンバー2、アイマン・ザワヒリ容疑者のビデオ声明を放映した。
 同容疑者は声明で、先のパレスチナ評議会選で勝利したイスラム原理主義組織ハマスについて、「パレスチナを売り渡した者どもと一緒に一つの議会に加わることは、(イスラム教の聖典コーランの道に反する」と批判、対イスラエル武装闘争に専念するよう求めた。

 アル・カーイダイスラエル軍撤退後のガザで細胞を広げつつあるとされ、自治政府アッバス議長も最近、「非常に深刻な状況」と懸念を示した。今回の声明は、あえてハマスを反イスラム的と宣伝することで、パレスチナへの一層の細胞拡大を狙った可能性がある。(読売)




■欧米への大規模テロ訴え ザワヒリ容疑者、風刺画で


◎【カイロ5日共同】国際テロ組織アルカイダのナンバー2、ザワヒリ容疑者は4日、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画問題で欧米を非難し、米中枢同時テロやロンドン同時テロなどのような大規模攻撃を欧米に対して実行するよう、イスラム教徒に呼び掛ける音声の声明をウェブサイト上で発表した。

風刺漫画問題に関してアルカイダ幹部がテロを呼び掛けたのは初めて。中東の衛星テレビ、アルジャジーラは5日、同じ声明を発表する同容疑者の映像を放映した。

声明は風刺漫画について、イスラム教徒への挑発が目的だったとの見方を表明。「預言者ムハンマドイエス・キリストではなく、ホロコーストユダヤ人大量虐殺)や同性愛が彼らにとっては神聖なのだ」と欧米を批判した。


■アフガン国境付近で武装勢力と治安部隊が衝突、約50人死亡


◎[ミランシャー(パキスタン) 4日 ロイター] パキスタン軍当局の情報によると、アフガニスタン国境付近の部族地域で4日、旧タリバン政権の残党とみられる武装勢力パキスタン治安部隊が衝突し、約50人が死亡した。

 武装勢力が、北ワジリスタン地域にある都市ミランシャーで、政府の建物を占拠し、ほかの建物を攻撃したことで、両者が衝突。当局によると、近隣の町にも暴力行為が拡大した。

 軍のスポークスマンは「報告によると、ミランシャーで武装勢力25人が、近隣地域では21人が死亡した」と語った。

 また、これとは別に発生した暴力行為では、3人が死亡、10人が負傷したという。

 今回の衝突は、ブッシュ米大統領が、ムシャラフパキスタン大統領と「対テロ戦」について話し合うため、同国を訪問しているさなかでのこととなった。